8 / 10
8
しおりを挟む「……」
「落ち着いた?」
「うん…」
「どんな髪でも可愛いよ、有紀」
「ん…」
重い前髪を持ち上げて額に口付けて、また戻す。
耳に、頬に、首筋に、と下がって行けば彼女の手がするする上がってきて前髪の乱れを定位置へ直す。
彼女は彼女で、前髪が横に流れるのが気になるらしい。
生え際から垂直に降りる長さが最長だから、横に振れると短くなってしまうのだろう。
「やっぱ落ち着かないな…そだ、有紀、今日は座位にしよ、それなら髪が流れないよ」
「…見られたくない。バックが良い」
「顔が見えなきゃ、エッチの意味無いだろ」
俺はせかせかと布団を枕元に集めて、大きなクッション状に仕立てた。
そこに彼女を寝かせれば、リクライニングシートみたいに緩やかな傾斜で背中が倒れる。
「…恥ずい」
「抱き合う対面座位にする?」
「…やだ」
「な、ふふ」
絡みながらパジャマを脱がし合って、暗がりに白い肌が浮かぶ。
前戯は主にキスで、胸を触ったり尻を撫でたりもほぼ顔をくっ付けたままだ。
ここまで近距離なら前髪は見えないから、彼女はぐいぐい俺を引き寄せて唇を離さない。
「有紀、大胆だな」
「離れないで、間抜けだから見ないで」
「間抜けか?」
「幼く見えるでしょ、なんて言うか…ちんちくりんみたいな」
「んー」
幼いというか、初々しい感じがする。
イメージはお稚児さんだが、それは前髪あっての印象だ。
こうして目蓋というパーツに注目すると、妙に卑猥に思えてしまう。
眉の下で過分にスペースを取っている、目蓋という皮膚。
ぷっくりとしていて、アサリとかシジミとか貝類を彷彿とさせる。
もちろん定番のアワビもだ。
しかし常夜灯のオレンジ色が反射したそれに俺は、とんでもないものを連想してしまったのだ。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
クールな年上彼女は焼酎がお好き
むつき紫乃
恋愛
僕の彼女は年上で、いつもクールな大人の女性。強引に迫ってやっと付き合ってもらえることになったけど、本当に好かれているのか自信がない。
小さな不安を抱えた僕は、ある日彼女の友人から「無理にお酒に付き合わされてない?」なんて冗談交じりに心配される。そもそも彼女が酒豪だなんて初耳。お酒は付き合い程度っていうのは嘘?
ワンコな年下彼氏とクールな年上彼女がお酒をきっかけにすれ違うお話。
エブリスタとムーンライトノベルズにも掲載しております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる