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7…胸に刻む(最終章)
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しおりを挟むそれから、毎夜のルーティーンであるストレッチを朋也くんは見届けてくれた。
そして「せっかく北海道まで来たのになぁ」なんて恨めしそうにボヤくも、その顔はどうしてか笑っている。
「……ふー…毎日しないとね、関節とか鈍っちゃうから」
「わざと焦らしてる訳じゃないんすよね?」
「焦らすほどの大層なカラダしてないって」
ケラケラ笑ってカーペットの床から腰を上げると、ベッドの上で胡座をかく彼の表情が変わる。
無気力なりに朗らかだった目元は、一旦伏せられて鋭くなり戻って来る。
あれ、怒らせたかな、引き伸ばし過ぎたかな、と固まる私。
その腕に手が伸びてきて、グッと掴まれた。
「…焦らされて、ジブンはいっぱいいっぱいですよ」
「え、あ、」
「初夜、ね」
「う、ん…」
「この胸も、ジブンのもんっすよ」
引き寄せて薄い胸に顔を埋める。
鼻先はすぐに肋骨を叩き、呼吸が困難になるほどの肉の阻害も無い。
「こんなんで、良いの?」
「何でも良いんすよ…美紀さんなら」
「…何回も同じやり取りしちゃうね」
「ジブンの前でだけなら構いませんよ。何度でも言いますよ、美紀さんの胸、ジブンは好きですよ」
「ありがたいねぇ」
心臓の音を一番近くで聴いてくれる存在、その彼の頭をぎゅっと抱える。
愛しみが溢れてまるで母性みたい、ヨシヨシと硬い髪を撫でた。
「恥ずかしがるのも良いし、開き直るのも可愛くて好きっすね…ドヤって反応待ってるのも…可笑しくて可愛い」
「なら自信持つね」
「過度な露出はダメっすよ」
「しないって」
喋りながらも次第に体は深く絡んでいき、朋也くんの
「まだ、新婚だし勿体ないからしたくないんすけど…外に出しますからお願いします、このまま、」
の声でひとつになった。
子どもが出来たとしても問題ない、むしろウェルカムだけどそれは天と朋也くんの制御能力に任せることにする。
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