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6…胸を張る

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 まさかの朋也くんの知り合いか、予想外過ぎて彼の方を二度見してしまう。

「……澤條さわじょう、」

 敬称を付けないラフな呼び方、朋也くんは顔色こそ変えないがとても嬉しそうではない。

「偶然ー、朋也もブライダルフェアとか来るんだ、ウケる」

「ウケんな。あっち行けよ」

 気さくな話し方、丁寧語じゃない朋也くんが新鮮過ぎて呆気に取られる。

 同級生だろうか、澤條さんと呼ばれた女性もパートナーと来ているらしかった。


「…もしかしてその人、朋也の彼女さん?」

 大きな目がぐりんとこちらに向いたので、ちょっとだけおののく。

 派手な顔立ちはメイク効果か人工的なものなのか、私とはタイプの異なる女性かなと感じた。

「はい、そうです」

「へぇー…朋也、趣味変わったね、昔は私みたいな可愛い系が好きだったのに。歳上でしょ?」

 オバさんとでも言いたいのか、澤條さんは遠回しに私が可愛くない女だと示した。

 私がここで出来るのは大人な対応だけ、効いてないフリをしてツンと澄ます。

「(まだ20代だし。大人女子だし)」

 遅い訳じゃない、まだ子供だって産めるし自立した大人なだけだし。

 モヤモヤ、ムカムカ、不満を募らせていると朋也くんが私の腰に手を回して

「趣味とかじゃない。好きになったらその人が趣味になるだけ。あとうちの彼女は可愛いから、余計なこと言うな」

と澤條さんの視界から遠ざけてくれた。


 パートナーがこんなに失礼なことを言っているのに相手の男性は何をしているのかと思えば、我関せずといった感じ。

 もうラウンジを抜けようとしており、しかし澤條さんを急かすことも待つこともしない。

 変な人たちに絡まれてしまったな、ペコっと会釈えしゃくだけして我々も衣装室へと向かった。
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