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3…胸を張る

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 夕飯はよくあるお膳で出て来る懐石コースみたいなので、管理職席と家族席と一般職席などに分けられていた。


 エリナは管理職席に近い方で愛想を振り撒いて、男性たちに持てはやされてゴキゲンそうだ。

 本当に矢向くんを狙っているのかな、もしかしたら沢山いるターゲットの中のひとり、なのかもしれない。

 チヤホヤされるのが好きなタイプ、でも矢向くんは取り巻きに入るようなキャラではない。

 そういう連れないところが、逆にエリナの狩猟本能を掻き立てているのかと感じた。


「元宮さん、隣、良いすか」

「うん、お座りよ」

 入り口で部署の係ごとに点呼を取ったので、その流れで矢向くんは私の隣にすんなり収まっている。

 さっきまで荒ぶっていた心も、彼に会えばスゥといでしまった。

「…何かありました?」

「…旅行前にもこんな会話したね、さすが矢向くん」

「答えになってませんけど」

「…あったんだけど、矢向くんに会ったらどうでも良くなっちゃった、へへ」

「?」

 詳細は家で話そうかな、今話したら泣いてしまいそうだ。

「お酒、呑む?」

「呑まないっすよ…元宮さんも呑まない方が良いっすよ、前みたいに胸の話したら困ります」

 以前はお酌の文化もあったそうだが、今は強いられることも無くそれぞれが好きな飲み物を頂いている。

「あっはっは…しない、呑まないよ」

「なら良いっす」

私の服装を確認した矢向くんは、安堵のため息をついて酢の物を頬張る。

 厚手のTシャツに長袖パーカー、宣言通りにしているから文句は無いだろう。

 お化粧もバッチリ、むしろいつもよりも濃くしたくらいだ。
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