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1…胸に手を置く

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「ごめんね、変な話聞かせちゃって」

「良いっす…元宮さん、胸小さいんすか?」

「あ?」

 聞こえたなら仕方ないが知らないふりだって出来るだろうに。

 わざわざそのトピックを広げねばならないのか、今更恥ずかしがるのもおかしいが、さすがに莉子に話すトーンと同じという訳にはいかない。

 これは自虐パターンだな、

「そ、貧乳なの」

とお冷を半分空ける。

 こうしておけば深追いして来ないだろう、しかし私の目論見は外れてしまう。


「サイズ的にどれくらいっすか?」

矢向くんはしれっと、私の胸のサイズを聞いて来やがった。

 私はもう薄らアルコールも抜けかけていて、理性や羞恥心なんかが思考に戻りつつある。

 答えてやる義理は無いしデリカシーに欠ける行為だと思うし、黙って睨み付けてやっても許されると思う。

 でもさらに矢向くんは、乗ってる車のメーカーを尋ねるみたいに

「Aくらいっすか?」

と追撃をかました。

「……」

 ここまでされると怒って良いと思うのだが、矢向くんは悪気は無さそうだし純粋な興味本位っぽいし、隠すほどのことでもないのかと錯乱してしまう。

 だいたい、酒の席とはいえ聞こえるよう話していたのは自分だし。

 私は日頃サバサバ系で通してはいないけれど、変に女を出して「秘密よ」なんてしたら今後の仕事に影響するかと思った。


 なので僅かな酔いに任せて、

「もうちょい下」

とだけ答えてグラスを取った。

「Aの下なんてあるんすね」

「…矢向くん、それ以上はハラスメントにするよ」

「ダメっすか?単純に知らない世界なんで気になっちゃって…すんません」

「…まぁレアかもねー」


 一般的に知られている胸のカップ数なんてそりゃ限られている、女性下着のコーナーにさえ私のサイズは売っていないことが多い。

 Aより小さなAAカップ、それが私の胸のスペックだ。

 無い訳ではない、ただなだらかな丘がありちょんと突起が付いている。

 小さくたってブラジャーは着けるし、ノーブラで過ごすのは抵抗がある。

 もちろん感度だってそれなりだし子供を産めばお乳も出るだろうし…ただの皮膚以上の役割がそこにはあるのだ。
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