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「アッ……あ、ひゃッ…」

 枯れた喉から野太い声が上がり、肘が崩れる。

 尻だけを高々と掲げ、そこに心平が繋がった。

「フー…ごめん、もうちょっとだから」

「まだ、なの⁉︎」

「うん…ん…あー…少しね、もう少し…ん、これがいっぱい…あはッ…凄い…悠里くん、あったかい」

「…しんぺ、く…あ…あ…」

 気持ち良さはまだ分からず、しかし尻に心平の下腹部と毛と脚が触れてピタピタ感が堪らない。

 痛みは遅れてやって来て、じんじんと摩擦がそれに変わる。

「動かない方が良い?」

「ゔ、ん…ごめん、痛く、て…でも、うれし、い…こんな、気持ちなんだ、心平くん…」

悠里はゆらっともう一度肘を立てて、心平の唇を探しに振り返る。

「ん、悠里、気持ち良いよ」

「…な、なに、雄み出して、やら、」

「あんまり良い言い方じゃないけど、悠里が喜ぶように言うね、あの時の、オナホールより…ずっと、気持ち良いよ」

「……!」


 布団の中で無理矢理使わせた、あの自慰行為グッズ。

 不本意ながら勃ちやすいだろうと、歯ぎしりしながらポチった女型のオナホール。

 心平のイき顔はあれで見た、でも悔しかった。

 男型は使えないと言うから諦めかけたが、でもここまで必死に喰らい付いた。

 その心平が、あれより気持ち良いと言う。

 「そんなことで喜ぶとでも?」と突っぱねてやりたい、けれど嬉しい。

 ツンが出ない、喜びに口が緩む。

「悠里?」

「キス、して、」

「ん、ん」

「はム…すき、心平くん、好きなんだ、お願い、好きにして、動いて、」


 心平は、ここまでの挺身ていしんの姿勢を悠里に限らず目にしたことがなかった。

 人が他人に体を捧げるのに、ここまで言えるだろうか。

 欲に浮かされた戯言、でも心からの本気の気持ちなのだ。

 いじらしさと心配と、自身の欲も混在する脳内。

「うん、」

 心平の欲はさっさと判断の実権を握り、悠里の頭をそっと跳ね返した。

 そして、

「ッッ♡ッあ!あ‼︎」

 抜き差しが大きくなり、悠里の悲鳴が部屋にこだまする。
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