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 翌朝。

「ん……ぅわ!」

心平は寝起きに叫んだ。

 むにゃむにゃと仰向けから首を横に倒した際に、顎先にちょんとピンクの先端が当たったのだ。

 それをむにゃむにゃと手で払おうとすればすべすべとした肌触り、思考は追い付かず目を開ければ…可愛らしい色の男性器が横たわっていた。

「…そうだ、布団に入れて…慣れようとして…」

 それ自体は親しみのあるフォルムをしているので、もはや触ることに抵抗は無かった。

 それらしく握ってやれば、まるで自分のモノをそうしているように感じ興奮した。

 今だって、顔の横にあるソレをにぎにぎとつい触ってしまっている。

 自分のよりも少し小ぶり、これはきっとパッケージに描いてあったキャラクターのイメージなのだろう。

 小柄で女装をした男子、はこれくらいだとデザインされたのだろう。


「…これに…挿れようとは…」

 絶賛朝勃ち中でも、挿れたい訳ではない。

 生理的なものだし、興奮はしているがそれはホールの突起と自身のモノをオーバーラップさせているからに過ぎない。

 そこにあるんだから自分のを摩れば良いのに、滑らかな質感がどうにもクセになる。

 寝ぼけた心平の頭は深い考えもさせず、すりすりと擬似棒を撫でさせた。

「…うーん」

 これを恋人のモノのように感じ愛でる人がいるのか、理解しかねる感情に思いを馳せる。

 誰か特定の人を想像するなら容易いが、そもそも心平は同性愛者ではない。

 かと言って、女性用オナホールで大まかにでも実存する女性を投影することもしなかった。

 芸能人でもフィクション上のキャラクターでも、しようと思えば出来たはずなのに、浮かばなかった。

 具体的に恋愛をしたことが無いからそうなのだろう、心平は虚しさを覚えつつシコシコと棒を摩る。


「…悠里くんも……いや、ダメダメ」

 パッケージのオトコノコから少年を連想し、同様のカテゴリに悠里が当てはまることを思い出し…心平は自分の思考に待ったをかける。

 今右手が握っているソレがまるで悠里のソレに思えてしまう、止めようと思えば思うほどに脳内を意地悪な少年の顔が占拠する。

 悠里のモノはどんなのだろう、もっと大きかったような気もする、色は、形は。

 いけないと自制したいのに、頭は様々な悠里を創り出しては心平を困らせる。

 起きようにも動けない、心平は目を閉じて関係無いことを必死に考えて、猛りを収めた。
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