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しおりを挟むそれから二人は食事をしつつ今後の話を詰めて、互いに合鍵を交換した。
ここまでくると聡太も腹を括りきびきびと住所変更書類などの記入を進め、そんな真剣な姿を薫は内心「好きぃ」と隠れて眺める。
「(真面目な顔…でも童顔…かわゆい…)」
聡太においては不安だらけの新生活だが、薫からラブの矢印は既に聡太へ向いているので案外ことは単純なのだ。
つまりは聡太が薫を好きになり愛してしまえば円満解決、片想いを両想いにしさえすれば良い。
「(色仕掛けで是が非でも責任を取らせるとか?でもそれじゃ幸せにはなれないかな…)」
例えば酔った勢いとかで関係を成してしまえば聡太は必ず即入籍してお詫びしてくれるだろう。
しかし弱みにつけ込む作戦を立てておきながら薫はその線は狙っていない。
なんせほろ酔いで同衾しても手を出さなかったくらいなのだ。
よほど燃え上がるような興奮材料でもない限り性行為には及びそうにない。
「(地道に…アピールかぁ…)」
自宅近郊の地図を書こうとスマートフォンの画面を太い指でちまちまズームインさせる聡太が愛らしい。
薫は二人分の夕食を準備しつつ妻気分で鼻歌を奏でた。
つづく
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