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しおりを挟む稚拙な嘘と寛容な心で二人は事に及び…ついにこの夜、結ばれた。
薫は素で痛がったし泣いてしまったし、聡太はよしよしと励ましてなんとか貫通の儀を終える。
あまりに彼女が喚くので聡太は最後までイキはしなかったが、くったりと上気した顔で横たわる薫を見れば「また今度でいいか」と思えるのだった。
「(血は…出なかったみたいだな…寝てるし、シャワーしとこ……あ、)」
冷房温度を調整して薫に布団を掛けて、聡太が風呂場へ行こうと立ち上がった同じタイミングで座卓の上の彼女のスマートフォンにメッセージの通知が入る。
別に見るつもりは無かったが本能的に目で追ってしまっただけ、メルマガやアプリの通知とは異なる印象的なアイコンの色に目を引かれただけなのだ。
根の真面目さで本文は読んじゃいない、けれど角に書かれた差出人の名称に聡太は意識を取られた。
「……『お兄ちゃん』…薫ちゃん、ひとりっ子じゃ…?」
湧き上がる不信感。
そこで寝ている女のついた嘘に触れてしまった聡太は疑いの気を紛らわせようといつもより高温のシャワーを頭から浴びる。
そして最初からこれまでの辻褄や矛盾を探り始めると黒い気持ちが抑えられず、ついには薫が処女であったことさえも嘘だったのではと疑ってしまい…風呂から上がってもベッドには触れず、床で夜を越した。
つづく
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