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しおりを挟む会話は弾む俺たちだから、そこからはすんなり敬語を撤廃して話すことが出来た。
好きなこと、苦手なこと、思い出、スポーツなどなど、目に付くものから派生させてはお見合いのように話をする。
2時間半ほどは飲み食いしたので、俺は伝票に手を掛けた。
「杏奈さん、お手洗い大丈夫?」
「あ、行っておこうかな」
タイトスカートのお尻が目線の高さに持ち上がる。
狙った訳ではないが、偶発的に起これば逃すつもりはない。
「(眼福)」
さてこの後はどうしようか、ここで呑まなかったのだから2軒目を回る意味はあるのだろうか。
でもアルコールが無いと進展できないなんて男のすることじゃないしな、駅ビルから夜景でも見てみようか。
俺はさくさくと会計口へ進み、先に支払いを済ませる。
背後から「あー!」と桜井さんもとい杏奈さんの声が響いたが、澄まして「出よ」と笑って見せた。
「紫くん…半分払うから」
「良いって、デートだから」
靴を履きながら、小競り合いは続く。
「さすがに初回からそんなに使ってもらうのは悪いって」
「こういうもんじゃないの?」
「分かんないけど…奢ってもらうんだったら、もっと遠慮して食べたのに」
「なら今度、杏奈さんが何か奢ってよ」
「うん…」
なりたてホヤホヤカップルの初々しさを見せつけつつ、俺たちは店を出て路地を歩く。
「呑み直す?もう遅いかな」
「んー…まだ21時か…お酒は弱いんだよね」
「あー、さっきも言ってたね。タクシーで送るから大丈夫だよ?」
「ううん、醜態を見せると良くないから」
まだ解散するには早過ぎる。
カップルになって恋が始まったこの浮ついたドキドキ感を、ひとりじゃ持て余してしまう。
帰ろうとするなら引き留める、でもどこに行こうか。
カラオケ、ネットカフェ、は幼稚だろう。
レイトショーだと終電も間に合わなくなる。
「(ご休憩、ね)」
選択肢のひとつとして軽く
「…俺の部屋、は嫌だよね」
と言ってみたものの、言ったそばから「先走った!」と冷や汗が噴き出る。
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