上 下
15 / 69

15

しおりを挟む

 新大阪へ着いて、俺たちは一緒にコンコースまで降りて改札を抜けた。

「私、こちらなので」

「はい、あの、また、」

「はい、また…お食事でも」


 桜井さんはペコリと頭を下げて、スーツケースを引き北口へと歩き出す。

 数時間前と変わらず魅力的なお尻、手の届く距離に近付いたとあってその輝きたるや眩し過ぎる。

「(…何だろうな、イケる気がすると恐れ多く感じるな)」

 グラビアを批評するのとは違う、生身の人間と関わる重責。

 簡単に「触らせて」なんて言えない、ましてや「繋がりたい」などとは。

 これから距離を縮めて、交際に発展させて、時期を待って。

 それまで熟成させるのだから、実食時の感動たるや…想像もつかない。


「(お尻もそうだけど、顔も可愛かったし…朗らかで良い子だったな)」

 優しそうだし気も利くし、あの腰の低さがなんとも奥ゆかしくて良い。

 従えたい訳ではないが、人に謝れるのはひとつの技能と考えているので良い印象を持った。

「(良い匂いって言われちゃったよ)」

 染み付いた仕事道具の匂い、それを褒められたとあっては嬉しいが溢れる。

 仕事の張りになる、原動力になる。

 桜井さんのおかげで頑張れそうだ…取引先へ向かう足取りはかつて無く軽かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

高級娼婦×騎士

歌龍吟伶
恋愛
娼婦と騎士の、体から始まるお話。 全3話の短編です。 全話に性的な表現、性描写あり。 他所で知人限定公開していましたが、サービス終了との事でこちらに移しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

なし崩しの夜

春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。 さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。 彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。 信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。 つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。

絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
絶体絶命!!天敵天才外科医と一夜限りの過ち犯したら猛烈求愛されちゃいました

鬼上官と、深夜のオフィス

99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」 間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。 けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……? 「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」 鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。 ※性的な事柄をモチーフとしていますが その描写は薄いです。

処理中です...