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しおりを挟むさて車内で俺はやることも無し、かと言って隣にお姉さんが居るので妙に緊張している。
下手な動画を観て人柄を値踏みされても嫌だし、しかし作業できることも無い。
お姉さんはスマートフォンを一度確認したきり、あとは真面目に前を向いている。
なので俺も何となく、同じ揺れに身を任せた。
30分ほど経った頃、
「(ん?)」
ぼんやりした視界の隅が騒がしく感じた。
どうやら、隣のお姉さんがしきりに脚を動かし始めたようだ。
座りっぱなしも疲れるし、血流が悪くなるといけない。
これから遊びにでも行くのなら懸命な取り組みだと思った。
しかし。
「(…気になるな)」
もじもじ、ごしごし、ジーンズの内膝が破れるのではと思うくらいにお姉さんは脚をくねらせる。
誘ってる訳ではあるまい、もしや体調が悪いのか。
「(不審者上等よ)」
いよいよ声を掛けようと顔をお姉さんに向けた時、お姉さんもその顔を俺に向けていたようで…まったく至近距離でお見合いをしてしまった。
「え、」
「あっ」
可憐な声が、上擦る。
「あの、様子が」
言葉選びが難しいな、まだ先が長いのだから後々が気まずくなるのは勘弁だ。
でも俺の心配をよそにお姉さんは
「すみません」
と立ち上がり、次の瞬間彼女のお尻が俺の視界に戻って来た。
「へ、」
「前、失礼しますっ」
「あ、はい、」
彼女はどうやら、トイレか喫煙室にでも行きたかったのだ。
それが窓側席だから不便で、言い出せなかったのだろう。
しかも俺の前の席の乗客は座席を深く倒しており、出発時から確実に角度が変わっている。
お姉さんは俺にひどく接近してしまうから躊躇っていたに違いない。
その証拠に、
「(うおっ♡)」
彼女の魅力的なお尻が俺の視界を丸々塞ぐ。
お姉さんは前の座席を胸に抱くようにして、つまりは俺にお尻を向けて俺の前を通過する。
まるでスローモーション、俺はジーンズの尻ポケットのステッチにまで目を凝らして眺めてしまった。
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