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4・支配からの、解放

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 もう頃合いだな、このまま続けてもここでセックスまでできる訳でもなし興奮に限界が来る。

 それを察したのか彼女はおずおずと手を降ろして乳房を隠す。

「…すみません、私…」

「ごめん、遊び過ぎた…胸、仕舞って」

「拓朗さん、あの…また、触って頂けますか?」

「ん?うん…機会があれば」

「…お願いします……あ、どうしましょう、拓朗さんの方は…フェラチオさせて頂きましょうか」

 腕で寄せて谷間を作るこのあざとさ、しかし可愛く小首を傾げたって俺は依頼したりはしない。

「だめ、こんな所で露出はいけません」

「私は胸を出しましたよ、拓朗さんもとがめませんでしたけど」

「それはそれ、これはこれだ…モザイクが掛かるようなことはしちゃいけない」

「そういう線引きなんですか…ふふっ、可笑しいの」

 腰まで下がったブラジャーを持ち上げてなんとなくの位置で離す、ストラップは背中の方に引き込まれてしまったので見えないが、協力せねば着けられないなら手くらいは貸そうかと思った。

 
「どこだろう」

「ここに…」

「あった、はい」

「ありがとうございます……ん」

「もう片方……水蓮?」

 渡したはずのストラップが受け取られずたらんと鎖骨の上に垂れる。

 重そうな胸はまたこぼれそうに傾き…彼女は目線がチラチラと泳いで落ち着かない。

 そして下着が途中なのに、ワイシャツのボタンを無理矢理留めようとして段違いになった。


「水蓮?…あ、お手洗いなら…」

「いえ、あの…あ、の…やっぱり、すみません、私…」

「どうした、気持ち悪いか⁉︎」

「気持ち、あの、すみません!」

彼女は締めたボタンを乱暴に開けてブラジャーをまくり、テーブルのおしぼりの上に置いたピアスの針を掴んで乳頭へ突き刺した。

 針と言っても先端はネジ山だし穴があってのことだから肉を裂く訳でもない。

 でも異様な光景と彼女の青ざめた形相に残っていた興奮がひゅんと収まった。


「……⁉︎」

「ッ…はァ……あ…」

「水蓮…?」

「すみません…私…これが無いと…気持ちが悪く…て…」

まるで生命維持装置、もう片方も挿せば彼女はゆっくり水を飲み肩で息をしてまばたき多くかすれた声を吐く。


「おい…大丈夫か、」

「大丈夫、れす……ふぅ…なんでしょう…外してしばらくすると…モヤモヤとにごるような気持ちが湧いて来て…気分が…」

「分かった、挿しておきなさい……体の…一部なんだな、水蓮の」

「そう、みたい、です…」

 外していた時間は正味20分も経過していなかっただろう。

 日頃のメンテナンスでは平気だったから彼女自身もこんなにピアスに囚われていると知らず驚いていた。

「…無理に外させようとして悪かった。強制はしないよ」

「あの、少しなら大丈夫なんです、長時間でなければ、」

「…ごめんな」

「…拓朗、さん…」


 平均時間なんて数えたことは無いけれど、俺のセックスは20分以内では終わらない。

 つまりはピアスを外した状態では俺たちは繋がれないということだ。

 服を着て胸を隠し下半身だけ出せば不可能ではないが…そうまでして交わる必要性があるのかも自信が持てないし不自然でぎこちない時間になってしまうだろう。

「水蓮…」

「ごめんなさいっ…私、あの、すみません、変な…変態でっ…すみま、せん…」

 はらはらと溢れる涙が白い乳房に落ちて水滴がブラジャーに染み込んでいく。

 俺はとりあえず不慣れな手つきでストラップをあるべき場所に接続した。

「落ち着いて、変態だなんて誰も言ってないだろ」

「だって、だって…」

「俺が…慣れれば良いんだ、最初からそう言ってたじゃないか」

「でも、うっ…拓朗さん、」

「ピアスを着けた水蓮を愛せるよう…努力するよ、きちんと着けておいて」

そうは言いながらも俺は彼女に背を向けて、取り急ぎ挿しただけのピアスを直す時間を設ける。

 一度引き抜いて蹄鉄ていてつを挿し乳頭を貫く、そして蹄鉄のもう片側にも通して球で封をする。

 横目でおしぼりを確認すればそこは空になっていたのでやっと振り返った。
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