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しおりを挟む「茉莉花、ごめん!許してくれ‼︎」
玄関を入って茉莉花を先に上がらせて、俺はポーチに膝をつき額を土足ゾーンに限りなく近付ける。
パフォーマンス臭くていけないか。
でもなるべく早く謝りたかったし、この先の話し合いに持ち込むために喉を慣らしておきたかった。
「…空くん?」
「妊娠のこと、浮気を一瞬でも疑って悪かった。もう俺に冷めてるかもしれないけど、ちゃんと謝罪だけはさせてくれ。茉莉花を信用せず傷付けてすまなかった」
茉莉花はオロオロと俺を起こそうとして、けれど唐揚げがひとつ刺さった串を持っていたために俺に触れないようだ。
「分かったから、そういうのやめて。あっちで話そう」
「ごめん」
「食べながら聞くね」
「…うん」
結局、真剣さが減ってしまうようだが俺たちは食事をしながらそれぞれに思っていたことや不満なんかを交換した。
茉莉花は当然ながら不誠実な俺の言動に失望していたし、未だ「おめでとう」も「結婚しよう」も言われてないことに大変ご立腹であった。
そして俺の過去のことは理解しつつも、いつまでもそこで止まっていることが煩わしいのだとポテトを頬張る。
「元カノ元カノって、今カノの私がいながらいつまで囚われてるの。『浮気するな』って、人として当たり前のことをわざわざ釘刺されるのも嫌だった」
「ごめん」
「空くんはさ、私が好きなんじゃなくて『浮気しない女の子』が好きなのかな」
「そんなことない。でも正直言えば『浮気せず従順でちょっとエロい茉莉花』が好きだった。だから精力剤の力とはいえあんなエロい姿を見せられて興奮を通り過ぎて心配になってた。俺で満足しなかったら他所で発散するかもって」
俺のワガママで勝手な言い分を聞いて、茉莉花は
「今も昔も空くんしか知らないもん」
と油に濡れた唇を尖らせる。
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