魔王なんですか？とりあえずお外に出たいんですけど！

19◆リオネル視点

「アデルは笑うと天界に咲いた一輪の百合のように愛らしく、アデルは触り心地が良すぎて私の欲望が……」

「陛下、仕事してください」

陛下のアデル様語り(つまりノロケ)のせいで、仕事に集中できない。

しかし、陛下は器用なもので………手はスパスパと書類仕事を真面目にしている。

………口はノロケを延々と語り、表情がうっとりしているけど。

私は陛下ほど器用じゃないから、仕事中は泣く泣く集中する。

ルーチェ殿のことを私も考えながらしたいが、それでミスしたらいけないから仕方ないことだ。



ところで、陛下には少し……いやかなり、困ったところがある。

それは、アデル様を一歩も外に出さないこと。

私はアデル様のことはそんなには気にしていないが、ルーチェ殿はアデル様を心配しているんだ。

外に一歩も出ないなんて、アデル様の身体に悪いと猛抗議している。

しかし、陛下はアデル様が誰かに横取りされないか…アデル様に言い寄る悪い虫はいないか…アデル様にとっての危険がないか………いろいろ心配しているせいで、アデル様を部屋に閉じ込めている。

アデル様本人が外に出たいと言うこともあるそうだが、陛下はやっぱりアデル様を閉じ込めたままらしい。

おかげで、ルーチェ殿が陛下を暗殺しようか悩んでいるよ。

まぁ、力の差があるから全力で暗殺は止めさせるけどね。