不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました！

13◆神様視点

「やぁやぁ可愛いワンちゃん！僕の世界にいらっしゃい！」

人間が勇者召喚をやらかした。

まぁ、別に僕はどうなっても気にするつもりはないけどね！

一応禁忌にはなっているけど、僕が禁忌にしたわけじゃないから、気にしない！

さて、勇者召喚で召喚される生命体は、一度僕とお話するんだよ。

今回やって来たのは、弱っている可愛いワンちゃん！

異世界のハスキーって犬種らしいね。

もう死ぬ一歩手前まで身も心も弱っている。

勇者召喚でたまたま選ばれただけに過ぎないけれど、もしかしたらこのワンちゃんの強い気持ちが運良く召喚に引っ掛かったのかもね。

「ねぇ、会いたいんだよね？大好きなご主人様に。こういうのって、必然っていうのかな？僕の世界にいるよ」

ワンちゃんの耳がピクリと動いた。

「………いる？………俺の……最愛の……ご主人…様……」

「姿は変わったし、名前も変わったけど、ちゃんと記憶はあるみたい」

ワンちゃんは涙を流して、会いたい会いたいと大切なご主人様を強く求める。

「君の望みを叶えてあげる。世界を壊さないなら何をしてもいいよ。僕ね、可愛い子にはいっぱいサービスしたくなるから、きっと君のご主人様も喜んでくれるよ！力の使い方は本能でわかるようになっているからね。ふふ、それじゃあいってらっしゃい！」

僕は、ワンちゃんを僕の世界に向かわせた。

まだ泣いていたけど、すぐに泣いている場合じゃなくなるよ？

だって、君は本能でわかるようになったから。

君が大好きな、最愛のご主人様の存在を。

ふふ、早く行ってあげるといいよ！