1 / 1
終わり良ければすべて良し?
しおりを挟む
「マリアンヌ!貴様を婚約破棄して、僕はアイザックを婚約者にする!」
その日、城では王族主催の夜会が開かれていました。
その夜会でマリアンヌは、婚約者のマイケルから婚約破棄をされたのです。
突然のことに、大半の人は驚いています。
しかし、それ以外に喜んでいる人と残念がっている人たちもいます。
そして、喜んでいる人の内に国王と王妃は入っています。
「婚約破棄を認めよう。マリアンヌよ、後で例の物を渡そう」
「はい。陛下、ありがとうございます!」
「例の物?」
例の物がわからないマイケルは、不思議そうにしています。
まぁ、マイケルはわからなくて当然なのです。
この婚約破棄に喜んでいる内に入っているのは、実はマリアンヌもなのです。
その理由は………。
「マイケル殿下、貴方のおかげで私は、ずっと前から欲しかった幻の聖典を手に入れます。最高に嬉しいですわ!ありがとうございました!」
「幻の聖典?」
例の物の名前を聞いても、マイケルはやっぱりわかりませんでした。
「マイケルよ、お前に言わねばならんことがある。心して聞くのだ」
「?……はい、父上」
国王と王妃は、とてもニコニコしていて、今から何かしらの素晴らしいことでも言いそうな雰囲気でした。
しかし。
「私と妻は、離婚することになった」
「!?」
それは、マイケルにとって本当に突然の話だったので、驚きすぎてマイケルは腰を抜かしてしまいました。
「実はな、マイケルで賭け事をしていたのだ。マイケルが婚約破棄をしたら私たちは離婚で、婚約破棄をしなかったら離婚はせずに側室を迎えるとな」
国王にジーク公爵が近寄り、国王の腰に腕を回して抱き寄せます。
「マイケル殿下、私は陛下を……シャールを愛しています。これは王妃様も公認のことで、離婚を悩んだ王妃様は、マイケル殿下の行動で決める賭け事を始めたのです」
そう、この婚約破棄は賭け事の対象だったのです。
『婚約破棄をする』に賭けていた国王と王妃とジーク公爵とマリアンヌは、嬉しくて堪りません。
『婚約破棄をしない』に賭けていた人たちは、それはもう残念がっています。
ちなみに、マリアンヌの言う『幻の聖典』とは、もう売られていない幻とも言える、マリアンヌのもっとも推している人のBL本のことです。
王妃は、国王を愛してはいますが、森でスローライフがしたいので離婚したかったのです。
国王とジーク公爵は、堂々と愛し合いたかったのです。
そして、その他の人たちは賭け事に便乗しただけです。
マイケルは何も知りませんでした。
アイザックは、そんなマイケルを慰めます。
「マイケル様、ずっと私が一緒にいますよ」
「君は……知っていたのか?」
「さぁ?」
ふふ…っと笑うアイザックを、マイケルは不安に思ってしまいました。
「さて、マイケル。お前はアイザックの自宅の婿養子になってもらう」
マイケルは、元々王太子ではないし、兄弟なら5人もいるから、アイザックの家の婿養子になっても何も困らないのです。
マイケルは、愛しているアイザックと婚約できるのに嬉しく思えませんでした。
「マイケル様、貴方は私のモノですよ。逃がす気はありませんからね」
マイケルの耳元で、アイザックが妖しく囁きます。
この婚約破棄で、ショックを受けたのは、賭け事に負けた人を除けばマイケルだけでした。
(まるで………僕は生け贄みたいだ)
あれから数ヶ月が過ぎました。
国王とジーク公爵は正式に結婚しました。
王妃だったサラは、森でのんびりスローライフをエンジョイしています。
マリアンヌは、新しい婚約者とBLに夢中です。
そして、マイケルとアイザックは仲睦まじく暮らしています。
あれから、アイザックがたっぷりマイケルを慰めたので、二人の愛は失ってはいません。
アイザックのマイケルへの溺愛に、多少周りの人たちは胸焼けが辛いそうです。
皆が幸せなので、終わり良ければすべて良しというやつです。
その日、城では王族主催の夜会が開かれていました。
その夜会でマリアンヌは、婚約者のマイケルから婚約破棄をされたのです。
突然のことに、大半の人は驚いています。
しかし、それ以外に喜んでいる人と残念がっている人たちもいます。
そして、喜んでいる人の内に国王と王妃は入っています。
「婚約破棄を認めよう。マリアンヌよ、後で例の物を渡そう」
「はい。陛下、ありがとうございます!」
「例の物?」
例の物がわからないマイケルは、不思議そうにしています。
まぁ、マイケルはわからなくて当然なのです。
この婚約破棄に喜んでいる内に入っているのは、実はマリアンヌもなのです。
その理由は………。
「マイケル殿下、貴方のおかげで私は、ずっと前から欲しかった幻の聖典を手に入れます。最高に嬉しいですわ!ありがとうございました!」
「幻の聖典?」
例の物の名前を聞いても、マイケルはやっぱりわかりませんでした。
「マイケルよ、お前に言わねばならんことがある。心して聞くのだ」
「?……はい、父上」
国王と王妃は、とてもニコニコしていて、今から何かしらの素晴らしいことでも言いそうな雰囲気でした。
しかし。
「私と妻は、離婚することになった」
「!?」
それは、マイケルにとって本当に突然の話だったので、驚きすぎてマイケルは腰を抜かしてしまいました。
「実はな、マイケルで賭け事をしていたのだ。マイケルが婚約破棄をしたら私たちは離婚で、婚約破棄をしなかったら離婚はせずに側室を迎えるとな」
国王にジーク公爵が近寄り、国王の腰に腕を回して抱き寄せます。
「マイケル殿下、私は陛下を……シャールを愛しています。これは王妃様も公認のことで、離婚を悩んだ王妃様は、マイケル殿下の行動で決める賭け事を始めたのです」
そう、この婚約破棄は賭け事の対象だったのです。
『婚約破棄をする』に賭けていた国王と王妃とジーク公爵とマリアンヌは、嬉しくて堪りません。
『婚約破棄をしない』に賭けていた人たちは、それはもう残念がっています。
ちなみに、マリアンヌの言う『幻の聖典』とは、もう売られていない幻とも言える、マリアンヌのもっとも推している人のBL本のことです。
王妃は、国王を愛してはいますが、森でスローライフがしたいので離婚したかったのです。
国王とジーク公爵は、堂々と愛し合いたかったのです。
そして、その他の人たちは賭け事に便乗しただけです。
マイケルは何も知りませんでした。
アイザックは、そんなマイケルを慰めます。
「マイケル様、ずっと私が一緒にいますよ」
「君は……知っていたのか?」
「さぁ?」
ふふ…っと笑うアイザックを、マイケルは不安に思ってしまいました。
「さて、マイケル。お前はアイザックの自宅の婿養子になってもらう」
マイケルは、元々王太子ではないし、兄弟なら5人もいるから、アイザックの家の婿養子になっても何も困らないのです。
マイケルは、愛しているアイザックと婚約できるのに嬉しく思えませんでした。
「マイケル様、貴方は私のモノですよ。逃がす気はありませんからね」
マイケルの耳元で、アイザックが妖しく囁きます。
この婚約破棄で、ショックを受けたのは、賭け事に負けた人を除けばマイケルだけでした。
(まるで………僕は生け贄みたいだ)
あれから数ヶ月が過ぎました。
国王とジーク公爵は正式に結婚しました。
王妃だったサラは、森でのんびりスローライフをエンジョイしています。
マリアンヌは、新しい婚約者とBLに夢中です。
そして、マイケルとアイザックは仲睦まじく暮らしています。
あれから、アイザックがたっぷりマイケルを慰めたので、二人の愛は失ってはいません。
アイザックのマイケルへの溺愛に、多少周りの人たちは胸焼けが辛いそうです。
皆が幸せなので、終わり良ければすべて良しというやつです。
1
お気に入りに追加
38
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
[完結]嫁に出される俺、政略結婚ですがなんかイイ感じに収まりそうです。
BBやっこ
BL
実家は商家。
3男坊の実家の手伝いもほどほど、のんべんだらりと暮らしていた。
趣味の料理、読書と交友関係も少ない。独り身を満喫していた。
そのうち、結婚するかもしれないが大した理由もないんだろうなあ。
そんなおれに両親が持ってきた結婚話。というか、政略結婚だろ?!
婚約破棄?しませんよ、そんなもの
おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。
アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。
けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり……
「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」
それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。
<嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>
どうして卒業夜会で婚約破棄をしようと思ったのか
中屋沙鳥
BL
「カトラリー王国第一王子、アドルフ・カトラリーの名において、宣言する!本日をもって、サミュエル・ディッシュウェア公爵令息との婚約を破棄する。そして、リリアン・シュガーポット男爵令嬢と婚約する!」卒業夜会で金髪の王子はピンクブロンドの令嬢を腕にまとわりつかせながらそう叫んだ。舞台の下には銀髪の美青年。なぜ卒業夜会で婚約破棄を!そしてなぜ! その日、会場の皆の心は一つになった/男性も妊娠出産できる前提ですが、作中に描写はありません。
婚約破棄と言われても・・・
相沢京
BL
「ルークお前とは婚約破棄する!」
と、学園の卒業パーティーで男爵に絡まれた。
しかも、シャルルという奴を嫉んで虐めたとか、記憶にないんだけど・・
よくある婚約破棄の話ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
***********************************************
誹謗中傷のコメントは却下させていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる