人魚姫は不幸にならない！〜私は泡になんてならないのよ！〜

3◆ミリアーナ視点

私はまず、人間になる薬を作ったのよ。

怪しい薬は、買ったり貰ったりしないで作る派なの。

だって、何が入っているか不安だからね？

安心安全は大事なことよ！

グツグツ煮える鍋の液体を冷まして、小瓶に詰める。

そして、私はお父様とお母様に別れを告げて旅立つの。

人魚姫の巣立ちよ！イエーイ！



陸地(浜辺)で、小瓶の中身を飲み干せば私は一人の人間の少女になっていた。

ちゃんと人間になれて良かったわ！

だけど、人間になれても私には衣服がないのよ………。

どこかにワカメでもないかしらね？

そう思っていたら………。

「な！？こんなところに全裸の少女が！どうしたんだお嬢さん！？」

「あら」

それはそれは立派な胸毛のおじ様が、私に駆け寄ってきて上着を着せてくれたの。

………上着をおじ様が脱いだ瞬間、胸毛のボリュームにちょっと驚いてしまったわ。

羊という生き物を絵でみたことがあるけれど、おじ様の胸毛はまさに羊ぐらいありそうだわ！

「お嬢さん、追い剥ぎにでもあったのかい？」

「いいえおじ様。私は、真夜中に浜辺を全裸で走り回る男を探しているの」

「そんな変態に襲われたのかい！？」

「襲われてはいないわよ？」

私は正直に話しているのだけれど、何故かおじ様に哀れむような眼差しを向けられてしまったわ。解せぬ。

「お嬢さん、良かったら家に来るかい？」

「あら、いいの？ありがとうおじ様！」

「俺はガイン。お嬢さんは？」

「私はミリアーナよ」

こうして、おじ様は私を抱っこして自宅に連れて帰ってくれたのよ。



………ちなみにガイン様は、この国の国王様だったわ。