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12◆リオネル視点

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「リオネル………お前………」

私をみつめるルーチェ殿の瞳には、明らかにドン引きの感情がこもっていた。

今、私はルーチェ殿のいなかった隙に、ルーチェ殿の部屋で少々ルーチェ殿のパンツを拝借して、クンクンクンクンと匂いを堪能しているところだったんだ。

しかし、まだ部屋に戻らないと思っていたルーチェ殿が入室してきて………モロにみられた。

「ルーチェ殿……」

言い訳だけでもしたいのに、ルーチェ殿の視線が私の股間あたりで止まっていて、確認したら息子が元気になっていた。

「……変態」

「あぅっ!」

そっと近づいてきたルーチェ殿は、私を変態と罵り、ついでのように私の股間を踏みつけた。

「ルーチェ殿!これ気持ちいいです!もっとしてください!」

まさか、こんな大事な部分を踏まれるのが気持ちいいなんて知らなかった。

喜ぶ私に対し、ルーチェ殿は溜め息を吐いて足を退けた。

………もっとしてほしかったな。

「なぁ、リオネル。そんなに欲求不満なのか?」

ルーチェ殿は私を真っ直ぐ見下ろすので、素直にちょっと欲求不満だと伝えた。

すると………。

「………」

ちゅっ!

私に、初めてルーチェ殿からキスをしてくれたんだ。

軽く唇が唇に当たる軽いキスだが、突然の幸福に私は驚きすぎて硬直してしまった。

「そんなに欲求不満なら、変態行為する前に言えよな。可愛いがってやるから」

微笑むルーチェ殿。

今のルーチェ殿は可愛いではなく、色っぽい男らしさを感じる。

私の心が、乙女のようにキュンキュンしてしまった。

「ルーチェ殿……ついに私の想いに応え」

「そこまでは言ってない」

応えてくれたのかと思いきや、やっぱりまだだった。

まぁ、私がパンツの匂いを嗅いでいる姿みてドン引きしていたしな………。

「ところで、可愛いがってやるから、パンツは返せよ?あと、もうするなよ。はっきり言って気持ち悪いから」

「あふん……っ!ルーチェ殿、そんなこと言われたら、気持ち良くなってしまいます」

「………」

ルーチェ殿は、私の頭を撫でつつパンツを取り返した。

そんなにパンツをクンクンされるのが嫌だったんだろうか?



それから、確かにルーチェ殿は私を可愛いがってくれた。

………しかし、なんか想像と違った。

「リオネル、お手」

「はい!」

「おかわり」

「はい!」

「伏せ」

「はい!」

………犬。

完全に扱いが犬だった。

可愛いがるって………そういう意味だったのかと、ちょっとエッチなことを期待していたから軽くショックだった。

でも、ルーチェ殿にいっぱい構ってもらえたことは、嬉しかったな。
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感想 10

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