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第四話
恋のから騒ぎは
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「助けに来たぞ!!」
飛び込んできたエグバードと目が合う。
連戦を潜り抜けてきたのであろう、息を弾ませていたが、疲労の色はない。
瞳を輝かせ、鮮やかな笑みを浮かべていた。
視線が絡んだ一瞬、わずかの躊躇いがあったのは、名を呼ぶのを堪えたせいだと思われた。アシュレイ、と。
事情を知らぬ者がいる場では、レイナで通さねばならない。
アシュレイは極めて中途半端な微笑を浮かべて頷いてみせた。
なお、いまだソファでアリシアに組み敷かれている状態である。
姫君の膝は、アシュレイの脇腹の怪我に軽くめりこむように触れていて、緊張感は抜群。
「助けに……」
(……助けとは?)
エグバードに曖昧な笑みを向けつつ、疑問を覚えてしまったアシュレイは言葉を途切れさせた。「諸悪の根源はライアスさんでは?」と口走りそうになったものの、寸前で飲み込む。
ことこの期に及んで「根源」など追及しない方が良いに決まっている。
何せその前にカイルに誘拐されたのはアシュレイである。さらに言えば、そもそもこの状況を作る原因となったのは、結婚を承諾しながら騎士団長オズワルドとどさくさに紛れて駆け落ちしたレイナであった。
何かと同朋がすみません、と申し訳ない気分にもなってくる。
なお、カイルはどうしたのだろうと思う間もなく、迫って来ていたらしい兵士をドアの向こうでズシャっと蹴り上げている姿が見えた。元気そうだった。
その挙句、悠々と部屋に入って来て、開口一番それを口にしてしまった。
「アシュレイ、迎えに来た」
(名前言っちゃった~~、エグバード様は言わなかったのに。カイルが言っちゃった~~)
天然だなぁ、と頭を抱えたくなる。
それでいて、目が合った瞬間、邪悪なまでに清々しく微笑まれて、これはわざとかも、という考えもかすめた。
アシュレイの上に乗り上げていたアリシアが、ちらりと視線を向けてくる。
何か、とても言いたげな笑みを浮かべていた。
(なんだろう、私はそこまで察しが良くないので読み取れないんですけど、絶対腹に一物がありますね……)
わかんないです、アイコンタクトだけではわかりません、という意味を込めてアシュレイは虚ろに笑いながら小さく首を振った。
心得たように、アリシアに力強く頷き返される。
顔を上げて、侵入者の男二人に目を向けて鋭く言い放った。
「こちらの姫君の本当の名前が『アシュレイ』ということ? レイナ姫ではないのね」
(うん。ばれてる)
それ以外には考えようがない状況だし、致し方ない。
エグバードは鼻白んだような表情になりかけたが、気を取り直したように答えた。
「俺の愛する妻だ。返してもらいにきた」
アリシアの膝が、アシュレイの怪我をやわらかく圧してくる。アシュレイは「くっ」と息をのんだ。
「お生憎さま。わたくしたちの関係は見ての通りよ。邪魔をしにきたのはあなた。お帰り頂けるかしら?」
「見ての通り……」
エグバードとカイルの視線が集中するのを感じて、アシュレイは奥歯を噛みしめた。どういう反応だろうと思うものの、アシュレイ自身説明が思いつかない。
だが、いつまでもそのままではいられない。
(いずれにせよ、来てしまったものは仕方ない)
彼らの目的はアシュレイを取り戻すこと。
アリシアの目的はアシュレイの確保。
私は。
アシュレイはごくわずかに目を細める。呼吸を整え、すばやく腕を伸ばしてアリシアの手首を掴んで捻り上げ、身を翻す。ソファから転がり落ちながら、怪我の痛みに顔をしかめつつ立ち上がった。
「いい加減にしてください! 王族の色恋沙汰に巻き込まれるのはいい迷惑です!! エグバード様とアリシア様はもっと話し合ってください、カイルは何しにきたのかわからないんですけど、ひっかきまわさない!!」
思いっきり声を張り上げてはみたものの、威勢の良さは長く続かず。いてててて、と脇腹をおさえて前かがみになってしまった。
素早く歩み寄ってきたエグバードに「大丈夫か」と横から支えられる。
そのまま、控えめながらおそるおそる確認された。
「アリシア姫とは、その……何も?」
「『何も』って何を聞きたいのかわかりませんが、今のところ何もありません。アリシア様の目的はたぶん『処女の生き血』みたいですけど、傷口開かれる以上のことはなかったです」
言っているうちに、傷の痛みで気が遠くなってきた。
「傷口を開かれる?」
なんとか意識を繋ぎ止めて、口で呼吸をしながら答える。
「ぐりぐりいじめられました。たぶん、そのうち両手を傷口にかけて開いて牙を突き立て、そのまま生き血をすするつもりだったんじゃないかと思いますけど、その前になんとか。あ、そうか」
アリシアのその絵面、想像すると凄まじいなと思いつつ。
唐突に気付いて、エグバードを見上げる。
じくじくとした傷口の痛みに耐えながら、なんとか微笑んで見せた。
「そう考えると私、結構まずい状況でしたね。助けに来てもらって良かったんだ」
理解して、納得したことを伝えてみた。
大きく目を見開いたエグバードに、顔を覗き込まれる。
「それはもちろん……。君の身の安全に関して、俺には責任がある」
そうだ、そんなことも言っていた気がする。
「『守る』っていう約束を果たしにきたんですか? エグバード様、律儀ですね」
エグバードはアシュレイを片腕で支えながら、もう一方の手でアシュレイの手を包み込み、唇に寄せて指に口づけた。
「当然だ。無事で? 良かった」
若干の疑問を覚えたらしかったが、まずまずの再会を喜んでくれているらしい。
アシュレイははにかむように笑ってから「痛い……」と堪えきれずに呟き、エグバードに抱きかかえられた。
(最近、いつもこれだ)
心は遠く、結ばれてなどいないはずなのに。まるで大切な相手のように扱われている。
この状態では剣が振るえないはずとか、足手まといになってしまう、どうやって脱出するつもりだろうという実質的なことが頭の中を駆け巡ったが。
何もかも不安とともに押し込めて、その胸に額を寄せた。
「カイルとは仲直りしたんですか」
「喋ると辛そうだな。黙っていていい。あの男に関しては、アシュレイを連れ戻すつもりらしいので、一時休戦だ。アシュレイを取り返してから改めて決着をつけることになっている」
「う~ん、なんの用なんだろう……」
腕にしっかりと包み込まれると、全身の力が抜けそうだった。
「怪我人なのに、無理をさせてみたいで悪かったな」
エグバードにぼそりと言われて、アシュレイは「ライアスさんから聞きました?」と言おうか言うまいか悩み、結局目を閉ざした。
少なくとも、この人は絶対に自分を裏切らない。そう信じて。
* * *
二人の様子を興味深げに見ていたアリシアは、たたんだ扇を口元で広げて、カイルに視線を流した。
視線をエグバードとアシュレイから逸らさぬまま、カイルは素早くアリシアの元へと歩み寄る。
「結局のところ、どういうことなのかしら、あの二人」
扇の影から抑制された声で尋ねられ、カイルは落ち着き払って答えた。
「無理してるんですよ」
「どのように」
「愛なんてないのに、必死に夫婦の形を取り繕っているんです。かわいそうにアシュレイは、あんな怪我までして」
怪我、という単語を耳にしたアリシアは軽く咳ばらいをしてさりげなく話を終わらせた。
扇でぱたぱたと自分を仰ぎつつ、ふうん、と考え深げな声を上げる。
「わたくしが話を聞いた限りはエグバード様の片思いかと思っていたのだけど……。こうして見るとそこまで絶望的でもないような……。この際はっきりさせたいわね」
目を細めてアリシアを見下ろしたカイルが、押し殺した声で問いかけた。
「何を?」
ぱちん、と扇を閉じてアリシアは厳かに宣言する。
「別れるかくっつくか、はっきりさせたいと思わない? ああいう中途半端な両片思い見ているとむずがゆくて……、いっそぶち壊したくなるの」
神妙な顔をで聞いていたカイルは、なるほど、と頷いてから言った。
「加勢します」
飛び込んできたエグバードと目が合う。
連戦を潜り抜けてきたのであろう、息を弾ませていたが、疲労の色はない。
瞳を輝かせ、鮮やかな笑みを浮かべていた。
視線が絡んだ一瞬、わずかの躊躇いがあったのは、名を呼ぶのを堪えたせいだと思われた。アシュレイ、と。
事情を知らぬ者がいる場では、レイナで通さねばならない。
アシュレイは極めて中途半端な微笑を浮かべて頷いてみせた。
なお、いまだソファでアリシアに組み敷かれている状態である。
姫君の膝は、アシュレイの脇腹の怪我に軽くめりこむように触れていて、緊張感は抜群。
「助けに……」
(……助けとは?)
エグバードに曖昧な笑みを向けつつ、疑問を覚えてしまったアシュレイは言葉を途切れさせた。「諸悪の根源はライアスさんでは?」と口走りそうになったものの、寸前で飲み込む。
ことこの期に及んで「根源」など追及しない方が良いに決まっている。
何せその前にカイルに誘拐されたのはアシュレイである。さらに言えば、そもそもこの状況を作る原因となったのは、結婚を承諾しながら騎士団長オズワルドとどさくさに紛れて駆け落ちしたレイナであった。
何かと同朋がすみません、と申し訳ない気分にもなってくる。
なお、カイルはどうしたのだろうと思う間もなく、迫って来ていたらしい兵士をドアの向こうでズシャっと蹴り上げている姿が見えた。元気そうだった。
その挙句、悠々と部屋に入って来て、開口一番それを口にしてしまった。
「アシュレイ、迎えに来た」
(名前言っちゃった~~、エグバード様は言わなかったのに。カイルが言っちゃった~~)
天然だなぁ、と頭を抱えたくなる。
それでいて、目が合った瞬間、邪悪なまでに清々しく微笑まれて、これはわざとかも、という考えもかすめた。
アシュレイの上に乗り上げていたアリシアが、ちらりと視線を向けてくる。
何か、とても言いたげな笑みを浮かべていた。
(なんだろう、私はそこまで察しが良くないので読み取れないんですけど、絶対腹に一物がありますね……)
わかんないです、アイコンタクトだけではわかりません、という意味を込めてアシュレイは虚ろに笑いながら小さく首を振った。
心得たように、アリシアに力強く頷き返される。
顔を上げて、侵入者の男二人に目を向けて鋭く言い放った。
「こちらの姫君の本当の名前が『アシュレイ』ということ? レイナ姫ではないのね」
(うん。ばれてる)
それ以外には考えようがない状況だし、致し方ない。
エグバードは鼻白んだような表情になりかけたが、気を取り直したように答えた。
「俺の愛する妻だ。返してもらいにきた」
アリシアの膝が、アシュレイの怪我をやわらかく圧してくる。アシュレイは「くっ」と息をのんだ。
「お生憎さま。わたくしたちの関係は見ての通りよ。邪魔をしにきたのはあなた。お帰り頂けるかしら?」
「見ての通り……」
エグバードとカイルの視線が集中するのを感じて、アシュレイは奥歯を噛みしめた。どういう反応だろうと思うものの、アシュレイ自身説明が思いつかない。
だが、いつまでもそのままではいられない。
(いずれにせよ、来てしまったものは仕方ない)
彼らの目的はアシュレイを取り戻すこと。
アリシアの目的はアシュレイの確保。
私は。
アシュレイはごくわずかに目を細める。呼吸を整え、すばやく腕を伸ばしてアリシアの手首を掴んで捻り上げ、身を翻す。ソファから転がり落ちながら、怪我の痛みに顔をしかめつつ立ち上がった。
「いい加減にしてください! 王族の色恋沙汰に巻き込まれるのはいい迷惑です!! エグバード様とアリシア様はもっと話し合ってください、カイルは何しにきたのかわからないんですけど、ひっかきまわさない!!」
思いっきり声を張り上げてはみたものの、威勢の良さは長く続かず。いてててて、と脇腹をおさえて前かがみになってしまった。
素早く歩み寄ってきたエグバードに「大丈夫か」と横から支えられる。
そのまま、控えめながらおそるおそる確認された。
「アリシア姫とは、その……何も?」
「『何も』って何を聞きたいのかわかりませんが、今のところ何もありません。アリシア様の目的はたぶん『処女の生き血』みたいですけど、傷口開かれる以上のことはなかったです」
言っているうちに、傷の痛みで気が遠くなってきた。
「傷口を開かれる?」
なんとか意識を繋ぎ止めて、口で呼吸をしながら答える。
「ぐりぐりいじめられました。たぶん、そのうち両手を傷口にかけて開いて牙を突き立て、そのまま生き血をすするつもりだったんじゃないかと思いますけど、その前になんとか。あ、そうか」
アリシアのその絵面、想像すると凄まじいなと思いつつ。
唐突に気付いて、エグバードを見上げる。
じくじくとした傷口の痛みに耐えながら、なんとか微笑んで見せた。
「そう考えると私、結構まずい状況でしたね。助けに来てもらって良かったんだ」
理解して、納得したことを伝えてみた。
大きく目を見開いたエグバードに、顔を覗き込まれる。
「それはもちろん……。君の身の安全に関して、俺には責任がある」
そうだ、そんなことも言っていた気がする。
「『守る』っていう約束を果たしにきたんですか? エグバード様、律儀ですね」
エグバードはアシュレイを片腕で支えながら、もう一方の手でアシュレイの手を包み込み、唇に寄せて指に口づけた。
「当然だ。無事で? 良かった」
若干の疑問を覚えたらしかったが、まずまずの再会を喜んでくれているらしい。
アシュレイははにかむように笑ってから「痛い……」と堪えきれずに呟き、エグバードに抱きかかえられた。
(最近、いつもこれだ)
心は遠く、結ばれてなどいないはずなのに。まるで大切な相手のように扱われている。
この状態では剣が振るえないはずとか、足手まといになってしまう、どうやって脱出するつもりだろうという実質的なことが頭の中を駆け巡ったが。
何もかも不安とともに押し込めて、その胸に額を寄せた。
「カイルとは仲直りしたんですか」
「喋ると辛そうだな。黙っていていい。あの男に関しては、アシュレイを連れ戻すつもりらしいので、一時休戦だ。アシュレイを取り返してから改めて決着をつけることになっている」
「う~ん、なんの用なんだろう……」
腕にしっかりと包み込まれると、全身の力が抜けそうだった。
「怪我人なのに、無理をさせてみたいで悪かったな」
エグバードにぼそりと言われて、アシュレイは「ライアスさんから聞きました?」と言おうか言うまいか悩み、結局目を閉ざした。
少なくとも、この人は絶対に自分を裏切らない。そう信じて。
* * *
二人の様子を興味深げに見ていたアリシアは、たたんだ扇を口元で広げて、カイルに視線を流した。
視線をエグバードとアシュレイから逸らさぬまま、カイルは素早くアリシアの元へと歩み寄る。
「結局のところ、どういうことなのかしら、あの二人」
扇の影から抑制された声で尋ねられ、カイルは落ち着き払って答えた。
「無理してるんですよ」
「どのように」
「愛なんてないのに、必死に夫婦の形を取り繕っているんです。かわいそうにアシュレイは、あんな怪我までして」
怪我、という単語を耳にしたアリシアは軽く咳ばらいをしてさりげなく話を終わらせた。
扇でぱたぱたと自分を仰ぎつつ、ふうん、と考え深げな声を上げる。
「わたくしが話を聞いた限りはエグバード様の片思いかと思っていたのだけど……。こうして見るとそこまで絶望的でもないような……。この際はっきりさせたいわね」
目を細めてアリシアを見下ろしたカイルが、押し殺した声で問いかけた。
「何を?」
ぱちん、と扇を閉じてアリシアは厳かに宣言する。
「別れるかくっつくか、はっきりさせたいと思わない? ああいう中途半端な両片思い見ているとむずがゆくて……、いっそぶち壊したくなるの」
神妙な顔をで聞いていたカイルは、なるほど、と頷いてから言った。
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