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(後日談・2)
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焼き菓子販売・シェラザードの開店準備が大詰めを迎える中、シルヴィアは忙しく過ごしていた。
その慌ただしさは、屋敷のメイドたちが、おいそれと声をかける暇もないほど。
朝に家を出て、帰って来るともう夜遅く。お菓子だけではなく、パンなども販売するということで「試作品でお腹いっぱいなの!」というシルヴィアは、屋敷で食事をしない日もある。
送り迎えと手伝いを兼ねて、一緒に出かけていたメイドや従者と玄関ホールで解散。留守番のメイドには「もう遅いから、ひとりで大丈夫」と手伝いを断って部屋へと戻る。
シルヴィアの部屋には、オリビエと出会った頃に家に住み着くようになった猫が、怠惰な様子でソファを占領し、ごろんと寝ていた。その姿を見るだけでシルヴィアは嬉しい気持ちになり、顔をほころばせて「ただいま。あなた、また大きくなったんじゃない? 何か美味しいものを食べたのね」と声をかける。猫に無視をされるのは、いつものこと。
気にせず、用意されていた湯を使って身支度をすませると、すぐに寝てしまう。
明けて次の朝も、目を覚ますなりベッドから跳ね起きて、「今日も忙しい」とさっさと自分でドレスを身に着ける。
猫は、寝る前に見かけたのと同じ場所で、シルヴィアには興味もない様子でごろんと寝ていた。無視されるのはわかっているのだが、「ごめんね、今日は昨日より早く帰って来るつもりだけど、お腹すいたら何かもらってね」と律儀に声をかけてから、シルヴィアはドアへと向かった。
(本当に、最近は忙しすぎて。みんなも疲れがたまってきているし、今日は私だけで行って、午前中で切り上げてきたほうが良いかも知れない。おやすみも大切よね)
日にちの感覚もなりかけていたのを反省しつつ、がちゃ、とドアを開ける。
目の前を、誰かが通り過ぎた。
背が高い。
足を止めて、戻って来る。
「おはよう、シルヴィア。朝から会えるなんて思わなかったな。嬉しい」
この声はまさか、と思いながらシルヴィアがかくかくと顔を上げると、ゆるく赤毛を結んで肩から胸元へと流し、黒縁眼鏡をかけたオリビエが立っていた。
言葉もなく、シルヴィアはドアノブから手を離して、部屋の中へと後退する。
(プライベートの……、とてもリラックスしたオリビエ様……!! 眼福!! 私は眼福ですけど、オリビエ様には寝起きの私という、大変粗末なものを見せてしまいました……!!)
嬉しい思いがありつつ、とんでもないことをしてしまったという後悔もあって、感情がおおいに乱れていた。
部屋に引き返したはいいものの、そのままその場にひざをついて崩れ落ちてしまう。
「シルヴィア……? え、どうしたの? 貧血かな!?」
ドアからちらっと覗き込んできたオリビエが、焦ったような声を上げて、飛び込んでくる。床に座り込んでいたオリビエを、躊躇いなく抱き上げた。
「きゃああ、す、すみません、ちがいます違います……!!」
「違うって何が? 倒れていたよね?」
抱え上げられたせいで、とても顔の位置が近い。真剣な表情のオリビエに至近距離からのぞきこまれて、シルヴィアは頬に血を上らせつつ「ちがいます……」とかすれた声で続けた。
「朝から、オリビエ様にお会いして、びっくりしたんです」
ゆるっとしたネルシャツを身に着けたオリビエという、普段であれば絶対に見られない姿を見られたことに感動したとまでは、言えなかった。そして、自分のことは見ないでほしい、と思っていることも口にはできなかった。
オリビエは、「ああ、ごめんね」といつも通りの優しい声で言う。
「伝わっていなかったのかな。昨日の夜に、店の設備の件で話そうと思って、立ち寄ったんだ。そこで子爵に晩餐に招かれて、事業の話もしたかったから、ごちそうになりました」
「お腹すいていたんですね」
だいたいいつも、オリビエはお腹をすかせている。
「うん。すごく。何も食べてなくて……。それで、楽しくワインを飲んで美味しい料理を食べていたら夜も遅くなってしまって。そのまま客室で休んでいくようにすすめられて、ありがたく。君が帰ってくるのを待っていようと思っていたんだけど、寝てしまったんだ」
「疲れていたんですね」
「うん。ずっと寝ていなかったから」
彼は没頭することがあると、食だけでなく体調管理全般をおろそかにする人間なのだ。
食べて寝てくれたなら良かった、とシルヴィアは微笑みながら重ねて尋ねる。
「よく眠れましたか?」
「すごく。おかげで、君が帰ってきたのも気づかなかったみたいで……。夜這いするつもりだったのに、爆睡」
悔しそうに言われて、シルヴィアはふふっとふきだした。
「夜這いをなさるオリビエ様は想像がつきませんが、お腹いっぱい食べて安らかに寝てくださったのなら安心です。ご自分の健康を、まったく省みないですからね、オリビエ様は……」
言いながら、オリビエの顔を見上げると、大変深刻そうな顔で見つめられていた。
ハッと、シルヴィアは声もなく目を見開く。
(すごく見られていましたか!? 美形の寝起きはご褒美ですけど、私の寝起きはだらしないだけです……!)
きちんと身だしなみを整えたつもりはあるのだが、化粧は特にしていないし、髪も梳かしただけだ。オリビエに見せるような姿ではない。
「見ないでください」
「だめですか? 婚約者の可愛い顔を見てはいけない理由を、教えていただけますか?」
「……追い詰めないで、ください」
小声で言いながら、シルヴィアは両手で顔を覆う。
オリビエの笑う気配が、触れ合ったところから伝わってきた。
「見られると恥ずかしい? どうして? 困らせたくないけど、もうすぐ結婚するんだから、もっと俺に慣れてほしいです。どう? 目と目で見つめ合ってみない?」
甘く囁かれて、シルヴィアは体をこわばらせた。決して嫌なわけではなく、オリビエから自分が見られないなら永遠に見ていたいのだが、いまは絶対にできないという思いが強い。
(無理~~~~~~~~~!! 私、変な顔しちゃうと想う。挙動不審になっちゃいます……!)
緊張が伝わったのだろう、オリビエは「ごめんね」と言いながら、シルヴィアを抱えたまま歩き出す。どこかに下ろしてくれるのかと思って薄目を開けると、ソファ横を通り過ぎるところだった。「猫……」と呟き声が耳をかすめる。猫が寝ていたから、避けたのだろう。
一度足を止めてから、今度はベッドへ向かうようだ。下ろす前に、声をかけてくる。
「この誘惑はすごいな。朝だけど、夜這いの練習していい?」
「だめですね。だめです。そんな練習、聞いたこともありません!」
このままベッドに下ろされると、大変まずい体勢になるのではと思ったシルヴィアは、騒ぎながら両腕を伸ばして、オリビエの首にしがみついた。
「ん?」
「自分で、床に、下ります。立てます。ベッドじゃなくていいです」
言いながら、また顔が近いと気づく。
オリビエは、とけるような笑みを浮かべてシルヴィアを見つめてきて、満ち足りたように小さく息を吐き出した。
「君はいつでも可愛いね。朝から会えた今日は、とてもいい日だ。予定はどうなってるの? 一緒に過ごせる?」
「オリビエ様は、時間があるのですか?」
「いつも忙しくしている分、休みたければいつだって休めるよ。君は?」
「今日は……、久しぶりに……休もうかと思っていました……」
甘い囁きに負けて、シルヴィアは終日休日と決める。
嬉しそうに笑いながら、オリビエは「じゃあ、午前中はまだ昨日の夜の続きということで、早速夜這いの練習を」と言い、「だめです、なんですかそれは!」と言い返すシルヴィアの唇を、すばやく奪った。抱きしめてくる腕に力をこめられて、シルヴィアはくぐもった息をもらす。
長い口づけのあと、オリビエは目元を潤ませたシルヴィアの顔をのぞきこんで「夫婦になるんだから」と囁いてくる。
もはや拒否も難しく、シルヴィアは「はい」と言いそうになった。
その次の瞬間、オリビエが「痛っ」と悲鳴を上げた。
「猫……!?」
二人で足元を見下ろすと、オリビエの足に、がぶーっと猫が噛みついていた。大変ふてぶてしい顔で。「あら」とシルヴィアは目を瞬いて、呼びかける。
「だめですよ、ジェラさん。この方に噛みついては」
「ジェラさん?」
「ええ。名前を考えているときに、シェラザードって呼んだら不満そうだったので、いろいろ変えているうちにそういう名前に……」
猫登場により、すっかり甘い空気が霧散していた。
シルヴィアはオリビエの腕に手をかけ、少し力をこめて下ろしてもらってから、正面で向き合って笑いかける。
「夫婦にはなりますけど、まだですからね。まだ。とりあえず、まずは朝食にしましょう」
危ないところだった、誘惑に負けるところだったと、安堵しつつも少しだけ残念な気持ちを胸に、ドアへと向かう。
その背後で、オリビエは小さな声で「駄猫め」と猫に話しかけていて、再び噛みつかれたらしく「痛っ」と悲鳴をあげていた。
その慌ただしさは、屋敷のメイドたちが、おいそれと声をかける暇もないほど。
朝に家を出て、帰って来るともう夜遅く。お菓子だけではなく、パンなども販売するということで「試作品でお腹いっぱいなの!」というシルヴィアは、屋敷で食事をしない日もある。
送り迎えと手伝いを兼ねて、一緒に出かけていたメイドや従者と玄関ホールで解散。留守番のメイドには「もう遅いから、ひとりで大丈夫」と手伝いを断って部屋へと戻る。
シルヴィアの部屋には、オリビエと出会った頃に家に住み着くようになった猫が、怠惰な様子でソファを占領し、ごろんと寝ていた。その姿を見るだけでシルヴィアは嬉しい気持ちになり、顔をほころばせて「ただいま。あなた、また大きくなったんじゃない? 何か美味しいものを食べたのね」と声をかける。猫に無視をされるのは、いつものこと。
気にせず、用意されていた湯を使って身支度をすませると、すぐに寝てしまう。
明けて次の朝も、目を覚ますなりベッドから跳ね起きて、「今日も忙しい」とさっさと自分でドレスを身に着ける。
猫は、寝る前に見かけたのと同じ場所で、シルヴィアには興味もない様子でごろんと寝ていた。無視されるのはわかっているのだが、「ごめんね、今日は昨日より早く帰って来るつもりだけど、お腹すいたら何かもらってね」と律儀に声をかけてから、シルヴィアはドアへと向かった。
(本当に、最近は忙しすぎて。みんなも疲れがたまってきているし、今日は私だけで行って、午前中で切り上げてきたほうが良いかも知れない。おやすみも大切よね)
日にちの感覚もなりかけていたのを反省しつつ、がちゃ、とドアを開ける。
目の前を、誰かが通り過ぎた。
背が高い。
足を止めて、戻って来る。
「おはよう、シルヴィア。朝から会えるなんて思わなかったな。嬉しい」
この声はまさか、と思いながらシルヴィアがかくかくと顔を上げると、ゆるく赤毛を結んで肩から胸元へと流し、黒縁眼鏡をかけたオリビエが立っていた。
言葉もなく、シルヴィアはドアノブから手を離して、部屋の中へと後退する。
(プライベートの……、とてもリラックスしたオリビエ様……!! 眼福!! 私は眼福ですけど、オリビエ様には寝起きの私という、大変粗末なものを見せてしまいました……!!)
嬉しい思いがありつつ、とんでもないことをしてしまったという後悔もあって、感情がおおいに乱れていた。
部屋に引き返したはいいものの、そのままその場にひざをついて崩れ落ちてしまう。
「シルヴィア……? え、どうしたの? 貧血かな!?」
ドアからちらっと覗き込んできたオリビエが、焦ったような声を上げて、飛び込んでくる。床に座り込んでいたオリビエを、躊躇いなく抱き上げた。
「きゃああ、す、すみません、ちがいます違います……!!」
「違うって何が? 倒れていたよね?」
抱え上げられたせいで、とても顔の位置が近い。真剣な表情のオリビエに至近距離からのぞきこまれて、シルヴィアは頬に血を上らせつつ「ちがいます……」とかすれた声で続けた。
「朝から、オリビエ様にお会いして、びっくりしたんです」
ゆるっとしたネルシャツを身に着けたオリビエという、普段であれば絶対に見られない姿を見られたことに感動したとまでは、言えなかった。そして、自分のことは見ないでほしい、と思っていることも口にはできなかった。
オリビエは、「ああ、ごめんね」といつも通りの優しい声で言う。
「伝わっていなかったのかな。昨日の夜に、店の設備の件で話そうと思って、立ち寄ったんだ。そこで子爵に晩餐に招かれて、事業の話もしたかったから、ごちそうになりました」
「お腹すいていたんですね」
だいたいいつも、オリビエはお腹をすかせている。
「うん。すごく。何も食べてなくて……。それで、楽しくワインを飲んで美味しい料理を食べていたら夜も遅くなってしまって。そのまま客室で休んでいくようにすすめられて、ありがたく。君が帰ってくるのを待っていようと思っていたんだけど、寝てしまったんだ」
「疲れていたんですね」
「うん。ずっと寝ていなかったから」
彼は没頭することがあると、食だけでなく体調管理全般をおろそかにする人間なのだ。
食べて寝てくれたなら良かった、とシルヴィアは微笑みながら重ねて尋ねる。
「よく眠れましたか?」
「すごく。おかげで、君が帰ってきたのも気づかなかったみたいで……。夜這いするつもりだったのに、爆睡」
悔しそうに言われて、シルヴィアはふふっとふきだした。
「夜這いをなさるオリビエ様は想像がつきませんが、お腹いっぱい食べて安らかに寝てくださったのなら安心です。ご自分の健康を、まったく省みないですからね、オリビエ様は……」
言いながら、オリビエの顔を見上げると、大変深刻そうな顔で見つめられていた。
ハッと、シルヴィアは声もなく目を見開く。
(すごく見られていましたか!? 美形の寝起きはご褒美ですけど、私の寝起きはだらしないだけです……!)
きちんと身だしなみを整えたつもりはあるのだが、化粧は特にしていないし、髪も梳かしただけだ。オリビエに見せるような姿ではない。
「見ないでください」
「だめですか? 婚約者の可愛い顔を見てはいけない理由を、教えていただけますか?」
「……追い詰めないで、ください」
小声で言いながら、シルヴィアは両手で顔を覆う。
オリビエの笑う気配が、触れ合ったところから伝わってきた。
「見られると恥ずかしい? どうして? 困らせたくないけど、もうすぐ結婚するんだから、もっと俺に慣れてほしいです。どう? 目と目で見つめ合ってみない?」
甘く囁かれて、シルヴィアは体をこわばらせた。決して嫌なわけではなく、オリビエから自分が見られないなら永遠に見ていたいのだが、いまは絶対にできないという思いが強い。
(無理~~~~~~~~~!! 私、変な顔しちゃうと想う。挙動不審になっちゃいます……!)
緊張が伝わったのだろう、オリビエは「ごめんね」と言いながら、シルヴィアを抱えたまま歩き出す。どこかに下ろしてくれるのかと思って薄目を開けると、ソファ横を通り過ぎるところだった。「猫……」と呟き声が耳をかすめる。猫が寝ていたから、避けたのだろう。
一度足を止めてから、今度はベッドへ向かうようだ。下ろす前に、声をかけてくる。
「この誘惑はすごいな。朝だけど、夜這いの練習していい?」
「だめですね。だめです。そんな練習、聞いたこともありません!」
このままベッドに下ろされると、大変まずい体勢になるのではと思ったシルヴィアは、騒ぎながら両腕を伸ばして、オリビエの首にしがみついた。
「ん?」
「自分で、床に、下ります。立てます。ベッドじゃなくていいです」
言いながら、また顔が近いと気づく。
オリビエは、とけるような笑みを浮かべてシルヴィアを見つめてきて、満ち足りたように小さく息を吐き出した。
「君はいつでも可愛いね。朝から会えた今日は、とてもいい日だ。予定はどうなってるの? 一緒に過ごせる?」
「オリビエ様は、時間があるのですか?」
「いつも忙しくしている分、休みたければいつだって休めるよ。君は?」
「今日は……、久しぶりに……休もうかと思っていました……」
甘い囁きに負けて、シルヴィアは終日休日と決める。
嬉しそうに笑いながら、オリビエは「じゃあ、午前中はまだ昨日の夜の続きということで、早速夜這いの練習を」と言い、「だめです、なんですかそれは!」と言い返すシルヴィアの唇を、すばやく奪った。抱きしめてくる腕に力をこめられて、シルヴィアはくぐもった息をもらす。
長い口づけのあと、オリビエは目元を潤ませたシルヴィアの顔をのぞきこんで「夫婦になるんだから」と囁いてくる。
もはや拒否も難しく、シルヴィアは「はい」と言いそうになった。
その次の瞬間、オリビエが「痛っ」と悲鳴を上げた。
「猫……!?」
二人で足元を見下ろすと、オリビエの足に、がぶーっと猫が噛みついていた。大変ふてぶてしい顔で。「あら」とシルヴィアは目を瞬いて、呼びかける。
「だめですよ、ジェラさん。この方に噛みついては」
「ジェラさん?」
「ええ。名前を考えているときに、シェラザードって呼んだら不満そうだったので、いろいろ変えているうちにそういう名前に……」
猫登場により、すっかり甘い空気が霧散していた。
シルヴィアはオリビエの腕に手をかけ、少し力をこめて下ろしてもらってから、正面で向き合って笑いかける。
「夫婦にはなりますけど、まだですからね。まだ。とりあえず、まずは朝食にしましょう」
危ないところだった、誘惑に負けるところだったと、安堵しつつも少しだけ残念な気持ちを胸に、ドアへと向かう。
その背後で、オリビエは小さな声で「駄猫め」と猫に話しかけていて、再び噛みつかれたらしく「痛っ」と悲鳴をあげていた。
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