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第五章
幸せの約束
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立ち話とは言わないまでも、ガウェインの私室でお茶を飲みながら軽く話すのだろう、とジュディは考えていた。
それが、フィリップスとの歓談を終えた後、王宮の外までエスコートされて「夜にお迎えに上がります」と手の甲に口づけられ、丁重な言葉とともに送り出されるに至り、馬車の中で悶え転がってしまった。
(夜デート……! これはもしかして前回の埋め合わせで閣下と夜デート……!!)
楽しみなのに、口から泡を吹いて倒れそうなくらいに落ち着かない。待ち遠しいのに逃げ出したい。
理由はわかる。ガウェインの目のせいだ。
口づけた手を掴んだまま、ガウェインは片手で眼鏡を剥ぎ取り、匂い立つような香気を漂わせた黄金色の瞳を細めて、笑いかけてきた。
「これ、ぶつかりました?」
「少し」
尋ねられて、ばか正直にジュディは返答した。熱い吐息が手の甲をかすめたときに、こつん、と眼鏡のフレームが触れたので。
その返事を聞いたガウェインは、眼鏡を胸元のポケットに無造作に押し込むと、晴れやかに言った。
「夜は外して行きますね」
そこで馬車の扉を閉ざされて、ジュディは誰からも見られないのを良いことに、座面に座るどころか床に膝をついて崩れ落ちてしまった。
しんどすぎた。
ガウェインは、フィリップスが言うところの「人生強者」の目をしていた。恐れ知らずで、何者にも負けず、目的を遂げる確信に満ちたまなざし。
(しかも、デートのときには眼鏡を外すって……それって、私の好みに合わせるって意味かもだけど、絶対それだけじゃない)
以前言っていたはずだ。キスの邪魔になる、と。
獰猛さを秘めた狼男《ウェアウルフ》に見つかってしまった感覚に圧倒されて、体の奥が熱を帯びる。
一緒に出かけたい、デートのやり直しはぜひともしたいと思う一方で、野性的な雄の本性を垣間見せたガウェインを前にしてしまうと、どうしようどうしようという現実的な悩みが頭を占めてしまう。
「私、今晩、か、帰れる……? うん、帰るって言えばきっと帰れるとは思うけど……」
思わず声に出して言ってしまってから、馬車が動いているのを感じてジュディはなんとか立ち上がり、座面に腰を落ち着ける。
はぁ、とため息をついて背もたれに背を預けて、目を閉ざした。
帰ると言っているジュディを引き止めるほど、ガウェインは無体な真似はしないはずと信じている。
(だけど、私が流されてしまったら? 「帰りたくない」って思ってしまったらどうしましょう……。ああ、どうしましょうじゃないわ。帰らないと。だって、私、そんな空気になったら手も足も出ないもの……!)
白い結婚が。
もうここまで来たらバレても致し方ないと思うものの、猛烈に恥ずかしくていたたまれない。腰が云々、とフィリップスとステファンが交わしていた会話を思い出した瞬間、顔から火を吹いた。無理だ、想像しようにも靄《もや》がかかったようでわからないが、それは無理だ、という焦りが全身を駆け巡る。
元人妻として、そういう経験はそれなりだと思っているであろうガウェインに、処女《まっさら》だと知れることを考えると、それだけでもう、どういう顔を向ければ良いのかわからない。
ジュディは男性がそれを、どう受け止めるのかまったく想像もつかないのだ。ガウェインの人柄を思えば大丈夫だとは思うものの「妻としての務めをまったく果たしていなかった」という事実は、決して貴族女性として褒められたものではないのだから。
まかり間違えて「君がそんな態度だったから、子爵は愛人を囲ったのでは」と言われ、ひいてはそれがヒースコートの暴走の原因になったと指摘されてしまうことも、考えられないわけではない。
「違うんです、私が嫁いだときにはもうユーニスさんはいたんです。結婚式で顔を合わせるなり、嫌味を言ってくるくらいの距離に……」
うわごとのように言い訳を口にして、やめよう、とジュディは首を振る。どう考えても情緒不安定だ。
案ずるより産むが易し、案ずるより産むが易し、と自分に言い聞かせる。デートが未知だからといって、怯えすぎである。
そもそも、ガウェインは不埒なことなど一切考えていない可能性だってある。ジュディの妄想が過ぎるだけで、本当にただ会話する時間を増やしたいだけかもしれないのだ。
それこそ、フィリップスの教育方針だとか、今後の展望だとか。
浮ついている場合ではない。気を引き締めてかかるところなのだ、と思い直す。
(私も、閣下の人生に関わるなら、覚悟を決めて向き合わなければ。教えてくれるまで待つのではなく、たとえ閣下が進んで話したくないことであっても、聞かなければいけない。何も知らないままでは、いられないもの)
ガウェインの歩んでいる道は、想像の及ばない苦難の連続のはずだ。出生に関わる謎のせいで両親の仲は冷え切っていて、しかも「実の父親」と噂される人物は死んだはずの王族。もしこの先何かのはずみで親子関係が取り沙汰されれば、王位継承件が浮上する立場だ。それを利用したい者たちが、噂を絶やさないとすると……。
さらには、よく似た青年が暗躍し、フィリップスに近づいているという頭の痛い話まで。
王宮内の権力争い、東地区からの因縁。
彼の傍らにあるということは、おそらく「面倒事に巻き込まれる」など生易しい表現では済まされない事態に陥ることも予測される。
ガウェインがずっと独りだったのは、そのせいかもしれない。
それが、ここにきてジュディに気を許すそぶりがある。それはもしかしたら。
「私の足が、速いから?」
呟いて、ジュディはふふっと笑った。
危険があったときに、たとえ巻き込まれたとしても、走って逃げるだけの脚力があると見込まれたのかもしれない。
それはそれで、嬉しい。強い人間しか友と認めない猛者に、戦場に立つことを許されたような、心が沸き立つ感覚がある。
そうだ、そのためにもまずはフローリー公のことから聞こう、それから行方不明のユーニスのことも。パレスから逃げおおせたユーニスに手を貸したのは、案外ジェラルドなのでは? などと憶測を並べ立てているうちに、気持ちが落ち着いてきた。
女性としてガウェインに求められていると慌てふためいていたのが、すでに遠い。
落ち着いてくると、そもそも全部自分の考えすぎだったような気さえする。
(きっと、私はあの方の同志なのよ。それで十分。たまたま女性だから、ステファンさんとはまた違った役割で横に立つことを求められているだけで……。結婚初夜に夫に拒絶されて、清い身を保ち続けた冴えない女ですもの。お誘いを受けたからって、変な色気は出さないで)
いつの間にか、屋敷の近くまで来ていたようだ。
遠くで、ヴァイオリンの奏でる音がする。最近、よく家の近くに立っている辻の弾き手で、腕前は抜群。耳にすると、良いことがありそうな気がして気持ちが軽くなる。
そうよ、わからないことをいつまでも考えていないで、まずは今晩楽しむことに集中しよう。家に帰って、湯浴みをして着替えて身繕いをして……。
幸せな手順を描いている中、ふっと胸騒ぎが湧き上がってきた。ジュディは、それが何かを考える前に、ばん、とドアに張り付いて窓にかかるカーテンを手でひき、外を見ようとした。
その瞬間、大きな音がして馬車が止まり、ぐらりと車体が傾いた。
事故と気づいてもなすすべなく、とっさに頭を手でかばって目を閉ざす。がつんと体を強く打ち付けて、気が遠くなる。
意識が薄れゆく中で、ジュディはなんとか目を開けようとまぶたに力を込める。
(ヴァイオリンの音が……)
そこで、暗転した。
それが、フィリップスとの歓談を終えた後、王宮の外までエスコートされて「夜にお迎えに上がります」と手の甲に口づけられ、丁重な言葉とともに送り出されるに至り、馬車の中で悶え転がってしまった。
(夜デート……! これはもしかして前回の埋め合わせで閣下と夜デート……!!)
楽しみなのに、口から泡を吹いて倒れそうなくらいに落ち着かない。待ち遠しいのに逃げ出したい。
理由はわかる。ガウェインの目のせいだ。
口づけた手を掴んだまま、ガウェインは片手で眼鏡を剥ぎ取り、匂い立つような香気を漂わせた黄金色の瞳を細めて、笑いかけてきた。
「これ、ぶつかりました?」
「少し」
尋ねられて、ばか正直にジュディは返答した。熱い吐息が手の甲をかすめたときに、こつん、と眼鏡のフレームが触れたので。
その返事を聞いたガウェインは、眼鏡を胸元のポケットに無造作に押し込むと、晴れやかに言った。
「夜は外して行きますね」
そこで馬車の扉を閉ざされて、ジュディは誰からも見られないのを良いことに、座面に座るどころか床に膝をついて崩れ落ちてしまった。
しんどすぎた。
ガウェインは、フィリップスが言うところの「人生強者」の目をしていた。恐れ知らずで、何者にも負けず、目的を遂げる確信に満ちたまなざし。
(しかも、デートのときには眼鏡を外すって……それって、私の好みに合わせるって意味かもだけど、絶対それだけじゃない)
以前言っていたはずだ。キスの邪魔になる、と。
獰猛さを秘めた狼男《ウェアウルフ》に見つかってしまった感覚に圧倒されて、体の奥が熱を帯びる。
一緒に出かけたい、デートのやり直しはぜひともしたいと思う一方で、野性的な雄の本性を垣間見せたガウェインを前にしてしまうと、どうしようどうしようという現実的な悩みが頭を占めてしまう。
「私、今晩、か、帰れる……? うん、帰るって言えばきっと帰れるとは思うけど……」
思わず声に出して言ってしまってから、馬車が動いているのを感じてジュディはなんとか立ち上がり、座面に腰を落ち着ける。
はぁ、とため息をついて背もたれに背を預けて、目を閉ざした。
帰ると言っているジュディを引き止めるほど、ガウェインは無体な真似はしないはずと信じている。
(だけど、私が流されてしまったら? 「帰りたくない」って思ってしまったらどうしましょう……。ああ、どうしましょうじゃないわ。帰らないと。だって、私、そんな空気になったら手も足も出ないもの……!)
白い結婚が。
もうここまで来たらバレても致し方ないと思うものの、猛烈に恥ずかしくていたたまれない。腰が云々、とフィリップスとステファンが交わしていた会話を思い出した瞬間、顔から火を吹いた。無理だ、想像しようにも靄《もや》がかかったようでわからないが、それは無理だ、という焦りが全身を駆け巡る。
元人妻として、そういう経験はそれなりだと思っているであろうガウェインに、処女《まっさら》だと知れることを考えると、それだけでもう、どういう顔を向ければ良いのかわからない。
ジュディは男性がそれを、どう受け止めるのかまったく想像もつかないのだ。ガウェインの人柄を思えば大丈夫だとは思うものの「妻としての務めをまったく果たしていなかった」という事実は、決して貴族女性として褒められたものではないのだから。
まかり間違えて「君がそんな態度だったから、子爵は愛人を囲ったのでは」と言われ、ひいてはそれがヒースコートの暴走の原因になったと指摘されてしまうことも、考えられないわけではない。
「違うんです、私が嫁いだときにはもうユーニスさんはいたんです。結婚式で顔を合わせるなり、嫌味を言ってくるくらいの距離に……」
うわごとのように言い訳を口にして、やめよう、とジュディは首を振る。どう考えても情緒不安定だ。
案ずるより産むが易し、案ずるより産むが易し、と自分に言い聞かせる。デートが未知だからといって、怯えすぎである。
そもそも、ガウェインは不埒なことなど一切考えていない可能性だってある。ジュディの妄想が過ぎるだけで、本当にただ会話する時間を増やしたいだけかもしれないのだ。
それこそ、フィリップスの教育方針だとか、今後の展望だとか。
浮ついている場合ではない。気を引き締めてかかるところなのだ、と思い直す。
(私も、閣下の人生に関わるなら、覚悟を決めて向き合わなければ。教えてくれるまで待つのではなく、たとえ閣下が進んで話したくないことであっても、聞かなければいけない。何も知らないままでは、いられないもの)
ガウェインの歩んでいる道は、想像の及ばない苦難の連続のはずだ。出生に関わる謎のせいで両親の仲は冷え切っていて、しかも「実の父親」と噂される人物は死んだはずの王族。もしこの先何かのはずみで親子関係が取り沙汰されれば、王位継承件が浮上する立場だ。それを利用したい者たちが、噂を絶やさないとすると……。
さらには、よく似た青年が暗躍し、フィリップスに近づいているという頭の痛い話まで。
王宮内の権力争い、東地区からの因縁。
彼の傍らにあるということは、おそらく「面倒事に巻き込まれる」など生易しい表現では済まされない事態に陥ることも予測される。
ガウェインがずっと独りだったのは、そのせいかもしれない。
それが、ここにきてジュディに気を許すそぶりがある。それはもしかしたら。
「私の足が、速いから?」
呟いて、ジュディはふふっと笑った。
危険があったときに、たとえ巻き込まれたとしても、走って逃げるだけの脚力があると見込まれたのかもしれない。
それはそれで、嬉しい。強い人間しか友と認めない猛者に、戦場に立つことを許されたような、心が沸き立つ感覚がある。
そうだ、そのためにもまずはフローリー公のことから聞こう、それから行方不明のユーニスのことも。パレスから逃げおおせたユーニスに手を貸したのは、案外ジェラルドなのでは? などと憶測を並べ立てているうちに、気持ちが落ち着いてきた。
女性としてガウェインに求められていると慌てふためいていたのが、すでに遠い。
落ち着いてくると、そもそも全部自分の考えすぎだったような気さえする。
(きっと、私はあの方の同志なのよ。それで十分。たまたま女性だから、ステファンさんとはまた違った役割で横に立つことを求められているだけで……。結婚初夜に夫に拒絶されて、清い身を保ち続けた冴えない女ですもの。お誘いを受けたからって、変な色気は出さないで)
いつの間にか、屋敷の近くまで来ていたようだ。
遠くで、ヴァイオリンの奏でる音がする。最近、よく家の近くに立っている辻の弾き手で、腕前は抜群。耳にすると、良いことがありそうな気がして気持ちが軽くなる。
そうよ、わからないことをいつまでも考えていないで、まずは今晩楽しむことに集中しよう。家に帰って、湯浴みをして着替えて身繕いをして……。
幸せな手順を描いている中、ふっと胸騒ぎが湧き上がってきた。ジュディは、それが何かを考える前に、ばん、とドアに張り付いて窓にかかるカーテンを手でひき、外を見ようとした。
その瞬間、大きな音がして馬車が止まり、ぐらりと車体が傾いた。
事故と気づいてもなすすべなく、とっさに頭を手でかばって目を閉ざす。がつんと体を強く打ち付けて、気が遠くなる。
意識が薄れゆく中で、ジュディはなんとか目を開けようとまぶたに力を込める。
(ヴァイオリンの音が……)
そこで、暗転した。
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