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3章

指名手配されました

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「何しやが…」
「静かにしとけ!」

門兵がそう言うと奥の方からドタドタと足音が聞こえてきた

「おい!そこのお前!」
「はい!何でしょうか!」

木箱の中からそーっと見てみる
何やら黒い軍服のようなものを着た男が3人ほどいる
門兵が敬語を使うってことはお偉いさんか

「例の男は通ったか?」
「いえ、通っておりません!」

お尋ね者でもいるのだろうか
こんな世界だしいっぱいいるか

「わかった。見つけたら報告してくれ。」

そう言って黒服の男達は去っていった

「出てきていいぞ。」
「ああ…ったく何があったんだ?」
「まぁこれを見てみろよ。」

そう言って門兵は紙を取り出して見せる

それにはお目目ぱちくり、気持ちくらい口角を上げて笑っている男の顔が描かれていた

「誰だこいつ、気持ち悪…」
「お前だよ、おまえ。指名手配されてんの。」
「…は?」

何を言っているかわからない

「名はマコト。罪状は名誉あるヘンリー騎士団の活躍を邪魔したこと…らしいぜ?」
「あぁ…」

まったく、穏便に済ませてくれればいいものの…
余程頭にきてるんだろうな
どこからこの国にいるっていう情報を手に入れたんだか…

「身に覚えはありそうだな。」
「正当防衛だよ。正当防衛。」
「正当防衛ねぇ…」

門兵がジト目で俺を見る
そんな目で俺を見ないでくれ

「でも何で俺を隠してくれたんだ?ヘンリー様の命令なんだろ?」

何故王国側である門兵が助けてくれるのか
捕らえたら名誉や金だって手に入るだろう

「なぁに、あの方は色々とやらかしてくれてるからな。平民たちには嫌われてんのさ。」
「なるほどな。」

流石人参団長
どこでもやることは変わらないらしいな

「これからどうするんだ?そこらに黒服はいっぱいいるぞ?」
「どうしたもんかな…」

何も術が見つからない
名残惜しいがこの王国を出るか?

「何もないんだったら俺に1つ案がある。乗るか反るかはお前次第だ。」
「…聞かせてくれ、門兵。」
「クルカだ。でだな…」

クルカはまず王のことを話してくれた

王は決闘が大好きなお方で裁判の判決を決闘で決めることもあるらしい
それ故に王国直属の騎士団には『力あるものこそ正義、善である』という考え方、とゆうより方針があるようだ

「…それでだ。その方針を利用してヘンリーと決闘を挑むんだ。王の前でやれば奴は受けざる負えまい。」
「ふむ…だがどうやって王の前まで?」

ヘンリーと決闘することについては賛成だ
すぐ終わるし、方針のおかげで潔白を証明出来る
だが問題はどうやって王の前まで行くかだ
別のところで処刑されるかもしれない

「それについてはこの俺、クルカに任せとけ!」
「お、おう…わかった。」

うーん頼って良いものか悪いものか…
俺がそう不安に思っているうちに俺はクルカに縄でぐるぐる巻きにされていた

「…へ?」
「了承を得た!王城に突っ込むぞ!」

そう言うとクルカは俺を肩に担ぎ、轟速とも呼べる速さで走り出した

「あばばばばばばばばは」
「ハッハァ!喋ると舌噛むぞ!」

あぁ…周りの人が流れ星のようだ…
風を切る音がヒュンヒュン聞こえる

クルカはそのまま王城の門番を突っ切って王城に入っていった

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