上 下
13 / 57
1章 冒険の始まり

仲裁に入る

しおりを挟む
「笑ってんじゃねぇぞ!ヒック」

スキンヘッドの男が剣を鞘から抜く

「なんだぁ?やろうってのかぁ?ヒック」

対して長髪の男も剣を抜く

どちらと完全に酔っている様だ
こんなことが毎日のようにあるのか…
そう思ったがどうやら違うようだ
ギルド内も少しざわついている

俺は急ぎ足で受付に行って受付嬢に話を聞いた
受付嬢は金髪長髪の温和そうな女性だ

「初めてここにきたんだがいつもあんな感じなのか?」
「あら初めまして。いつもって訳じゃないんですけどあの二人がたまに酔っ払ってあんな風になるんですよ」

なるほどな
だからそこまでざわついていないのか

「いつものだったら勝手にやってて、で済む話だったんですけど…
今回はお互い武器を持ったので…」
「危ないな…」

彼らだけでやるにしてもどちらかが大怪我、最悪死ぬかもしれない
周りにも被害が出るだろう

「よし、俺が止めてこよう」
「えっ!?」

このまま彼らを放置しておいていいことはない
何故か誰も止めようとしないし
俺が止めるしかないだろう
俺は彼らのところへと歩き出した

「ま、待って!彼らはCランク冒険者で…」

そう受付嬢が言い終わる前に俺は男達の前に立っていた

「やめろよアンタら。」
「なんだてめぇ!」
「人の喧嘩に口だしてんしゃねぇよぉ!」

男達は荒れた口調で俺に言う
ギルド内が今まで以上にザワつき始める

「このまま続けたらどちらかが怪我をするなんてことは分かっているだろう?」
「うるせぇ!口出すならてめぇからやってやる!」

そう言ってスキンヘッド男は俺に剣を向ける
まわりから やべぇよ やべぇよ…という声が聞こえる

「こいつはな!ドスべギーラビットから取れる猛毒の牙を素材にして作られた1品ものなのさ!そこらの店じゃお目にかかれねぇ!」

猛毒ときたか
尚更止めに入って正解だったな
…だが俺も危ない
今の俺がこの世界の人間の中でどれだけのレベルなのか全くもってわからない
高レベルの位置にいるのか、はたまた一般人と同じレベルなのか
試すにはいい機会だがもし俺が相手よりレベルが低かったらその瞬間ジ・エンドだ
やれるだけやろう

「兄ちゃん気をつけろ!」

まわりの観衆から声が聞こえる
姿は見えない

「やつの剣で斬られたモンスターで生き残ったやつを俺は知らねぇ!とにかく剣には気をつけろ!」
「へっ!そういうこった!」
「剣は危険…誰だか知らんがありがとう!」

どうする…こちらは武器を持ってないし
武器を借りるほど相手は待ってくれなさそうだ
スキルも今はイグニスしか使えない
髪のスキルは使うと面倒くさそうだし…
色々と策を考えるが良さそうなものは浮かばない

取り敢えず剣が危険だ
距離を取ろう

距離を取るため後ろにバックステップした
そして着地地点を見ると…

どこから来たのか樽が転がってきた

やっぱ不幸体質なのかなぁ…















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください

むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。 「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」 それって私のことだよね?! そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。 でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。 長編です。 よろしくお願いします。 カクヨムにも投稿しています。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

処理中です...