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1章

ギルドへの報告

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イッセイは街へ戻ってきて、まずギルドへと向かった

「ただいま戻りましたー。」
「イッセイさん!」

ギルドへと入った途端、受付嬢のミライがイッセイの元へと駆け込んできた

「へっ!?ミ、ミライさん!?」
「大丈夫ですか!?怪我とかは!?」
「五体満足で無事ですよ。」

イッセイがそう告げるとミライはその場に力が抜けたかのように座り込んだ

「そんなに慌てるなんて何が…」

当たりを見回してみる
冒険者達が横になったり、手当を受けている
何だか初めて来た時の光景みたいだ
ただあの時よりも状況は悪そうだが

「皆さんゾンビの討伐で傷を負われて…中には感染症になられた方も…」
「感染症…って?」
「ゾンビからより深い傷を負わされることで発症するもので傷つけられた部位から腐っていき、最悪身体中が腐り落ちます。」

腐り落ちる…
ゾンビってそんなに怖いもんだったのかよ!
俺もあの量相手は結構やばかったんじゃ…

「依頼を受けた方のほとんどが傷を負われて帰ってきて…イッセイさん今回が初めてみたいなものだし、それに…その…」
「職無し…ですか?」
「ええ…。ああは言って送り出しましたけどすごく心配だったんです…。」

どうやらかなり心配させてしまったらしい
この世界で職無しは無力を意味する
後から努力や経験で手に入るものもあるらしいが、まずその為の行動が出来る力が無ければその力も手に入らないだろう
職無しの人間が魔物と戦うだけでも異例のことだろうにゾンビの群れに突っ込んでいくんだもんな
そりゃ心配しかないか

「…心配をかけてすみません。俺は大丈夫です。」
「本当によかった…」

これ以上心配させない為にも、いち早く人に見せられるようなスキルを手に入れなくては!
…でも手に入れ方とかわからないし、今はマイペースにいこう

「取り敢えず依頼達成の報告をしたいのですけど…」
「そうですか、ではカウンターの方へ。」
「その…ゾンビの素材とか証拠になるものを何も持っていないのですが…」
 
前回の仮依頼を受けた時には証拠となる物があったが、今回は何も持っていない
倒すのに必死だったし、あの後探しても死体の一つとしてなかったのだ
これは…依頼失敗か?

「問題無いですよ。ギルドカードに倒した魔物の数などが全て記録されていますから。」
「そ、そうなんですか。」
「ええ。仮依頼の際にはカードがありませんでしたから証拠を持ってきていただきました。」

よかった…証拠とか無くても平気なんだ…
ホッと息を吐いて落ち着くとミライにカードを渡した

「えぇと…ゾンビの討伐数が…200!?」

ミライの声に周りがザワつく
ほへー、そんなに倒してたか
結構疲れたし、そんなもんか

「200も倒してましたか。でも皆さんならもっと…」
「皆さんの平均は20程度です!一体何をしたって言うんですか!」

うっ…周りからの視線が痛い…
武器のことは言えないし…うーむ…

「ち、近くに崖があってそこにゾンビたちをおびき寄せて落としたんですよ。」
「近くに崖なんてないですけど。」
「あ、あれぇ?崖じゃなかったのか?じゃあ洞穴か何かかな?」

ダラダラと汗が流れ、血の気が引いていくのがわかる
頼む…そんな目で俺を見ないでくれ
ミライさんの目が、周りの奴らの目が…
誰か…助けてくれぇ…

ミライさんからの質問攻めはギルドマスターが助けてくれるまで終わることは無かった
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