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第45話 待っていて欲しいから
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凛花「やっぱり翼さんに何かあったみたい……翼さんが帰ってこないって……」
悠陽「そうかぁ………あいつが電話に出ないなんて、きっとよほどのことがあいつの身の回りに起きてるに違いない」
凛花「何かって?」
悠陽「あいつの兄貴がさ………事故で意識不明の重体って前に新聞に載っててさ……翼の家ってかなりの金持ちで、大企業の御曹司なんだよね。だから……もしかすると翼がその後を継ぐことになるとか………」
凛花「でも、じゃあどうしてそれならそれでキラリに連絡の一つもしないのかしら?」
悠陽「うーん……わからないけど……もしかしたら翼が逃げる前に拘束されてしまったのかも……」
凛花「翼さんは会社を継ぐのが嫌なの?」
悠陽「だろうね。翼は鳥と同じで、狭い鳥かごの中でじっとしていられない性格だから……」
キラリ「づばさ~………づばさ~……どうじでがえっでぎでぐれないの~~~………」
キラリは泣きながら翼との甘い時間を思い出していた。
キラリ「翼~~~ここわかんなーい………」
翼「んん?どこ?」
キラリ「ここ~!」
キラリが翼に甘えて勉強のわからないところを指差した。
翼「キラリ~、ここはこの前解けた問題のちょっと文章が変わっただけの問題だぞ?つまりだな………」
翼はキラリの後ろから覆い被さるように密着して優しく説明していた。
キラリは問題につまずくと、必ずこうやって翼に甘えた。
そして、翼も小さな子供に諭すかのように丁寧に教えていた。
ある意味、これがキラリの勉強のやる気を加速させて成績アップに繋がっていた翼のテクニックであった。
そして、翼にとってもこのキラリとの密着時間が翼の心を徐々に変えていった。
翼………
今どこで何してるの?
どうして何も言わずに居なくなっちゃうの?
中途半端に期待させといて………
結局居なくなるならあんなこと言ってくれなきゃ良かったのに………
翼はいつもそうなんだよ………
いつもいつも思わせ振りなことを言って中途半端に………
戻ってきてよ………
もう心が苦しくて苦しくて………
切なくて………寂しくて………
翼………
一人にしないで………
お願い………
キラリは泣き疲れていつしか眠りに落ちていた。
キラリ……
キラリって………
おい!キラリ!
おい起きろよ!
キラリ………
早く起きないと遅刻しちゃうぞ!
キラリ………
またそうやって寝たふりしてるのか?
そういうことすると………
キスしちゃうぞ~~~!
つ……翼!?
翼の息が………
私の頬に………
キラリ………
キラリ早く起きろって………
翼………
戻って来てくれたんだね!
〝ガバッ〟
キラリは勢いよく布団をはがして起き上がった。
キラリ「翼!!!」
薫「キラリおはよう!ごめんね………翼じゃなくって………」
キラリ「母ちゃん………」
薫「さぁ、朝ご飯できてるから早く降りといで」
薫はそう言って歩きだそうとした瞬間、キラリは素早くベッドから出て薫の後ろから抱きついた。
キラリ………
キラリ「母ちゃん………翼は?」
薫「……………」
キラリ「母ちゃん………翼はもう………ここには戻って来ないのかなぁ………」
薫「……………さぁ、どうだろうねぇ………あの子は………本来ここにいるのが場違いな子だからね………シンデレラみたいに約束の時間が来て本来居るべき場所に帰ったんじゃないかな?」
キラリ「そうなのかなぁ………翼さぁ………ちょっと前に言ってたんだ………俺が急に居なくなったら寂しいか?って………きっと翼は帰らなきゃいけないことを知ってたんだろうね………」
薫「そうかもね………でも、サヨナラ言われた訳じゃないんでしょ?」
キラリ「言われてない………」
薫「じゃあ、またきっと会いに来るよ」
キラリ「翼さぁ………私のこと………特別な存在って………今はそれだけで許してくれって………」
薫「キラリ………翼があんたにそう言い残したってことは………翼に何かあっても必ずキラリを迎えに来るつもりなんじゃない?」
キラリ「………………」
薫「キラリ……会えない時間が愛を育むってこともあるんだよ!キラリにとっても、翼にとっても、今のこの時間はもしかしたら必要な時間なのかも知れない。だから……翼を信じて待ってあげたら?」
キラリ「でも、もし………もう二度と会えなかったら?」
薫「キラリ……翼はキラリに待ってて欲しかったから……今はそれだけでって……言ったんじゃないの?」
キラリ「うん……わかった………」
薫「さ、ご飯食べよ!」
キラリ「うん………」
薫はキラリの手を取って一緒に階段を降りた。
リビングには既に父、清が食卓テーブルに座って朝食を食べていた。
清はキラリの顔を見て驚いた。
清「キ……キラリ……どうしたんだその顔は!ま……まさか……翼に殴られたのか?」
キラリが泣きはらして目がパンパンに腫れ上がった顔を心配して言ったのだが……
薫「パパ……ちょっと空気読んで……」
そう言っていきなり薫が清の腹に
〝ドスッ〟
と、パンチを入れた。
清「う………ママ………なぜ………」
清は訳がわからず呻(うめ)いていた。
悠陽「そうかぁ………あいつが電話に出ないなんて、きっとよほどのことがあいつの身の回りに起きてるに違いない」
凛花「何かって?」
悠陽「あいつの兄貴がさ………事故で意識不明の重体って前に新聞に載っててさ……翼の家ってかなりの金持ちで、大企業の御曹司なんだよね。だから……もしかすると翼がその後を継ぐことになるとか………」
凛花「でも、じゃあどうしてそれならそれでキラリに連絡の一つもしないのかしら?」
悠陽「うーん……わからないけど……もしかしたら翼が逃げる前に拘束されてしまったのかも……」
凛花「翼さんは会社を継ぐのが嫌なの?」
悠陽「だろうね。翼は鳥と同じで、狭い鳥かごの中でじっとしていられない性格だから……」
キラリ「づばさ~………づばさ~……どうじでがえっでぎでぐれないの~~~………」
キラリは泣きながら翼との甘い時間を思い出していた。
キラリ「翼~~~ここわかんなーい………」
翼「んん?どこ?」
キラリ「ここ~!」
キラリが翼に甘えて勉強のわからないところを指差した。
翼「キラリ~、ここはこの前解けた問題のちょっと文章が変わっただけの問題だぞ?つまりだな………」
翼はキラリの後ろから覆い被さるように密着して優しく説明していた。
キラリは問題につまずくと、必ずこうやって翼に甘えた。
そして、翼も小さな子供に諭すかのように丁寧に教えていた。
ある意味、これがキラリの勉強のやる気を加速させて成績アップに繋がっていた翼のテクニックであった。
そして、翼にとってもこのキラリとの密着時間が翼の心を徐々に変えていった。
翼………
今どこで何してるの?
どうして何も言わずに居なくなっちゃうの?
中途半端に期待させといて………
結局居なくなるならあんなこと言ってくれなきゃ良かったのに………
翼はいつもそうなんだよ………
いつもいつも思わせ振りなことを言って中途半端に………
戻ってきてよ………
もう心が苦しくて苦しくて………
切なくて………寂しくて………
翼………
一人にしないで………
お願い………
キラリは泣き疲れていつしか眠りに落ちていた。
キラリ……
キラリって………
おい!キラリ!
おい起きろよ!
キラリ………
早く起きないと遅刻しちゃうぞ!
キラリ………
またそうやって寝たふりしてるのか?
そういうことすると………
キスしちゃうぞ~~~!
つ……翼!?
翼の息が………
私の頬に………
キラリ………
キラリ早く起きろって………
翼………
戻って来てくれたんだね!
〝ガバッ〟
キラリは勢いよく布団をはがして起き上がった。
キラリ「翼!!!」
薫「キラリおはよう!ごめんね………翼じゃなくって………」
キラリ「母ちゃん………」
薫「さぁ、朝ご飯できてるから早く降りといで」
薫はそう言って歩きだそうとした瞬間、キラリは素早くベッドから出て薫の後ろから抱きついた。
キラリ………
キラリ「母ちゃん………翼は?」
薫「……………」
キラリ「母ちゃん………翼はもう………ここには戻って来ないのかなぁ………」
薫「……………さぁ、どうだろうねぇ………あの子は………本来ここにいるのが場違いな子だからね………シンデレラみたいに約束の時間が来て本来居るべき場所に帰ったんじゃないかな?」
キラリ「そうなのかなぁ………翼さぁ………ちょっと前に言ってたんだ………俺が急に居なくなったら寂しいか?って………きっと翼は帰らなきゃいけないことを知ってたんだろうね………」
薫「そうかもね………でも、サヨナラ言われた訳じゃないんでしょ?」
キラリ「言われてない………」
薫「じゃあ、またきっと会いに来るよ」
キラリ「翼さぁ………私のこと………特別な存在って………今はそれだけで許してくれって………」
薫「キラリ………翼があんたにそう言い残したってことは………翼に何かあっても必ずキラリを迎えに来るつもりなんじゃない?」
キラリ「………………」
薫「キラリ……会えない時間が愛を育むってこともあるんだよ!キラリにとっても、翼にとっても、今のこの時間はもしかしたら必要な時間なのかも知れない。だから……翼を信じて待ってあげたら?」
キラリ「でも、もし………もう二度と会えなかったら?」
薫「キラリ……翼はキラリに待ってて欲しかったから……今はそれだけでって……言ったんじゃないの?」
キラリ「うん……わかった………」
薫「さ、ご飯食べよ!」
キラリ「うん………」
薫はキラリの手を取って一緒に階段を降りた。
リビングには既に父、清が食卓テーブルに座って朝食を食べていた。
清はキラリの顔を見て驚いた。
清「キ……キラリ……どうしたんだその顔は!ま……まさか……翼に殴られたのか?」
キラリが泣きはらして目がパンパンに腫れ上がった顔を心配して言ったのだが……
薫「パパ……ちょっと空気読んで……」
そう言っていきなり薫が清の腹に
〝ドスッ〟
と、パンチを入れた。
清「う………ママ………なぜ………」
清は訳がわからず呻(うめ)いていた。
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