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第21話 翼にはいつも女の影……
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その頃翼は…
翼「あぁ、わかったわかった!もういいよ!こんな店こっちから願い下げだ!」
そう言って貸し制服を脱いで床に投げ捨て、飛び出して行った。
あぁ、やっていられねぇ!あのクソ店長偉そうに!自分のミスを人に押し付けやがって!
翼は人生初のバイトに挑戦してみたが、どこもすぐに店の人とケンカして一日と続かなかった。
そしてネットカフェに戻り、求人情報誌を手に新たなバイトを探す。
参ったなぁ…もう金は底を尽きてきたし…早く続きそうなバイト探さねぇと本当に野宿になっちまう…
翼はキラリの家から飛び出してこうしたその日暮らしが続いていた。
翼は大企業の子息で、友達と呼べるような者は一人も居なかった。
そして翼の性格上、女に媚びることなど到底出来はしない。
なので頼れる場所など何処にも無かったのだ。
こりゃいよいよ手詰まりだな…あぁ、こんなことならキラリの家を出てくるんじゃ無かったなぁ…
けど、あいつは何をあんなに怒ってたのかな………今さら戻っても、あの様子じゃ家に入れてもらえないだろうしなぁ…
そんな翼に突然助け船が舞い込んで来た。
翼の姉「もしもし、翼?あんたどこで何やってるの?あんたが家を出たって聞いたから…カードも止められてお金なんか一円も持って無いんでしょ?あんたどうやって生活してんの?」
翼「それがさ…」
翼はこれまでの経緯を姉に全て話した。
翼の姉「ほんと呆れた。お父さんはあんたがすぐに戻って来ると思ってたみたいだから、口では放っておけなんて言ってるけど本当は凄く心配してるんだよ?」
翼「その心配は俺のことじゃ無くて体裁の方だろ?俺は俺で何とかやるから心配しなくていいよ…」
翼の姉「またそんな意識張って…わかった。今度喫茶店ででも待ち合わせましょ?当面の生活費持たしてあげるから…」
翼「悪いね…正直ちょっと切羽詰まってる…」
翼はこれでまた少しは衣食住に事欠かないと安心した。
~一方キラリは~
連日降り続く雨のせいでキラリの心は更に憂鬱になっていた。
翼…いったいどこで誰と何をしてるの?
キラリは久しぶりの晴れ間に神社にお参りに出かけた。
神様…お願いします…王子様じゃなくて良いです…どうか翼をもう一度私の家に連れてきて下さい…神様お願いします!
キラリは神様に切にお願いした。
そしてレディースメンバーからキラリにLINEが来た。
レディースグループLINE
「今日は久々に晴れたし、いつもの喫茶店でちょっとあつまりませんかぁ?」
「いいね!私行けるよ!」
「私も!」
「総長どうすか?」
「行くよ!じゃあ一時間後に集合でどう?」
「了解!」
全員が意気投合してフルメンバーが集まった。
メンバー達と久しぶりに集まって女子トークに花が咲く。
そしてキラリがふと視線を他のテーブルに向けたとき、キラリの胸が〝ズキンッ〟と痛んだ。
翼………
キラリの視界には確かに翼の姿があったのだが…
その手前に向かい合って座っている一人の女性…
キラリは急に血の気が引いて地面がグルグルと回るような感覚に襲われた。
キラリがなんとか気を持ち直してテーブルに手を付き持ちこたえたとき、翼と、そして一緒に居る女性が席を立ち店のレジの方へ向かって歩いて行く。
メンバー達はキラリのおかしな様子を気遣い声をかけていたので、翼には気付かなかった。
キラリは翼の後ろ姿を目で追いながら放心状態に陥った。
キラリ「ごめん…急に体調悪くなっちゃった…ちょっと先帰るわ…」
そう言ってキラリは五千円札をメンバー達に渡して店を出た。
キラリは再び神社に向かった。
神様…神様は私が急にお願いごとを変えたから怒っていらっしゃるのですか?だから…私の前にあんな現実を見せられたのですか?
私は……もう翼のことを……諦めるしか無いのでしょうか?
もう………翼は…私の所には戻ってきてはくれないのでしょうか?
キラリが御社殿の前で神様とそんな話をしていると、自分の後ろに誰かの気配を感じてキラリは振り返る。
キラリ「母ちゃん…」
そこには薫がニコッとキラリに微笑みかける姿があった。
薫「キラリ、帰るよ!翼が…」
キラリはその名前を聞いた瞬間、目を見開いた。
キラリ「え?」
キラリはかすれた声で聞き返した。
薫「翼が戻って来たよ!」
キラリ「ほんとに!?」
キラリは急いで家に戻った。
家に着くと翼はリビングに荷物を全部置いてソファーにもたれていた。
キラリはリビング入り口の前で立ち止まる。
翼「キラリ…」
翼は申し訳無さそうにキラリを見つめる。
そこへ薫も戻って来て翼の前までキラリの背中を押した。
薫「キラリ?翼と話したいことがあるんでしょ?」
キラリ「……………」
薫「キラリ?」
キラリ「母ちゃんゴメン…ちょっと二人で話してきてもいいかな…」
キラリと翼はキラリの部屋に上がった。
キラリはベッドに腰を下ろし、翼は机の椅子に腰を掛けた。
翼「キラリ…」
キラリ「翼……あの……一つだけ聞きたいことがある……」
翼「あぁ……」
キラリ「翼には、彼女がいるの?」
翼「あぁ、わかったわかった!もういいよ!こんな店こっちから願い下げだ!」
そう言って貸し制服を脱いで床に投げ捨て、飛び出して行った。
あぁ、やっていられねぇ!あのクソ店長偉そうに!自分のミスを人に押し付けやがって!
翼は人生初のバイトに挑戦してみたが、どこもすぐに店の人とケンカして一日と続かなかった。
そしてネットカフェに戻り、求人情報誌を手に新たなバイトを探す。
参ったなぁ…もう金は底を尽きてきたし…早く続きそうなバイト探さねぇと本当に野宿になっちまう…
翼はキラリの家から飛び出してこうしたその日暮らしが続いていた。
翼は大企業の子息で、友達と呼べるような者は一人も居なかった。
そして翼の性格上、女に媚びることなど到底出来はしない。
なので頼れる場所など何処にも無かったのだ。
こりゃいよいよ手詰まりだな…あぁ、こんなことならキラリの家を出てくるんじゃ無かったなぁ…
けど、あいつは何をあんなに怒ってたのかな………今さら戻っても、あの様子じゃ家に入れてもらえないだろうしなぁ…
そんな翼に突然助け船が舞い込んで来た。
翼の姉「もしもし、翼?あんたどこで何やってるの?あんたが家を出たって聞いたから…カードも止められてお金なんか一円も持って無いんでしょ?あんたどうやって生活してんの?」
翼「それがさ…」
翼はこれまでの経緯を姉に全て話した。
翼の姉「ほんと呆れた。お父さんはあんたがすぐに戻って来ると思ってたみたいだから、口では放っておけなんて言ってるけど本当は凄く心配してるんだよ?」
翼「その心配は俺のことじゃ無くて体裁の方だろ?俺は俺で何とかやるから心配しなくていいよ…」
翼の姉「またそんな意識張って…わかった。今度喫茶店ででも待ち合わせましょ?当面の生活費持たしてあげるから…」
翼「悪いね…正直ちょっと切羽詰まってる…」
翼はこれでまた少しは衣食住に事欠かないと安心した。
~一方キラリは~
連日降り続く雨のせいでキラリの心は更に憂鬱になっていた。
翼…いったいどこで誰と何をしてるの?
キラリは久しぶりの晴れ間に神社にお参りに出かけた。
神様…お願いします…王子様じゃなくて良いです…どうか翼をもう一度私の家に連れてきて下さい…神様お願いします!
キラリは神様に切にお願いした。
そしてレディースメンバーからキラリにLINEが来た。
レディースグループLINE
「今日は久々に晴れたし、いつもの喫茶店でちょっとあつまりませんかぁ?」
「いいね!私行けるよ!」
「私も!」
「総長どうすか?」
「行くよ!じゃあ一時間後に集合でどう?」
「了解!」
全員が意気投合してフルメンバーが集まった。
メンバー達と久しぶりに集まって女子トークに花が咲く。
そしてキラリがふと視線を他のテーブルに向けたとき、キラリの胸が〝ズキンッ〟と痛んだ。
翼………
キラリの視界には確かに翼の姿があったのだが…
その手前に向かい合って座っている一人の女性…
キラリは急に血の気が引いて地面がグルグルと回るような感覚に襲われた。
キラリがなんとか気を持ち直してテーブルに手を付き持ちこたえたとき、翼と、そして一緒に居る女性が席を立ち店のレジの方へ向かって歩いて行く。
メンバー達はキラリのおかしな様子を気遣い声をかけていたので、翼には気付かなかった。
キラリは翼の後ろ姿を目で追いながら放心状態に陥った。
キラリ「ごめん…急に体調悪くなっちゃった…ちょっと先帰るわ…」
そう言ってキラリは五千円札をメンバー達に渡して店を出た。
キラリは再び神社に向かった。
神様…神様は私が急にお願いごとを変えたから怒っていらっしゃるのですか?だから…私の前にあんな現実を見せられたのですか?
私は……もう翼のことを……諦めるしか無いのでしょうか?
もう………翼は…私の所には戻ってきてはくれないのでしょうか?
キラリが御社殿の前で神様とそんな話をしていると、自分の後ろに誰かの気配を感じてキラリは振り返る。
キラリ「母ちゃん…」
そこには薫がニコッとキラリに微笑みかける姿があった。
薫「キラリ、帰るよ!翼が…」
キラリはその名前を聞いた瞬間、目を見開いた。
キラリ「え?」
キラリはかすれた声で聞き返した。
薫「翼が戻って来たよ!」
キラリ「ほんとに!?」
キラリは急いで家に戻った。
家に着くと翼はリビングに荷物を全部置いてソファーにもたれていた。
キラリはリビング入り口の前で立ち止まる。
翼「キラリ…」
翼は申し訳無さそうにキラリを見つめる。
そこへ薫も戻って来て翼の前までキラリの背中を押した。
薫「キラリ?翼と話したいことがあるんでしょ?」
キラリ「……………」
薫「キラリ?」
キラリ「母ちゃんゴメン…ちょっと二人で話してきてもいいかな…」
キラリと翼はキラリの部屋に上がった。
キラリはベッドに腰を下ろし、翼は机の椅子に腰を掛けた。
翼「キラリ…」
キラリ「翼……あの……一つだけ聞きたいことがある……」
翼「あぁ……」
キラリ「翼には、彼女がいるの?」
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