一夜一夜

雪田 瑠魔

文字の大きさ
上 下
4 / 22

第三夜 【亜紀の場合】

しおりを挟む
…この人、私と同じだ・・・…

サイトの小説を読み、涙を拭いた。

…ただのSM官能小説だと思ってたのに…


薙沢 亜紀
35歳
今は、資格をとる勉強をしながら夜の仕事をしている。

…アクセスしてみようカナ。ちょっと怖いけど…

男との絡みが、忘れられないあの記憶を思い出させていた。

 亜紀は、当時、あるデパートの店員をしていた。

地味目に見られるが、整った顔立ち。
スレンダーな体型の割に、大きく形のよい乳房が男達の視線を集めていた。

 その日はデパートの休業日。
亜紀は、在庫管理のため、クロークにいた。

ハンガーに掛かった衣服や段ボールを一人でチェックしていると、男性がクロークを訪れた。

 取り引き先の課長。
リストを届けると連絡があり、亜紀は彼を待っていたのだ。

「いやぁお待たせ。一人だけ待たせちゃってゴメンね。」

…相変わらず、優しい目…

「差し入れだよ。ちょっと休もう。」

亜紀は、彼に好意を持っていた。

…二人っきり💓
 でも、あの黒いバッグはなんだ ろう…

亜紀はリストに目を通しながら、差し出されたポットのコーヒーを飲んだ。

「薙沢さんは、彼氏とかいるのかい?」

そう言いながら、男は、黒いバッグを持ってきた。

…いいえ、いませんヨ。…

「そう。私は、貴女に彼氏がいようがいまいが、関係ないんだが、一応ネ。」

…えっ?なにがですか?…

亜紀は、男がバッグから取り出したモノを見て青ざめた。

 バッグの中から男は、次々と異様なモノをテーブルにしていた段ボールに並べだした。

 麻縄
 バイブレーター
 アイマスク・・・

亜紀には理解できない、異様で卑猥なモノ。

…いったい、なにを‼………

亜紀は、ガタンと立ち上がろうとしたが、脚に力が入らない。

「もう遅い。亜紀は、戻れない世界に行くんだ。」

…そうか、コーヒーに……

朦朧(もうろう)とし、脱力し意識が薄れながらも、後ろ手に縛られる自分を覚えている・・・

      ・・・・・・

        <つづく>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

r18短編集

ノノ
恋愛
R18系の短編集 過激なのもあるので読む際はご注意ください

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...