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DLC本編
特典とは言い切れない
しおりを挟む衣服を整え、換気もして…準備が整った瞬間。
光の速さでソファの背に隠れた。
(まあ、実際には腰が立たなくてヨボヨボ状態だったんだけどね!!!)
唐突に始まったかくれんぼに、先生は驚いたような顔をしている。
学校であるにも関わらず致してしまったというトンデモ状態なのだ、冷静になる時間を欲しがっても罪にはなるまい!!
「な~に隠れてんだよ」
「別に隠れてないですもん!」
悪戯な笑みを浮かべた先生に、クシャクシャに頭を撫で回される。
ただ、それ以上何かしたいわけでもないようで、特に言葉は続かなかった。
「そ、そういえば先生!秀先輩はお元気ですか?」
「あ?秀なら元気に大学生やってるぞ」
「そう、ですか…」
自分で聞いておきながら何だ、と思うかもしれないけど、俺が関わる余地がないようで少し寂しい。
大学生に高校生が会う機会なんてそう無いしなぁ。
(会いたかったなぁ…)
「まあ、また暇になったら会いに行ってやれよ。」
なぜかジト目の先生に見送られ学校を後にした頃には、もうすっかり日が暮れていた。
「ただいマイハウス~ッ!!」
コンビニで買った惣菜を片手にヨロヨロと帰宅した俺。
マイハウスに到着して秒で、奇声を上げながらソファにダイブした。
「しっかし、濃い1日だった…。」
みんなとの再会、新しいクラスに、モブ先生や江隅との出会い。あとは先生と、モ、モニャモニャ…。
これって、どこまでがストーリーの本筋なんだろう。
重く感じる右手でパソコンをいじっていると、
新機能のガチャソフトが立ち上がった。
何かしらの通知が来ているようで、赤いマークが付いている。
1日2回ガチャできるらしく、まだ1回引けると表示されていた。
「そういえばこの“gacha!”って機能、結局何だったの…」
スチルっぽいものが画面に表示されたと思ったら、急に暗転して、黒木の家にすっ飛ばされたのだ。
何ならアレ、ワープしてたよね?!
もしかすると、あのスチルって、乙女ゲームで言う回収要素なのかも。
ガチャで出たスチルの場面に飛ばされる…そう考えればあのワープも納得できる。
(でも、そうすると今日のどこからどこまでがスチルだったんだ…?)
恐る恐るガチャのアイコンをタップする。
今朝見たばかりのエフェクトが広がると同時に、『N』という文字と何か硬いものが飛び出てきた。
「ホワァッ!?」
反射神経も大してない俺。差し出した手は、飛び出てきたものにかすりもしなかった。
パリーーーンッ!!
鋭い音を立てて床に粉々に飛び散ったのは…
「あぁあぁ…み、魅惑の香水ッ」
全ての内容液が飛び散った香水は、俺の鼻にはふんわりと香る程度。
だが、その香りは人を惹きつける効力があるらしい。
「これはフラグを建設しまくってしまった気がする…」
もういい、不貞寝するっ!!
すぐにでも横になってやろうと、恒例になった文字入力ソフトに、今日あったことを書き出していく。
エンターキーを押すと、長ったらしい日記は2行に集約された。
✔︎DLC 文化祭準備編
✔︎黒木 SRスチル
残り 7 枚
「SR特典と文化祭準備編…ってことは、やっぱりガチャの他に、本筋のエピソードがあるってことか」
この表示もすんなりと理解できた。
2回目ともなれば、適応能力も爆上がりだ。
「う~…明日からも大変だぁ」
うめきながらも、俺はばたりとベッドに倒れ込んだ。
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