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おわりは突然に ①
しおりを挟む「教授ぅ…あの条件を飲むので、単位を下さい…あと匿ってください。」
兄貴と色々やらかしてしまった後、お腹を下した俺はひっそりと部屋で夜を明かした。
しかしながら、一晩経ったとしても、俺が兄貴に掘られてしまった事実はなくなるわけでは無い。
家族である兄貴とあれ以上どうこうなって仕舞えば、もう元の生活には戻れない気がしていた。
とうとう俺は家にも居られなくなり、教授のラボに戻って来ていた。
教授は俺の顔を見た瞬間、少し驚いた顔で俺を招き入れた。
そして、冒頭の俺の懇願に繋がる。
「匿う?なんでだ。」
「俺のボロボロさ、見てくださいよう…!これ以上男に迫られると、俺の大事なものが減っていきそうで怖いんです!!」
「…桜井、お前本番やったろ。」
「へ?!」
誰にも言っていないんだけど…?というか事が起こったのはつい昨日のことなのに。
(な、なんで知ってるのこの教授…!)
俺は突然脳内を透視された気分になり、両腕で自分の体を抱きしめる。
「ゴムぐらい付けろよ」
「…ッ?!」
本当にどこまで知ってるんだこの人…!!
実は昨日致してしまった時に、兄貴は遮るものを着けずに挿入し、そのまま俺の腹の中に精を吐き出したんだ。
教授は眉根を寄せたまま、あまり気乗りしない顔付きで解説を始めた。
「昨日言いかけた、その薬の効力が消える条件。
…それが、男の精を体内で受け止める事だ。それによって桜井の怪しげな色気が消えたってわけだ。」
最初からわかっていたことだったが、この薬のあまりのエロゲ仕様に茫然自失状態だ。
そんな条件にしなくっても、もうちょっとやりようがあったろ…!
「その状態なら、そこかしこの男どもをフェロモンで誘惑したりはしないだろう。」
「ってっことは…!!」
「おめでとう、条件をクリアしたんだ。
フェロモン増強については効力がゼロになっているだろう…外で試してみればいい。」
「い、いきなりハードルが高いこと言いますね。」
教授はそこまで話すと、また仕事に戻る。
俺はじわじわと解放された嬉しさがこみ上げて来て、教授の側に座り自分の腕などを嗅いでみる。
スンスン…
「フェロモンは香りみたいに自分では知覚できないぞ。」
「あ、そうなんですね。」
俺を散々苦しめた奴の顔でも見ておきたい、と言う気分で香ってみたがそれは無理らしい。
やることをなくした俺は、ボーッと室内を見てみる。
「変な話ですけど…普通に生活できる環境が、どんなに大切なものか身に染みました。
あんな生活、俺は耐えられないですね。薬頼んだ人はどんな思いで頼んだのやら…」
「…」
「教授は訳を知ってたからいいですけど、立木の奴にはなんて説明すれば良いんでしょうね。」
「今まで通り接してやれば良い。」
「それ、すげぇ胆力がないと出来ないですって。」
教授は短く、そうか、とだけ零してこちらへ視線すら向けない。
教授、なんか怒ってる…?
「問題だ。俺の今の感情がどう言ったものか、分かるか?」
「…へ?なんの話ですか。」
「いいから答えろ。」
「い、怒り?」
「ほぉ、危機察知能力はあるみたいだな。」
(き、危機察知能力…?)
突如、教授は俺の体勢を崩させると、上に乗り上げ両腕で俺をソファの座面に縫い付けてしまう。
俺は座っていたソファに転がるような格好になってしまい、頭が混乱する。
「へ、きょ…教授?」
「良い表情だな、何も知らない純真な表情だ。
…ここを男に明かしてしまったのにな。」
俺のTシャツを捲りあげ、下腹部を指先でなぞる。
その僅かな刺激の擽ったさに身を捩り、教授から逃げる。
「ちょ、なんなんですか。もしかしてまだ薬効いてるんですか?」
「俺以外をここで受け入れたことに腹を立てているんだ。」
「…んん?」
教授は俺の下腹部に顔を寄せると、チロリと出した舌で表面を舐めとるように刺激を与えてくる。
滑らかで、柔らかい肉が押し当てられる感覚を直に感じ、腹筋が震えてしまう。
「…ぁ!待っ、教授、やっぱりまだ薬が…!」
「お前が薬を飲む前から、ドロドロに抱いてやりたいと思っていた。
こんな状況だから、それを口実にしてやろうと思ったが…お前は先に誰かに抱かれてきた。」
チュッと音を立てて、足の付け根を吸われる度に、甘い痺れと混乱で脳が機能停止していく。
与えられた快感で足先がフルリと震え、昨日の快感が全身に蘇る。
「ぁ…ん」
ふと暗くなった気がして、閉じていた瞼を開くと教授の顔がボヤけてしまうくらいの距離にあった。
眼光鋭く睨みつける瞳が、俺の脳を強制的に稼働させる。
「抵抗、しないのか」
「へっ…!?あ、し、します。これからするんですよ!」
(何やってんだ俺…、なんで受け入れ態勢になっちゃってんだよ!)
俺は指摘された通りに抵抗を示そうとするが、教授に手首を掴まれあっさりと身動きが取れなくなる。
最初から気持ちが伴ってない動きだったんだ。すぐに阻まれるのも無理はない。
「なんで抵抗しないか…聞いてもいいか。」
「…ッ」
何でって…
(え、何でだろう。)
「まあいい…気持ちいことが好きってところか?軽い奴だな。」
「ちが…っ!(くはないかもしれない…)」
軽い奴、と言われて腹が立ったが、事実俺は教授への抵抗の意思がない。
そう思われても仕方がない、と思えてきてしまったんだ。
教授は俺の抵抗がゼロになったのを見計らい、ズボンを剥ぎ取る。
「ドアの鍵は掛けたか?」
「…掛けました、ぁっ!」
布越しにアレに口付けられ、湿らされていく。
布の横からするりと入って来た指が、後孔の入り口をグニグニと圧迫してくる。
グッ、グッと強く肉を押し込まれ、中に入りかけている指を更に意識してしまう。
「入れるぞ」
どこからか取り出された粘性のある液体で滑りを良くした指が、
食いちぎりそうな圧迫感に逆らって侵入してくる。
「っ、いた…」
「まだ痛いか?…回数はしなかったんだな。」
「!!」
突然話題を蒸し返されて、当時のことを思い出して赤面してしまう。
…いやなんで俺赤面してんだ、今も恥ずかしいことしてるだろうが!
と頭の中でセルフツッコミしていると、下に感じた刺激により現実に引き戻される。
「考え事か?随分呑気だな。」
入ったまま大人しくしていた指が、淫靡な音を立てながら、俺の中を掻き回し始める。
「ぁひ…っ!!」
グニュっと俺の肉壁を押したりなぞるような動きである一点を探していく。
…昨日、兄貴に捏ねくり回されたあの場所だろう。
教授の指が腹のちょうど裏の辺りを撫で上げた時、全身が波打つような、痺れる快感に襲われる。
腹に力が入り、中の指を締め付け、また更に快感を拾ってしまう。
「ッ…ひゃん!」
「はぁ…ここか。」
教授は心得た、とばかりにその一点を優しく刺激しながらも、指で孔を拡張していく。
「…や、そこぉ…」
永遠にも続きそうな下準備の動作に、腹の奥が切なそうに痙攣するのを感じる。
本当は、気付きたくない変化だった。
…だけど、ここまで逆上せさせられた脳では、なんの枷もなく口から欲望が漏れ出す。
「嫌だったか。…早く言えよ、中途半端にされると不完全燃焼になる。」
俺がこの行為を嫌がっていると勘違いしたのか、教授が指もろとも身体を引こうとする。
(ちがうんだってぇ…)
恥も外聞もかなぐり捨てた俺は、離れようとする教授の腕を逆に掴んで引き寄せる。
「あ、の…俺、もっと欲しくて…」
「…ッ!」
掴んだ腕が、ビクリと反応したのを感じた。
教授は俺の顔をまじまじと見ているだけで、なんの言葉も返さない。
意図が伝わらなかったかと、覚悟して更に言葉を続ける。
「その…お、奥に…」
「…男を煽るとどういう目に遭うか、知っておいた方がいいぞ。」
次の瞬間教授の瞳はガラリと色を変える。
今まで以上に欲望にギラついた瞳に射抜かれて身体が硬直してしまう。
そのせいでか、宛てがわれたモノに気付くのは、それが俺の中に潜り込んできてからだった。
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