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第一章【出会い編】
35.人助けすることになりました
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――んで。
「何で僕まで……。」
深夜、森の動物達も寝静まった頃。
マクレーンは片手で顔を覆いながら嘆いていた。
「いや~旅は道連れ世は。」
「うるさい!」
背後で申し訳なさそうに決まり文句を言おうとしたアランにマクレーンは珍しく声を荒げて遮ってきた。
そしてじろりと恨みを込めて睨んでやる。
表情に暗い影を落としたマクレーンの顔ははっきり言って非常に怖い。
結局アランが受けたはずのフローレンスのお願いを何故かマクレーンも一緒に叶えてあげる事になってしまったのだった。
いつになくイライラしているマクレーンにアランは焦った。
何とか誤魔化そうとしたが取り付く島も無い。
アランはマクレーンの怒りが本気なのを悟ったのか叱られた子犬のようにしゅんと項垂れてしまった。
ブツブツと不平を漏らすマクレーンを横目でちらちら窺う。
「そ、その……すまなかった。」
「何がですか?」
今回は反省しているのか珍しく謝罪の言葉を言ってきた。
しかしぴしゃりと突き放す。
隣で息を呑む気配が伝わってきた。
こんな所でこんな事をしている暇など無いのだ。
早くおつかいを終えてとっとと家に帰りたいオーラを出しながら目的地へと向かった。
目的地へ到着すると――いた。
フローレンスの屋敷から丁度反対側へ向かった森の入り口で数人の男達がたむろしていた。
茂みから様子を窺うとどうやら男達は見張りらしい。
仲間がまだいると思い探してみると、森の中に入ったところで洞穴がありそこにも見張り役の男達がいた。
森の入り口と洞穴に見張りは二人ずつ。
ずいぶん用心深いな、と思いながら様子を窺っているとアランが突然話しかけてきた。
「ざっと見積もって10人くらいか?」
隣で洞穴を凝視しながら険しい顔で言ってくるアランにマクレーンは「わかるんですか?」と驚いた表情で聞き返す。
「ん?まあなんとなくな。」
アランは肩を竦めながらそう言ってきた。
「見張りを見て中にいるのは倍以上いると思えばいいのさ、ま、少ない場合もあるけどな。」
アランはそう言うとにかっと笑ってみせた。
「そんなもんですか?」
「ああ、そんなもんだ。」
なんだか適当なことを言われているような気がしたが、彼は一応元傭兵だ。
とりあえずアランの言葉を信じてみようかと洞穴に視線を戻すと、更に数人の男達が戻ってくるのが見えた。
「え?」
マクレーンは思わず声が出てしまった。
戻ってきた男達の中に見覚えのある頭が一つ。
癖のある金髪は最近見たばかりだ。
しかも背格好も酷似している。
ちらっと見えた横顔で確信した。
「なんであいついるんだ?」
「さあ……。」
最後に別れたのは確かノウズサンドだったはず。
何故”彼”がこんな所に?しかも盗賊たちに捕まっているのか、とアランとマクレーンは半眼になりながら冷や汗を流すのだった。
「見てしまったものは仕方ありません……助けましょう。」
「なんかその言い方嫌々だな……すみません。」
失言するアランを『誰のせいでこうなったんだ』という呪いを込めて睨んでやると素直に謝ってきた。
「とりあえず盗賊たちの目的も調べないと。」
「だな。」
二人はお互い頷き合うと風下へと移動するのだった。
「何で僕まで……。」
深夜、森の動物達も寝静まった頃。
マクレーンは片手で顔を覆いながら嘆いていた。
「いや~旅は道連れ世は。」
「うるさい!」
背後で申し訳なさそうに決まり文句を言おうとしたアランにマクレーンは珍しく声を荒げて遮ってきた。
そしてじろりと恨みを込めて睨んでやる。
表情に暗い影を落としたマクレーンの顔ははっきり言って非常に怖い。
結局アランが受けたはずのフローレンスのお願いを何故かマクレーンも一緒に叶えてあげる事になってしまったのだった。
いつになくイライラしているマクレーンにアランは焦った。
何とか誤魔化そうとしたが取り付く島も無い。
アランはマクレーンの怒りが本気なのを悟ったのか叱られた子犬のようにしゅんと項垂れてしまった。
ブツブツと不平を漏らすマクレーンを横目でちらちら窺う。
「そ、その……すまなかった。」
「何がですか?」
今回は反省しているのか珍しく謝罪の言葉を言ってきた。
しかしぴしゃりと突き放す。
隣で息を呑む気配が伝わってきた。
こんな所でこんな事をしている暇など無いのだ。
早くおつかいを終えてとっとと家に帰りたいオーラを出しながら目的地へと向かった。
目的地へ到着すると――いた。
フローレンスの屋敷から丁度反対側へ向かった森の入り口で数人の男達がたむろしていた。
茂みから様子を窺うとどうやら男達は見張りらしい。
仲間がまだいると思い探してみると、森の中に入ったところで洞穴がありそこにも見張り役の男達がいた。
森の入り口と洞穴に見張りは二人ずつ。
ずいぶん用心深いな、と思いながら様子を窺っているとアランが突然話しかけてきた。
「ざっと見積もって10人くらいか?」
隣で洞穴を凝視しながら険しい顔で言ってくるアランにマクレーンは「わかるんですか?」と驚いた表情で聞き返す。
「ん?まあなんとなくな。」
アランは肩を竦めながらそう言ってきた。
「見張りを見て中にいるのは倍以上いると思えばいいのさ、ま、少ない場合もあるけどな。」
アランはそう言うとにかっと笑ってみせた。
「そんなもんですか?」
「ああ、そんなもんだ。」
なんだか適当なことを言われているような気がしたが、彼は一応元傭兵だ。
とりあえずアランの言葉を信じてみようかと洞穴に視線を戻すと、更に数人の男達が戻ってくるのが見えた。
「え?」
マクレーンは思わず声が出てしまった。
戻ってきた男達の中に見覚えのある頭が一つ。
癖のある金髪は最近見たばかりだ。
しかも背格好も酷似している。
ちらっと見えた横顔で確信した。
「なんであいついるんだ?」
「さあ……。」
最後に別れたのは確かノウズサンドだったはず。
何故”彼”がこんな所に?しかも盗賊たちに捕まっているのか、とアランとマクレーンは半眼になりながら冷や汗を流すのだった。
「見てしまったものは仕方ありません……助けましょう。」
「なんかその言い方嫌々だな……すみません。」
失言するアランを『誰のせいでこうなったんだ』という呪いを込めて睨んでやると素直に謝ってきた。
「とりあえず盗賊たちの目的も調べないと。」
「だな。」
二人はお互い頷き合うと風下へと移動するのだった。
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