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21,後悔
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その時、遊園地に合わない男たちの悲鳴が聞こえてくる。見れば、蓮と王に話しかけてきたらしい男たちに、ブチ切れたクラウドが殺しかねない攻撃をくらわせていた。
「ったく、言ったそばからあいつは…」
トージは手のかかる、かつての後輩にあきれる。
「すみません。トージさんのお仕事を増やしてしまいますね」
「ははっ、いいよ」
謝るシオンと共に、クラウドを止めるべくベンチから立ち上がった。
トージは安堵していた。潔癖なほど他人に興味がなく、感情も表さなかったシオンが、蓮の話をする時は人間らしい感情のある表情を見せた。シオンの彼への気持ちに偽りはなく、彼の存在が生きる意味になったのだろう。
「良かったな、シオン」
「何か?」
「いいや、何も」
俺は心配性な保護者かと自嘲し、走った。
遊園地を楽しんだ後、有名な遺跡をいくつか見学し、国王陛下一行の1日目の行程は終了した。
宿泊するホテルの部屋は、当然最高級のスイートルーム。城暮らしの王にしたらこれでも手狭なのだろうが、寝るだけなのにもったいねーと蓮は思っていた。
「わぁー綺麗だね!」
ルームサービスで夕食を済ませた後、大きな窓から一望出来る夜景に目を奪われる王の隣で、蓮は彼を見つめる。異世界への訪問は叶わなくとも、王は初めての旅行を楽しんでいるようだ。わざわざ許可を取ってくれたシオンには悪いが、そのうちふたりだけで外泊してやると企む。
そして、キラキラ輝く金色の眼の方が綺麗だと思いながら、今日行った先々の出来事を話す王に相づちをうった。
しばらくして、蓮が王を抱きかかえてシオンとクラウドのそばにやって来る。
「なぁ、コイツ寝かせてくる」
蓮の腕の中の王は、うとうとと眠りかけていた。
「はい、お願いいたします」
「んん…ヤダ…もっと、レンとお話しする…」
「ああ、明日な」
駄々っ子のように身をよじらす王の背をなでながら、蓮は隣の寝室へ向かう。
「お休みなさいませ、陛下」
シオンとクラウドはサッと片膝をつき、頭を下げて彼らを見送った。
「ふぅー…っもう飲むぞ!いいよな?」
ドアが閉まり、クラウドは大きく息を吐いて立ち上がる。
「はい」
シオンも立ち上がり、うなずく。
「やはり、後悔しているのですか」
「してない!」
また同じ質問をするシオンに、クラウドは冷蔵庫を開けながら怒鳴る。今日一日、蓮と王の仲睦まじい様子をただただ見せつけられたのだ。護衛として付いて来たのだから、目を背けることも文句を言うことも出来ない。今ようやく解放されて、酒でも飲まないと爆発してしまいそうだ。
「そうですか」
「何でお前の顔見ながら飲まなきゃならないんだ。腹立つな」
クラウドは酒瓶とグラスを手に、シオンが座ったソファーの向かいに座り、八つ当たりする。
「目隠ししますか」
「うるさいっ!」
持参した本をゆったりと開くシオンに、また怒鳴った。
「レンの奴、戻って来ないな」
酒の入ったグラスを置き、クラウドは寝室のドアを見る。
「ええ」
シオンも本から顔を上げる。王を寝かせた後、蓮は戻ってくると思っていたのだが、30分経ってもドアは開かない。
「様子見てくるか」
クラウドはソファーから立ち上がった。
広々とした寝室にはシングルベッドがふたつとダブルベッドがひとつあり、蓮と王はダブルベッドの方にいた。ふたりとも静かな寝息をたてて眠っている。蓮も王と一緒に横になっていたら、眠くなってしまったのだろう。
「っっ!!か、ぐぅ…っ」
かわいいっっ!!
クラウドは寄り添って眠るふたりの姿に、叫びそうになった口を押さえてもだえる。好みどストライクのふたりの寝顔は破壊力抜群だ。
「レン様も眠ってしまわれたのですね」
シオンも寝室をのぞき、ふっと微笑む。
「行きましょう」
「…ああ」
ふたりはそっと寝室のドアを閉めた。
「私にも1杯いただけますか」
再びソファーに座ると、シオンはクラウドのグラスの横に新しいグラスを置く。
「へっ?お前、酒は…」
シオンは医師に止められるほど、極端にアルコールに弱い。城内の者、皆が承知でシオンが口にする料理にさえ使用を控えるほどだ。もちろん彼自身も自覚があり、まさか飲みたがるとは思わず、クラウドは驚く。
「私も後悔しているのかもしれません」
「はぁ?この旅行計画して押し通した張本人がか?」
「私はレン様のためなら何でもします」
「はいはい、ソーデスネ」
彼が蓮のためなら手段を選ばないことくらいわかりきっている。クラウドは適当に返事をして、酒瓶のふたを開ける。
「そう言えば、お前大臣たちをどうやって説得したんだ?」
「おふたりだけで無断外泊されるよりいいでしょうとお話ししただけですよ」
「弱いな。他にもあるだろ?」
シオンの分と自分の分の酒を注ぎ、シオンの前にグラスを置く。国王陛下と身代わり護衛を連れて旅行という前例のないことを、お堅い大臣たちがそう簡単に許可するはずがない。シオンがどう説得したのか気になっていた。
「ありませんよ。では、いただきます。後はお願いしますね」
「ああ」
シオンはグラスを手にとり、クラウドが掲げたグラスとカチンと合わせる。
「…大臣たちに、言ったんですよ」
ぐいっとひと口飲んだ後、シオンはふいに話し始める。
「私はもう、兄のようにあの方を失いたくないと」
シオンに兄、サンカの話を出されたら、多少無理な要望でも首を縦に振らない大臣はいないだろう。18年前の再現を、否、それ以上の惨劇を起こすかもしれない蓮と王の関係を、大臣らは口にこそ出さないが恐れている。シオンはそこを突いたのだ。
「…脅しだぞ、それ」
クラウドは本当に手段を選ばない奴だなと思い、酒を口にする。シオンはそれだけ言うとグラスを置き、ガクンとソファーに背を預けた。
「もうツブレたか。相変わらず、信じられないくらい弱いな」
ひと口の飲酒で眠ってしまったシオンにため息をつき、クラウドはソファーから立ち上がる。真っ赤な顔をしたかつての同志を抱え上げ、寝室へ向かった。
「…しょっと」
シングルベッドのひとつにシオンを転がし、もう少し飲むかと寝室を出ようとすると
「ん…クラウド…?」
ダブルベッドに寝ていた蓮が身じろぎ、名を呼ぶ。目が覚めたようだ。
「ごめんな。起こしたか」
「うぇ、酒クセ…っ」
小声で言いながらベッドに近寄ると、蓮は酒の匂いに顔をしかめる。
「起きるのか?」
「のど渇いた」
蓮は王に毛布をかけ直し、そっとベッドから起き上がる。クラウドは寝室を出る蓮についていきながら、起きてくれたことが嬉しくてニマニマしていた。
「冷蔵庫は酒しか入ってないぞ」
「ああ?んだよ」
冷蔵庫を開けようとした蓮は、不機嫌になって手を離す。
「頼んでやろうか?」
「自販機でいい。金くれ」
部屋を出て少し行った先の廊下に、飲み物の自販機があったはず。ルームサービスを頼むより早い。蓮は手を出して小銭をせがむ。
「俺が買ってきてやろうか」
「酔っぱらいは寝てろ」
「ったく、かわいくないな!かわいいくせに!」
「あー…ウゼー」
頭をくしゃくしゃなでてくるクラウドに悪態をつく。
「ははっ、ほら、金。買って来い。待っているから」
クラウドは嬉しそうに笑い、小銭を手渡す。
「…ん」
今日ずっと怒ってばかりだったクラウドがやっとまともに笑ったと思い、蓮は小銭を握った。
夜半を過ぎたホテルの廊下は静まり返っていた。人の多い観光地ばかりに行き、ひっきりなしに見知らぬ人に話しかけられていたので、人気のない場所は気楽でいい。蓮は手の中の小銭をチャラチャラ揺すりながら、自販機の前に立つ。すると、廊下の反対側から人のやって来る気配がした。同じ目的のヤツがいやがったかと、蓮は心の中で舌打ちする。すぐそばまでやって来た男は蓮に気づくと、じいっと横顔を見つめてくる。またナンパ目的で話しかけてこられると面倒だ。さっさと買って戻ろうと、蓮は小銭を自販機に入れた。
「国王陛下はお元気ですか?ジョウノレン様」
「!」
男の言葉に心底驚き、思わず彼の方に顔を向ける。王と顔が同じなのは仕方ないとして、何故名を知っているのか。蓮のフルネームは城の者でも知る者は限られているはず。
「…やはりそうか。驚いた。何故『身代わり護衛』が民間のホテルなんかに?」
「何だ、テメー」
「ふっ…質問に答えない上、口も悪い。先代のジョウノミノルとはだいぶ違うな」
と、男は見下すように笑む。王室のトップシークレットである情報に詳しい。確実に関係者だと蓮は思う。
「まぁいい。俺は王室護衛をしていた」
元王室護衛。それなら、蓮のことを知っていてもおかしくない。だが、彼は態度が威圧的で、昼間会った同じ元王室護衛のトージと全く違う雰囲気だ。
「先代とも関わる機会はなかったが、あなた方の『もうひとつの役目』を行使出来るくらいの力はあった」
「…っ」
『実力ある護衛は身代わり護衛と性交することが出来る』
初めて告げられた時から、嫌悪しかないその役目。蓮は反射的に一歩後ずさるが
「おっと。逃げるな」
「っ!?」
彼の手がガッと蓮の手首をつかむ。
「それなのに、現役の頃はその機会もない上、ろくな思い出がない」
「い…っ!」
そのまま手首をギリギリとつかみ上げられ、蓮は痛みにうめく。
「こんな偶然、もう二度とないだろう。国王陛下と同じ美しい顔の者を合法的に犯せるという最高の権利を、今から行使させてもらおうか」
男はニヤリと笑み、蓮の首筋に顔を寄せた。
「ったく、言ったそばからあいつは…」
トージは手のかかる、かつての後輩にあきれる。
「すみません。トージさんのお仕事を増やしてしまいますね」
「ははっ、いいよ」
謝るシオンと共に、クラウドを止めるべくベンチから立ち上がった。
トージは安堵していた。潔癖なほど他人に興味がなく、感情も表さなかったシオンが、蓮の話をする時は人間らしい感情のある表情を見せた。シオンの彼への気持ちに偽りはなく、彼の存在が生きる意味になったのだろう。
「良かったな、シオン」
「何か?」
「いいや、何も」
俺は心配性な保護者かと自嘲し、走った。
遊園地を楽しんだ後、有名な遺跡をいくつか見学し、国王陛下一行の1日目の行程は終了した。
宿泊するホテルの部屋は、当然最高級のスイートルーム。城暮らしの王にしたらこれでも手狭なのだろうが、寝るだけなのにもったいねーと蓮は思っていた。
「わぁー綺麗だね!」
ルームサービスで夕食を済ませた後、大きな窓から一望出来る夜景に目を奪われる王の隣で、蓮は彼を見つめる。異世界への訪問は叶わなくとも、王は初めての旅行を楽しんでいるようだ。わざわざ許可を取ってくれたシオンには悪いが、そのうちふたりだけで外泊してやると企む。
そして、キラキラ輝く金色の眼の方が綺麗だと思いながら、今日行った先々の出来事を話す王に相づちをうった。
しばらくして、蓮が王を抱きかかえてシオンとクラウドのそばにやって来る。
「なぁ、コイツ寝かせてくる」
蓮の腕の中の王は、うとうとと眠りかけていた。
「はい、お願いいたします」
「んん…ヤダ…もっと、レンとお話しする…」
「ああ、明日な」
駄々っ子のように身をよじらす王の背をなでながら、蓮は隣の寝室へ向かう。
「お休みなさいませ、陛下」
シオンとクラウドはサッと片膝をつき、頭を下げて彼らを見送った。
「ふぅー…っもう飲むぞ!いいよな?」
ドアが閉まり、クラウドは大きく息を吐いて立ち上がる。
「はい」
シオンも立ち上がり、うなずく。
「やはり、後悔しているのですか」
「してない!」
また同じ質問をするシオンに、クラウドは冷蔵庫を開けながら怒鳴る。今日一日、蓮と王の仲睦まじい様子をただただ見せつけられたのだ。護衛として付いて来たのだから、目を背けることも文句を言うことも出来ない。今ようやく解放されて、酒でも飲まないと爆発してしまいそうだ。
「そうですか」
「何でお前の顔見ながら飲まなきゃならないんだ。腹立つな」
クラウドは酒瓶とグラスを手に、シオンが座ったソファーの向かいに座り、八つ当たりする。
「目隠ししますか」
「うるさいっ!」
持参した本をゆったりと開くシオンに、また怒鳴った。
「レンの奴、戻って来ないな」
酒の入ったグラスを置き、クラウドは寝室のドアを見る。
「ええ」
シオンも本から顔を上げる。王を寝かせた後、蓮は戻ってくると思っていたのだが、30分経ってもドアは開かない。
「様子見てくるか」
クラウドはソファーから立ち上がった。
広々とした寝室にはシングルベッドがふたつとダブルベッドがひとつあり、蓮と王はダブルベッドの方にいた。ふたりとも静かな寝息をたてて眠っている。蓮も王と一緒に横になっていたら、眠くなってしまったのだろう。
「っっ!!か、ぐぅ…っ」
かわいいっっ!!
クラウドは寄り添って眠るふたりの姿に、叫びそうになった口を押さえてもだえる。好みどストライクのふたりの寝顔は破壊力抜群だ。
「レン様も眠ってしまわれたのですね」
シオンも寝室をのぞき、ふっと微笑む。
「行きましょう」
「…ああ」
ふたりはそっと寝室のドアを閉めた。
「私にも1杯いただけますか」
再びソファーに座ると、シオンはクラウドのグラスの横に新しいグラスを置く。
「へっ?お前、酒は…」
シオンは医師に止められるほど、極端にアルコールに弱い。城内の者、皆が承知でシオンが口にする料理にさえ使用を控えるほどだ。もちろん彼自身も自覚があり、まさか飲みたがるとは思わず、クラウドは驚く。
「私も後悔しているのかもしれません」
「はぁ?この旅行計画して押し通した張本人がか?」
「私はレン様のためなら何でもします」
「はいはい、ソーデスネ」
彼が蓮のためなら手段を選ばないことくらいわかりきっている。クラウドは適当に返事をして、酒瓶のふたを開ける。
「そう言えば、お前大臣たちをどうやって説得したんだ?」
「おふたりだけで無断外泊されるよりいいでしょうとお話ししただけですよ」
「弱いな。他にもあるだろ?」
シオンの分と自分の分の酒を注ぎ、シオンの前にグラスを置く。国王陛下と身代わり護衛を連れて旅行という前例のないことを、お堅い大臣たちがそう簡単に許可するはずがない。シオンがどう説得したのか気になっていた。
「ありませんよ。では、いただきます。後はお願いしますね」
「ああ」
シオンはグラスを手にとり、クラウドが掲げたグラスとカチンと合わせる。
「…大臣たちに、言ったんですよ」
ぐいっとひと口飲んだ後、シオンはふいに話し始める。
「私はもう、兄のようにあの方を失いたくないと」
シオンに兄、サンカの話を出されたら、多少無理な要望でも首を縦に振らない大臣はいないだろう。18年前の再現を、否、それ以上の惨劇を起こすかもしれない蓮と王の関係を、大臣らは口にこそ出さないが恐れている。シオンはそこを突いたのだ。
「…脅しだぞ、それ」
クラウドは本当に手段を選ばない奴だなと思い、酒を口にする。シオンはそれだけ言うとグラスを置き、ガクンとソファーに背を預けた。
「もうツブレたか。相変わらず、信じられないくらい弱いな」
ひと口の飲酒で眠ってしまったシオンにため息をつき、クラウドはソファーから立ち上がる。真っ赤な顔をしたかつての同志を抱え上げ、寝室へ向かった。
「…しょっと」
シングルベッドのひとつにシオンを転がし、もう少し飲むかと寝室を出ようとすると
「ん…クラウド…?」
ダブルベッドに寝ていた蓮が身じろぎ、名を呼ぶ。目が覚めたようだ。
「ごめんな。起こしたか」
「うぇ、酒クセ…っ」
小声で言いながらベッドに近寄ると、蓮は酒の匂いに顔をしかめる。
「起きるのか?」
「のど渇いた」
蓮は王に毛布をかけ直し、そっとベッドから起き上がる。クラウドは寝室を出る蓮についていきながら、起きてくれたことが嬉しくてニマニマしていた。
「冷蔵庫は酒しか入ってないぞ」
「ああ?んだよ」
冷蔵庫を開けようとした蓮は、不機嫌になって手を離す。
「頼んでやろうか?」
「自販機でいい。金くれ」
部屋を出て少し行った先の廊下に、飲み物の自販機があったはず。ルームサービスを頼むより早い。蓮は手を出して小銭をせがむ。
「俺が買ってきてやろうか」
「酔っぱらいは寝てろ」
「ったく、かわいくないな!かわいいくせに!」
「あー…ウゼー」
頭をくしゃくしゃなでてくるクラウドに悪態をつく。
「ははっ、ほら、金。買って来い。待っているから」
クラウドは嬉しそうに笑い、小銭を手渡す。
「…ん」
今日ずっと怒ってばかりだったクラウドがやっとまともに笑ったと思い、蓮は小銭を握った。
夜半を過ぎたホテルの廊下は静まり返っていた。人の多い観光地ばかりに行き、ひっきりなしに見知らぬ人に話しかけられていたので、人気のない場所は気楽でいい。蓮は手の中の小銭をチャラチャラ揺すりながら、自販機の前に立つ。すると、廊下の反対側から人のやって来る気配がした。同じ目的のヤツがいやがったかと、蓮は心の中で舌打ちする。すぐそばまでやって来た男は蓮に気づくと、じいっと横顔を見つめてくる。またナンパ目的で話しかけてこられると面倒だ。さっさと買って戻ろうと、蓮は小銭を自販機に入れた。
「国王陛下はお元気ですか?ジョウノレン様」
「!」
男の言葉に心底驚き、思わず彼の方に顔を向ける。王と顔が同じなのは仕方ないとして、何故名を知っているのか。蓮のフルネームは城の者でも知る者は限られているはず。
「…やはりそうか。驚いた。何故『身代わり護衛』が民間のホテルなんかに?」
「何だ、テメー」
「ふっ…質問に答えない上、口も悪い。先代のジョウノミノルとはだいぶ違うな」
と、男は見下すように笑む。王室のトップシークレットである情報に詳しい。確実に関係者だと蓮は思う。
「まぁいい。俺は王室護衛をしていた」
元王室護衛。それなら、蓮のことを知っていてもおかしくない。だが、彼は態度が威圧的で、昼間会った同じ元王室護衛のトージと全く違う雰囲気だ。
「先代とも関わる機会はなかったが、あなた方の『もうひとつの役目』を行使出来るくらいの力はあった」
「…っ」
『実力ある護衛は身代わり護衛と性交することが出来る』
初めて告げられた時から、嫌悪しかないその役目。蓮は反射的に一歩後ずさるが
「おっと。逃げるな」
「っ!?」
彼の手がガッと蓮の手首をつかむ。
「それなのに、現役の頃はその機会もない上、ろくな思い出がない」
「い…っ!」
そのまま手首をギリギリとつかみ上げられ、蓮は痛みにうめく。
「こんな偶然、もう二度とないだろう。国王陛下と同じ美しい顔の者を合法的に犯せるという最高の権利を、今から行使させてもらおうか」
男はニヤリと笑み、蓮の首筋に顔を寄せた。
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