黄金色の君へ

わだすう

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2,性行為

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 2年前のある夜。話があると部屋に入ってきた父親に突然押し倒された。何も言わずにのしかかる父親がとてつもなく怖くて怖くて。必死にもがき、泣き叫んだ。父親ははっとして息子から離れると、ぼそりと謝り、部屋を出た。

 これが蓮が戦闘訓練をやめた理由。それ以来、師匠である父親と顔も合わせられなくなったのだから。


 この男は父親のその行為を知っているのか。やはり、父親のそれはそういうことだったのか。

 その時の疑念が確信になり、頭の中は恐怖と嫌悪で占められガタガタと全身が震える。シオンはかまわず蓮の両腕を頭上でひとまとめにし、片手で押さえこむ。そして、反対の手で器用にベルトを外し、下着ごとズボンを下ろす。

「ひ…!」

 恐怖で縮こまった下半身をさらされ、蓮はうわずった声が出てしまう。

「異性とのご経験はあるようですね」

 と、シオンは蓮の性器を見て言う。確かに、蓮に惹かれた同じ高校の女生徒と数回関係を持ったことはある。

「これから、それとは異なる性行為を経験して頂きます」
「あ?!あぁっ!」

 萎えたそれをシオンは握りしめた。急な刺激に蓮の腰がびくんと浮き上がる。

「…っ!く、んん…っ」

 自分でやる時より強く握られ、しごかれる。けして上手いというわけではなく、興奮できる状態でもないのに、あっという間に蓮のモノは芯を持っていく。

「はぁ…っゃ、め…っ」

 しだいに息が上がり、下半身に熱が集まる。恐怖で動かなかった身体はびくびくと跳ね、腰も揺らめく。

 こんな男の手でイキたくない。

 大きな目に涙がにじむ。

「ご心配なく。イってください、レン様」

 シオンはイヤイヤするように首を振る蓮を見て口角をくっと上げ、しごく手を早める。

「…んんっ…ぅ、んーっっ!!」

 我慢など出来なかった。とどめとばかりに先端をぐりっとなでられ、そこから勢いよく白濁を吹き出す。

「ふぅ…っ!は、はぁ…っ!」

 絶頂の余韻で震えが止まらず、乱れる呼吸。

「たくさん出ましたね」

 と、シオンの手につく自分の吐き出したものを見つめられる。蔑まされたようで、恥ずかしい以上に悔しくて。真っ赤に染まったほほに大粒の涙がつたう。

「まだ、終わりではありませんよ」
「…あ…?」

 シオンは白く汚れた手をそのままに、蓮の腕を押さえていた方の手を離す。そして、半端に下ろしていた蓮のズボンを足から素早く抜き取った。

「っ?!」

 蓮は両腕を解放されても何の抵抗も出来ず、片方の膝裏を胸まで押し上げられてしまう。陰嚢の裏側から後孔までがシオンに丸見えになり、ますますほほが上気する。

「ご存知ですか?この奥に、射精を促す部分があるのを」
「…」

 人をこんな辱しめた姿勢にしているとは思えない冷静な言い方にあっけにとられ、蓮は返答など出来ない。

「では、覚えてくださいね。力を抜いてください」
「な…っ?あぁーっ!!」

 シオンは濡れた指先を迷いなしに蓮の後孔に当てると、人差し指をねじ入れた。身構えられなかった突然の痛みと経験のない異物感。大きく身体が跳ねあがり、悲鳴が出る。

「この辺り…ですか」

 シオンの指が中の粘膜をこすりながらうごめく。

「ぅあっ?!」

 ある場所を指先が押した時、また蓮の腰が跳ねる。痛みや異物感とは違う刺激が蓮を襲う。

「どうですか?」

 もてあそぶかのようにシオンは前立腺をぐいぐいと押す。

「や、ダ…っそこ…っ!」

 びくびくと震え、もだえる蓮を見て、また口角を上げると更に中指を突き入れた。二本の指で前立腺を挟みこみ、揉むように刺激し続ける。さっき出したばかりのはずの蓮自身は再び起ちあがり、たらたらと透明な液が垂れだす。
 強い射精感なのに、吐き出せない苦痛。蓮はたまらず自身に手を伸ばすが、シオンがその手を押さえる。

「ココだけで、イってください」
「い…?あ、あぁーっ!!」

 無理難題に耳を疑う間もなく、いっそう強く前立腺を刺激される。蓮はイクにイケない苦しさに、しばらくのたうつことになった。



「初めてですから仕方ありませんね。このくらいにしておきましょうか、レン様」

 シオンは冷静な口調のまま、後孔から指を引き抜く。

「ふぁ…っ!はぁっ!は…っ!」

 結局射精出来なかった蓮はびっしょりと汗をかき、身体を震わせて息を乱していた。起ち上がったままの自身は苦しげに先走りをたらし、さんざんかき回された後ろは濡れそぼってひくひくと収縮する。

「…申し訳ありません」
「あ…?」
「やはり、これで終わりには出来なくなりました」

 意味がわからず、蓮は涙でにじむ視界でシオンを見上げる。

「あなたがあまりに扇情的で、抑えられません」

 シオンは首まで隠していた黒いコートをばさりと脱ぎ、黒のノースリーブシャツ姿になる。細身だが、腕にはしっかりと筋肉がついている。
 そして、頭を覆う青布もほどき、大きなサングラスも外した。誰でも見惚れてしまうであろう端正な顔立ちと、髪よりも濃い紫色の瞳で涼しげな目元もあらわになる。何故か右目は眼帯のような布で覆われていた。
 呆然とシオンの脱衣を見ていた蓮はまた膝裏を持ち上げられ、はっとする。

「もう少しお時間をください、レン様」

 シオンの端正な顔が近づいたかと思うと、口をふさがれる。

「ぅ…ん…っ」

 キスをされていると気づくのにしばらくかかった。舌も入れられ、されるがまま舌を絡ませあい、じっくり口内を探られる。

「…っふあ…?!」
「あなたはキスがお好きなのですね」

 存分に蓮の口内を味わってから口を離し、にこりとシオンは微笑む。

「…」

 そのきれいな笑顔に蓮はキスをされていたことを忘れて、目を奪われてしまう。だが、後孔に熱さを感じて我にかえった。

「入れますよ」
「あ…?」

 ズボンから出していた猛るモノを、シオンは十分にほぐされたそこへ擦り当てていた。蓮の返事など待つ気はなく、強引に押し入れていく。

「あ、あ、あぁ…っ」

 指とは比べ物にならない熱く質量を持ったものが身体の中に入ってくる。

 犯されている。

 その痛み、苦しさと悔しさ、信じたくない気持ちで感情はぐちゃぐちゃになり、涙がいく筋も流れ出る。

「すべて入りました。動きます」

 反対にシオンはこの状態でも変わらず冷静な口調で、あまりの温度差に蓮はおかしくなりそうになる。

「くぁ…っ!あ、あぁっ!」

 しかし、何か出来るわけもなく、ゆっくりと抜かれたモノをまた勢いよく突き入れられる。されるがままそれを繰り返され、粘膜を引きずられる。さらに前立腺をこすられて、苦しさの中に再び強い射精感が生まれてくる。

「苦しい、ですか…っ?」

 シオンは腰を動かすのを止めず、あえぐ蓮の顔を見つめて聞く。蓮は抽挿に合わせて、ただガクガクとうなずくしかない。

「では、そろそろイキましょう」

 シオンはにこりと微笑み、蓮の濡れて震えるモノを握る。

「うあ、あっ、あぁあーっ!!」

 待ちかねた直接的な刺激で、びくんと蓮の身体が跳ねあがったと同時に白濁が吹き出る。女の中で感じたものとは段違いの絶頂。蓮はそこでぶつりと意識を失っていた。






「申し訳ありませんでした、レン様」

 どのくらい経ったのか。ぼおっとベッドに寝たまま、天井を見つめる蓮の耳に入ったのは謝るシオンの声。
 シオンは出会った時と同じ黒コート、サングラス姿で膝を着き、自分もきちんとズボンをはいている。それを見てさっきのことは悪夢だと思いたかったが、身体のだるさと腰の痛みが現実だともの語っていた。

「ウェア王国への出立は明日になります。今夜はゆっくりとお休みください」

 それも現実だったかと、蓮はぼんやりと思う。

「あなたがどんなに抵抗しようとお役目の拒否は出来ません。あなたでなければならないのですから。それから、あなたの世話役は私ですので、それ以外のご要望は何なりとお申し付けください」

 そう言うと、失礼しましたとシオンは部屋を出ていった。
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