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リスカ令嬢の復讐劇
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「———これは近くて遠いお話。
あるところに、とっても可愛い双子の少女がいました。
双子の少女たちは辺境にある裕福な男爵家の娘として生まれ、蝶よ花よとお姫さまのように、大切に大切に育てられました。
ある時、双子のお姉さんである“水色のお姫さま”は王子さまに出逢います。
太陽のように美しい王子さまに、水色のお姫さまは恐怖を抱きました。何故なら、王子さまは水色のお姫さまを強引に娶ろうとしたからです。
双子の姉妹や家族は、お姉さんを守るために一生懸命に抵抗しました。
しかしながら抵抗も虚しく、王子さまは水色のお姫さまのお家をお取り潰しにすることにしてしまいました。
水色のお姫さまは思います。
『私なんかが生きているから、こんなことになってしまうんだわ』
桃色のお姫さまが水色のお姫さまがいないと気がついた時には、全てが終わっていました。
水色のお姫さまは自らの心にナイフを突き立て、死んでしまっていたのです。
桃色のお姫さまは復讐を誓い、行動を起こしました。
自らの愛らしい容姿を巧みに使い、王子さまに近づいたのです。
桃色のお姫さまは無事、王子さまの寵愛を得ることに成功しました。
ですが、常に護衛を連れている王子さまを殺すことはなかなかに難しい。
そこで、桃色のお姫さまは思いつきました。
『あたしが王子さまのお嫁さんになって、誰も王子さまをお守りしない夫婦の時間にあいつを殺せばいいんだわ!!』
桃色のお姫さまは早速行動に移します。
王子さまの婚約者である青薔薇姫を追い出すために、出来うる限りの悪評を王子さまに吹き込みます。
お馬鹿な王子さまは、言葉巧みに騙されていることにも気が付かず、あっという間に泥沼にハマってしまいました。
桃色のお姫さまは虚しくなってしまいます。
『どうしてお姉さまはこんなお馬鹿な人に殺されてしまったの!!あぁ!死んでしまいたい!!早くお姉さまのところに行きたい!!』
心渦巻く衝動を抑え込むために、桃色のお姫さまは苦しみや悲しみを自らの腕に刻み込んでいきます。
苦しい気持ちや悲しい気持ちを打ちつける腕は、あっという間にリストカットまみれに。
必死に我慢して、我慢して、やっと桃色のお姫さまが望む時がやってきました。
そう。
お馬鹿な王子さまのお嫁さんになる時です。
桃色のお姫さまは青薔薇姫の協力を得ながら一世一代の賭けに出て、そして賭けに勝利しました。
大嫌いで、憎くて仕方がない男のお嫁さんになることができました。
しかし、ここで桃色のお姫さまはもっとイイコトを思い付いてしまいます。
『すぐに殺してしまうのはもったいないわ。どうせなら、苦しんできた女性の分だけ、たっくさん苦しんでもらわなくちゃ』
王子さまの住まいが冷宮に移され周囲の目が無くなったのをいいことに、桃色のお姫さまは王子さまのお食事に何度も毒を混ぜ、生死の境目を泳がせました。
苦しみ踠く姿を、愉しみました。
けれど、そんな遊びもいつかは疲れてしまう。
桃色のお姫さまは覚悟を決めました。
王子さまを水色のお姫さまと同じような方法で殺す覚悟です。
桃色のお姫さまは数日後に、王子さまを殺しました。
身体をバラバラにした後、心臓をナイフで抉ったのです。
腕にたくさんの傷を負っている桃色のお姫さまは、高笑いを浮かべていたそうです。
最愛を殺した男の呆気ない終わりに絶望したそうです。
そして、自らの喉に、その短剣を差し込んだそうです………」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
あるところに、とっても可愛い双子の少女がいました。
双子の少女たちは辺境にある裕福な男爵家の娘として生まれ、蝶よ花よとお姫さまのように、大切に大切に育てられました。
ある時、双子のお姉さんである“水色のお姫さま”は王子さまに出逢います。
太陽のように美しい王子さまに、水色のお姫さまは恐怖を抱きました。何故なら、王子さまは水色のお姫さまを強引に娶ろうとしたからです。
双子の姉妹や家族は、お姉さんを守るために一生懸命に抵抗しました。
しかしながら抵抗も虚しく、王子さまは水色のお姫さまのお家をお取り潰しにすることにしてしまいました。
水色のお姫さまは思います。
『私なんかが生きているから、こんなことになってしまうんだわ』
桃色のお姫さまが水色のお姫さまがいないと気がついた時には、全てが終わっていました。
水色のお姫さまは自らの心にナイフを突き立て、死んでしまっていたのです。
桃色のお姫さまは復讐を誓い、行動を起こしました。
自らの愛らしい容姿を巧みに使い、王子さまに近づいたのです。
桃色のお姫さまは無事、王子さまの寵愛を得ることに成功しました。
ですが、常に護衛を連れている王子さまを殺すことはなかなかに難しい。
そこで、桃色のお姫さまは思いつきました。
『あたしが王子さまのお嫁さんになって、誰も王子さまをお守りしない夫婦の時間にあいつを殺せばいいんだわ!!』
桃色のお姫さまは早速行動に移します。
王子さまの婚約者である青薔薇姫を追い出すために、出来うる限りの悪評を王子さまに吹き込みます。
お馬鹿な王子さまは、言葉巧みに騙されていることにも気が付かず、あっという間に泥沼にハマってしまいました。
桃色のお姫さまは虚しくなってしまいます。
『どうしてお姉さまはこんなお馬鹿な人に殺されてしまったの!!あぁ!死んでしまいたい!!早くお姉さまのところに行きたい!!』
心渦巻く衝動を抑え込むために、桃色のお姫さまは苦しみや悲しみを自らの腕に刻み込んでいきます。
苦しい気持ちや悲しい気持ちを打ちつける腕は、あっという間にリストカットまみれに。
必死に我慢して、我慢して、やっと桃色のお姫さまが望む時がやってきました。
そう。
お馬鹿な王子さまのお嫁さんになる時です。
桃色のお姫さまは青薔薇姫の協力を得ながら一世一代の賭けに出て、そして賭けに勝利しました。
大嫌いで、憎くて仕方がない男のお嫁さんになることができました。
しかし、ここで桃色のお姫さまはもっとイイコトを思い付いてしまいます。
『すぐに殺してしまうのはもったいないわ。どうせなら、苦しんできた女性の分だけ、たっくさん苦しんでもらわなくちゃ』
王子さまの住まいが冷宮に移され周囲の目が無くなったのをいいことに、桃色のお姫さまは王子さまのお食事に何度も毒を混ぜ、生死の境目を泳がせました。
苦しみ踠く姿を、愉しみました。
けれど、そんな遊びもいつかは疲れてしまう。
桃色のお姫さまは覚悟を決めました。
王子さまを水色のお姫さまと同じような方法で殺す覚悟です。
桃色のお姫さまは数日後に、王子さまを殺しました。
身体をバラバラにした後、心臓をナイフで抉ったのです。
腕にたくさんの傷を負っている桃色のお姫さまは、高笑いを浮かべていたそうです。
最愛を殺した男の呆気ない終わりに絶望したそうです。
そして、自らの喉に、その短剣を差し込んだそうです………」
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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