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1章 幸せの花園

24 崩れ去ったもの (2)

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「ねえぇ?ノアぁ。———、———」
「………………、」

 にっこり妖艶に、幸せそうに微笑んで、それでいてありえないことを言う魔女に、ノアは背筋が氷るのを感じた。背筋に蛇が這いずり回るかのような悪寒が走るのを感じた。
 笑顔が引き攣り、目の前にいる魔女得体の知れない生き物に対する嫌悪のようなものが、ノアの胸の中にむわりと広がる。

 ———所詮は魔女と人間。………分かり合えない、ということなのかな………………、

 ぽっかりと空いた胸の中を、容赦なく吹雪が吹き荒れる。

「ノアぁ?」
「———良いのではないでしょうか、魔女さま。彼女も、………ティアラも、魔女さまに役立てていただけるのでしたら本望でしょう」

 ホルマリンに付けられていくティアラを見つめながら、ノアはぎゅっと拳を握り込んだ。

 ———僕は、たった1人の女の子すら救えなかった。それどころか、殺してしまった———。

 なんのために学んできたのか、なんのために辛くて苦しい実践経験を積んでいたのか、何をしたかったのか、だんだんと霞がかかっていくように分からなくなってくる。

「………ティアラ………………、」

 名を呼ぶ相手は敵国の間諜の娘であり、自分を暗殺しにきた少女兵。そのはずなのに、それなのにも関わらず、ノアは1つお姉さんであるティアラに尊敬の念を抱いていた。

「君は、もっと長く生きるべき人だった………!!」

 小さく呟いたノアは、解体されていくティアラを見ていることができなくて、そっとログハウスの外に飛び出したのだった。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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