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「まあ!司祭さま、お顔の色が………!!早くご帰宅なだった方が………、」
「い、いえいえ、私めのことなどお気になさらず。それに今は馬車を使いに出しておりまして………、」
「まぁ!それは大変ですわ。どうぞわたくしの馬車をお使いになって」
(そう、わたくしが何度も何度も殺された馬車を)

 ヴァイオレットは自分付きの侍女に彼を馬車まで送るように命じ、これで一安心だと嘆息する。

(あのお馬鹿さんのことだから、足がつかないようにと自分がその馬車に乗せられた時のことなんて考えていなかったでしょうね)

 そもそも黒幕があっているかどうかも怪しいのだが、ひとまずここ数年見ていたところあの司祭さまは野心家っぽいので、排除しておくに限る。

「さぁ、雰囲気が壊れてしまいましたわね。わたくしのことは気にせず、みなさま夜会をお楽しみくださいませ」
「………———か、」
「?」
「楽しめるかって言ってるんだよ!レットちゃん!!」

 幼い日の呼び名で呼び掛けられたヴァイオレットは、きょとんとした顔で首を傾げた。薔薇色の頬に、ふわりふわりと揺れる藤の髪に、冷ややかな色彩のはずなのに温かみを感じるアクアマリンの瞳に、ディートリヒはボフっと頬を、耳を、赤く染め上げた。ビシッと指を指したディートリヒに注意をしようと口を開いた瞬間、ヴァイオレットの声はディートリヒの叫びによってかき消された。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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