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 それからのベアトリスは筆舌し難いほどに忙しくなった。
 父を転移魔法で運び、彼の死因を隠蔽して、母の悲しみをできるだけ軽減できるように行動する。もう1人のベアトリスが生きた人生での母ベルティアの死の最たる原因はアルフレッドの暴挙だった。故に、アルフレッドの死は知られても、アルフレッドの死因は決してベルティアに悟られてはいけない。慎重にことを運びながら、ベアトリスは複数の魔法を行使し続ける。
 魔力が尽きて、魔法を紡ぐことが難しくなれば、生命力を削った。何度も何度もそうやって様々な場所を行き来して、ベアトリスは完璧にアルフレッドの所業を無かったこちにした。
 もちろん、死んだ人間は戻ってこないし、今回の所業は全てローガン・ウィーズリーの行ったことにしてしまった。冤罪もいいところだが、それ以外に案がなかった。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 何度も何度も色々なところに謝って、でも、誰も返事はしてくれない。
 それが自分が責められているように感じられて、ベアトリスは安堵する。自己満足であることは重々承知済みだ。けれど、ベアトリスは謝らずにはいられなかった。

 それから6時間後、特別クラスへの違和感を抱いた他のクラスの先生によって、魔力不足や血液不足が原因で気を失ってしまっていたベアトリスたちは救出された。その頃には全ての後片付けが終了していた。だからこそ、誰もこの状況を不思議には思わなかったし、それどころかどこか不気味だったローガンがいなくなったことに安堵し、そして彼は国家反逆を企てた男として処理された。それが正しかったのか正しくなかったのかは、ベアトリスには分からない。
 けれど、ある意味ではそれも正しかったのかもしれないと、数日後に医務室のベッドで目覚め、先生からことの顛末を教えられたベアトリスは思ったのだった。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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