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195 いざ洋館へ

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 洋館へと近づくたびに、足にかかる負荷が大きくなるのを感じる。
 ビリビリと感じていた殺気と死へのカウントダウンは、もう頭を破壊するんじゃないかと言う大音量へと変化していた。

「はっ、」

 横で苦しそうに呻いた彼の身体からは、信じられない量の汗がぼたぼたと落ちていっている。

「!?」
(どうして………!?)

 何が起こっているのか分からない。
 ベアトリスはなんともないのに、彼だけが非常に苦しんでいる理由が分からない。ベアトリスは、咄嗟に聖属性魔法を使用して彼の体調の悪さをお守り程度に軽減するが、正直に言って効き目がものすごく悪い。

「………気にするな。行くぞ」

 使命感に萌えた切長の藍眼に促されて、ベアトリスはひゅっと息を飲む。
 責任感に、使命感に、どんなに押しつぶされそうになっても、殺されそうになっても、彼はいつも真っ直ぐ前を見つめていた。そんな彼だからこそ、ベアトリスは彼を己の主人と認めた。臣下として、支えようと思った。諦めたように苦笑して、ベアトリスは彼へ魔法を重ねがけする。工夫に工夫を重ねたと言っても、所詮はお守りで即興の魔法。そこまでの効果は存在していないだろう。でも、ベアトリスはちょっとでも彼の役に立ちたかった。
 無情にも、洋館の目の前にはすぐに辿り着いた。
 頭の中に鳴り響く死への交響曲は、不協和音が少なくなり、最高潮にまで上り詰めている。ここから先の未来は全く分からない。

 けれど、ベアトリスは信じている。
 ーーー全員、生きて帰ってこられると。

 深く呼吸をしてから、ベアトリスは隣に並び立つクラウゼルと共に洋館へと足を踏み入れた。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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