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82 マリアが突撃してきた
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(ねえ、この子本当にクラウゼルルートをクリアする気があるわけ?)
完璧主義者であるクラウゼルの目の前で見事に2回もすっ転んだ彼女に、ベアトリスは冷めた目を向ける。自分が氷魔法で転ばせていながら、そのことを棚に上げてベアトリスは口を開く。
「あらあら!平民の小娘は地面に這いつくばっているのがお好きですのね。今日のお昼休みは、わたくしのサロンの床掃除をしてもらおうかしら、おーっほっほ!!………げほっげほっ、」
(む、むせた………)
「………慣れないことをしようとするからこうなるんだ」
呆れながらも背中をぽんぽんと撫でてくれるクラウゼルに身を任せながら、ベアトリスは咳をしすぎてうるんでしまった瞳できっとマリアを睨みつけた(ふり)をして、ばしっと扇子で指差す。
「精々覚えておきなさい!!」
「か、かわ、ぐふぇっおえええぇぇぇ、」
変なことを口走りそうなマリアに嫌な予感を感じたベアトリスは、咄嗟に彼女の口の中に空気玉を放射した。空気で口がいっぱいになった彼女は、床に這いつくばって空気を必死に逃している。
(あー、やり過ぎたわね)
『かわいいいぃぃぃ!!つーか、悪役令嬢ってスペック高くね!?ちょー美人だし!完璧超人じゃん!!』と叫ぼうとしたマリアはやり過ぎレベルで反撃に出てきたベアトリスに文句を言おうとしたが、途中でハタっと気がついて口を閉じた。
(あれ?私、クラウゼルの攻略に来たんじゃなかったけ!?なのに、なんで悪役令嬢褒めようとしてんの!?やばくね!?マジやばくね!?これ、絶対ベアちゃんに怒られるやつじゃんっ!!)
半泣きで冷や汗満載にえへへと笑ったマリアは、挨拶もなく全力疾走で2人の前を去った。
(あ、そういえば、ベアちゃんを彼シャツネタで揶揄うの忘れた)
どこまで行っても残念なマリアは攻略開始3日目にして、すでに最終目的を忘れかけることが多々あるのだった。
****************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈⬛🐈
完璧主義者であるクラウゼルの目の前で見事に2回もすっ転んだ彼女に、ベアトリスは冷めた目を向ける。自分が氷魔法で転ばせていながら、そのことを棚に上げてベアトリスは口を開く。
「あらあら!平民の小娘は地面に這いつくばっているのがお好きですのね。今日のお昼休みは、わたくしのサロンの床掃除をしてもらおうかしら、おーっほっほ!!………げほっげほっ、」
(む、むせた………)
「………慣れないことをしようとするからこうなるんだ」
呆れながらも背中をぽんぽんと撫でてくれるクラウゼルに身を任せながら、ベアトリスは咳をしすぎてうるんでしまった瞳できっとマリアを睨みつけた(ふり)をして、ばしっと扇子で指差す。
「精々覚えておきなさい!!」
「か、かわ、ぐふぇっおえええぇぇぇ、」
変なことを口走りそうなマリアに嫌な予感を感じたベアトリスは、咄嗟に彼女の口の中に空気玉を放射した。空気で口がいっぱいになった彼女は、床に這いつくばって空気を必死に逃している。
(あー、やり過ぎたわね)
『かわいいいぃぃぃ!!つーか、悪役令嬢ってスペック高くね!?ちょー美人だし!完璧超人じゃん!!』と叫ぼうとしたマリアはやり過ぎレベルで反撃に出てきたベアトリスに文句を言おうとしたが、途中でハタっと気がついて口を閉じた。
(あれ?私、クラウゼルの攻略に来たんじゃなかったけ!?なのに、なんで悪役令嬢褒めようとしてんの!?やばくね!?マジやばくね!?これ、絶対ベアちゃんに怒られるやつじゃんっ!!)
半泣きで冷や汗満載にえへへと笑ったマリアは、挨拶もなく全力疾走で2人の前を去った。
(あ、そういえば、ベアちゃんを彼シャツネタで揶揄うの忘れた)
どこまで行っても残念なマリアは攻略開始3日目にして、すでに最終目的を忘れかけることが多々あるのだった。
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈⬛🐈
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