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部下への怒り
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ここに至ったであろう経緯はなんとなく予想できている。
俺の部下であると偽り、無垢で能天気な鈴春を騙し、この屋敷に入り込み、鈴春を殺そうとして返り討ちにあったのであろう。昔、僅かな間でも、こいつを俺の部下として置いていたという事実が悍ましい。
血走った目で喚き立てる朝比奈拓人に、俺は大きく溜め息を吐いた。
「善悪の区別もつかず、親の言いなりになっている人形など軍には不要だ。今回の件、妖魔との友好派である王太子殿下は大変お怒りであり、朝比奈家の降格とお前の軍追放を決定なさった」
「ーーーは?」
今日、俺は華族のトップたる朝比奈家に呼び出されていた。
ここ数回はどうにか躱していたが、今回ばかりは躱せなかった。朝比奈家の人間たちが俺がいない隙間に鈴春を襲うことは分かっていた。だが、朝比奈家の力は大き過ぎ、どこまで力を侵食させているかは未知数だった。
誰も頼れない。
悲しくもそれが現状。
だから俺は出来うる限り早く話を切り上げ屋敷に戻ったのだが………、
「………まあ、だいぶ遅かったようだな」
朝比奈拓人が何やらわんわん喚き出したが、そんなことは知ったことではない。
俺はポケットに入っていたハンカチをグジャッと丸め、痛みやら妬みやら驚きやらでわんわん喚いている朝比奈拓人の口に突っ込んだ。腰につけていた長剣で無造作に氷を切り刻み、氷ごと男の足を切り出した俺は、ひょいっと腹の真ん中で担ぎ上げ、屋敷の外に出る。
そこには多くの軍人たちが整列していた。
「………コレを王宮の地下牢へ。こいつは王家へ仇をなした者。逃したらどうなるかは分かっているな?」
恐怖に慄きながら頷く部下たちに指示を出し、俺はうざったらしい軍服の首元を緩めて溜め息を吐いた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
俺の部下であると偽り、無垢で能天気な鈴春を騙し、この屋敷に入り込み、鈴春を殺そうとして返り討ちにあったのであろう。昔、僅かな間でも、こいつを俺の部下として置いていたという事実が悍ましい。
血走った目で喚き立てる朝比奈拓人に、俺は大きく溜め息を吐いた。
「善悪の区別もつかず、親の言いなりになっている人形など軍には不要だ。今回の件、妖魔との友好派である王太子殿下は大変お怒りであり、朝比奈家の降格とお前の軍追放を決定なさった」
「ーーーは?」
今日、俺は華族のトップたる朝比奈家に呼び出されていた。
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誰も頼れない。
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だから俺は出来うる限り早く話を切り上げ屋敷に戻ったのだが………、
「………まあ、だいぶ遅かったようだな」
朝比奈拓人が何やらわんわん喚き出したが、そんなことは知ったことではない。
俺はポケットに入っていたハンカチをグジャッと丸め、痛みやら妬みやら驚きやらでわんわん喚いている朝比奈拓人の口に突っ込んだ。腰につけていた長剣で無造作に氷を切り刻み、氷ごと男の足を切り出した俺は、ひょいっと腹の真ん中で担ぎ上げ、屋敷の外に出る。
そこには多くの軍人たちが整列していた。
「………コレを王宮の地下牢へ。こいつは王家へ仇をなした者。逃したらどうなるかは分かっているな?」
恐怖に慄きながら頷く部下たちに指示を出し、俺はうざったらしい軍服の首元を緩めて溜め息を吐いた。
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