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妖魔の命

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 角は妖魔にとって命と言っても過言ではない大事なもの。
 それは見た目のものと思われがちですが、本当は違うのです。

 ーーー角は文字通り妖魔の命そのものなのです。

 角により、妖魔はその生命の血液である妖力を生成し、蓄えます。よって、角が大きく、妖力によって宝石に近い輝きを放つほど、妖魔は強い存在としての格を手に入れます。わたしも生来は幼魔の皇女として相応しい、並外れた量の妖力と妖力の蓄えに恵まれていました。けれど、今のわたしは忘れがちですが片角です。生成できる妖力も、蓄えも、今までの2分の1もありません。

(妖力の減りは命の減りとはよく言ったものですね)

 酷く浅くなった呼吸をどうにか整えながら、わたしは表情を取り繕い、顔を上げます。わたしの視線の先にはひどく冷たい顔をした朝比奈拓人さまのお顔がありました。
 鼻につく濃い血の香りにむせ返りそうになりながら、わたしは平然としたふりをしてにっこり笑ってやります。同胞の血の匂いにも、毒にも、わたしは惑わされない。

「どういうおつもりですか?」

 高い位置から冷たい眼光に射抜かれて、わたしはわずかに萎縮しそうになるのを感じます。

「これは国の総意です。妖魔などという穢れた血を国に置いておくなんて考えられない。あなたにはさっさと滅んでもらいます」
「そう、ですか」

 妖魔が人間を小馬鹿にしているように、人間は妖魔を蔑んでいるのでしょう。

(あぁ、やっぱり)
「ニンゲンは嫌いですね」

 わたしの周囲の温度が下がり、息が白く染まる。
 食道と肺が氷に凍てつかされるような感覚を覚えた次の瞬間には、朝比奈拓人さま、いいえ、人間の醜い男が拳銃と呼ばれる人間の武器を構えて激しい爆音を響かせ始めました。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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