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終わり

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 大学の入学式に行った日の夜、2人で公園にお花見に行って、大きな桜の木の下で花弁の舞う中片膝をついて、ダイヤモンドの指輪と共にプロポーズをしてもらった。

『だいすきな優花ちゃん、僕の隣をこれからもずっと歩いてくれないかな?』
『っ、お願い、しますっ』

 優花と蒼らしいやりとりだったと思う。
 
 それからは幸せと分からないの連続だった。
 幼馴染歴が長すぎる2人にとって常に一緒にいることは当たり前で、手を繋ぐことも当たり前だった。自分たち流にたどり着く前に、なかなかの時間を要した。

 大学卒業後すぐに結婚することを決めたのは、ものすごく自然な流れだったし、お互いに当然の流れだった。お互いの親も何も言わなかったし、それどころか、大学在学中から『孫はまだか』と聞かれる始末だった。

 本当に、本当に穏やかな日々だった。
 大好きで大好きで仕方がない彼との生活は、穏やかで、幸せで、優しい日々だった。

 けれど、終わりは唐突にやってきた———。

 あれは、結婚式前日、結婚式の最終確認のために色々な場所へ訪れた帰りに起きた出来事だった。
 電車の駅の踏切で、おばあさんがショッピングカートを溝に引っ掛けていたのを見つけた。蒼は優しい人だから、すぐに駆け出した。引っ込み思案で物事を少し躊躇いやすい優花も、蒼が動くと引っ張られるように必ず動く。

 その次の瞬間、踏み切りが音を鳴らし始めた。

 ガッツリハマってしまったショッピングカートは、面白いぐらいに動かなくて、そのショッピングカートがものすごく大事な品物であるらしいおばあさんも、ショッピングカートにへばりついていて動いてくれない。

 電車が勢いよく、迫ってくる。
 蒼が、おばあさんに覆い被さった優花に覆い被さる。

 強い衝撃が訪れる。
 蒼が抱きしめたい右半身は無事だったけれど、左半身の感覚がなくなった。全身が、暑いような気がした。
 蒼の優しい匂いに、鉄っぽい匂いが混じって、そして、優花の記憶は、途切れた———。

*************************

読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
次の話は12時更新です!!

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