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旦那さまがイライラとしながら裁判をしているのを、周囲からは見えないように漆黒のカーテンで区切られているお部屋から腕を組んで横目に見つめる。部屋の端で壁に背を預け、腕を組んでいるわたしの斜め前方にある机には、50年もののワインと緑のカビにが蔓延る大きな円柱状のチーズ、そしてこれでもかというほどに盛られたフルーツの山が載っている。
ケーキみたいにチーズを切り取り、ワイングラスに注いだワインを揺らしながら艶やかに微笑む女性に、わたしは絶対零度の眼差しを向ける。
「あなたもいかが?」
悪意と毒がなさそうなのを確認して、わたしはワイングラスを受け取る。とぽとぽと遠慮なく注がれるワインからはふわっと甘い香りが漂う。
(いいご趣味だことで)
先程と同様に壁際に戻ったわたしはついでとばかりにとてきた葡萄をお口の中に入れながら、ゆらゆらとワイングラスを揺らして深い赤紫色をしたワインの揺れを楽しむ。
一口飲めば濃厚で芳醇な味が広がり、ほんの少しばかり心がふわっと揺れたつ。
「それにしても、………国の膿みをだし切るためにここまでするとは、あなたも策士ですわね。“王女殿下”」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
旦那さまがイライラとしながら裁判をしているのを、周囲からは見えないように漆黒のカーテンで区切られているお部屋から腕を組んで横目に見つめる。部屋の端で壁に背を預け、腕を組んでいるわたしの斜め前方にある机には、50年もののワインと緑のカビにが蔓延る大きな円柱状のチーズ、そしてこれでもかというほどに盛られたフルーツの山が載っている。
ケーキみたいにチーズを切り取り、ワイングラスに注いだワインを揺らしながら艶やかに微笑む女性に、わたしは絶対零度の眼差しを向ける。
「あなたもいかが?」
悪意と毒がなさそうなのを確認して、わたしはワイングラスを受け取る。とぽとぽと遠慮なく注がれるワインからはふわっと甘い香りが漂う。
(いいご趣味だことで)
先程と同様に壁際に戻ったわたしはついでとばかりにとてきた葡萄をお口の中に入れながら、ゆらゆらとワイングラスを揺らして深い赤紫色をしたワインの揺れを楽しむ。
一口飲めば濃厚で芳醇な味が広がり、ほんの少しばかり心がふわっと揺れたつ。
「それにしても、………国の膿みをだし切るためにここまでするとは、あなたも策士ですわね。“王女殿下”」
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