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12 出て行く人たち

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 とろけそうなぐらいに美しい笑みを浮かべた彼女に、エスプレッソが口付けを送る。
 その様子を蒼白な表情で見守っていたカプチーノの耳元に、モカはくちびるを寄せる。

「よかったですね、お義母様。エスプレッソ様は近衛騎士にして、現在序列3位の国王陛下にも一目置かれている出世頭のお方だそうです。これで田舎臭い場所ではなく王都で散財し放題ですよ」

 モカの言葉にきらっと深緑の瞳を輝かせたカプチーノの表情はみるみるうちに明るくなっていく。

「あらまあ、では“あの噂”は嘘だったのね。あらまあ、よかったわ。ふふふっ、あはははっ!!」

 寂しそうに強がりな微笑みを浮かべるモカに見下すような視線を向けたカプチーノは、伯爵にキリッとした表情を向けてぺちゃくちゃと話し始める。

 先程までの警戒はどこに行ったのやら。
 その口調はとても軽々しく、ラテの婚姻を心から喜んでいた。

「私、娘のことがとても心配で………。ラテはずっと甘やかして育ててきたのでできれば王都まで一緒に向かいたいのですが………、」
「構いませんよ、お義母様。是非ともいらしてください」

 トントン拍子に進んで行ったお話はあっという間にまとまり、エスプレッソ、ラテ、カプチーノはその日のうちに使用人の半数に暇を出しアメリカン子爵邸から出て行ったのだった———。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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