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4章 ついに始まる乙女ゲーム
14話 叫び
しおりを挟む泣き声が聞こえる。
暗い中にぽつんと一人。
わたくしは、何をしていた?
目の前には楽しそうに笑う皆が映るスクリーン。
泣き声が聞こえる。
スクリーンで隔てられた先の正しい未来。
イレギュラーなのは、わたくし。
一寸先は闇。
目映く輝くスクリーンとの対比が心に重くのしかかる。
泣き声が聞こえる。
時間の感覚が分からなくなる。
何かする気にもならず、ただぼんやりとスクリーンを見ていた。
何分か、何時間か、何日か─。
泣き声は大きくなる。
聞きたくない、聞きたくない。
耳を塞いでも声は大きくなるばかり。
愛されたい。
愛されたい。
愛されたい。
泣き声に混ざって聞こえる叫び。
プログラムが言う。
愛されたい、と。
わたくしが言う。
愛されたい、と。
私が言う。
愛されたい、と。
だけど、スクリーンは進む。
わたくしを置いて。
悪いのはプログラム。
悪いのはわたくし。
悪いのは私。
いつだって、悪いのは自分だ。
嫉妬をぶつけ続けた我が儘なプログラム。
好意を踏みにじった愚かなわたくし。
愛に怯える臆病な私。
幸せを壊すのはいつだって─。
『死んじゃえばいいのに─』
ふと頭に浮かんだ言葉を声にならない声で呟く。
瞬間。
ガラガラと崩れだす闇。
深く、深く、闇に落ちていく。
綺麗なスクリーンだけは平然と先を映し続けていた。
このまま死んでいけるなら、それも悪くない。
ぐんぐんと、落ちていく。
闇の中にずっと一人、ぼんやりと幸せを見ているだけなら─。
どこまでも、どこまでも、どこまでも…。
闇に飲み込まれ、自分がだんだんと分からなくなる。
一筋の光さえない、泣き声が響き渡る闇。
薄れゆく意識の中わたくしを呼ぶ声が聞こえた気がした。
『エリューシア!!』
エリューシア─?それは誰?
それはプログラム。
それはわたくし。
それは私。
徐々に鮮明になる声。
泣き声以外の声を随分久しぶりに聞いた気がした。
声とともに一筋の光が差し込む。
光と声に誘われるように、わたくしはまぶたを持ち上げた─。
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