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14.俺、ロックオンされる
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「あぁん? どういうことだ、これは!?」
朝イチで魔力量を計測した途端、俺はジジさんに睨まれた。
「えぇと、いくつだったんだ?」
「222だ。お前、寝たら魔力量が増えるのか?」
「と言われても」
そもそも自分の体にあるという魔力を感じることができないので、増えたり減ったりしてるのかも分からない。
「まぁ、とりあえずはいい。朝飯作りに行くんだろ。とっとと行け」
「え、でもまた魔晶石を作るんじゃ……」
「とりあえずお前の魔力量の規則性を確かめるために、魔晶石を作らずに経過観察することになったんだよ。今日からしばらくは定期的に魔力量を計測するだけでいい」
「あ、あぁ、分かった」
なんかよく分からないけど、魔晶石を作りながら魔力の流れとやらを感じろ~感じろ~って隣で睨むように見つめるジジさんの威圧しか感じない無駄な時間を過ごさなくていいってだけで、ホッとする。うん、本当に目で殺されるかもしれないレベルで威圧してくるからな。純粋に集中できない。
厨房に戻り、昨日の晩に作って寝かせておいた麺の生地を引っ張り出す。小麦粉と塩と水だけで作った麺なので、どう調理するかで味は決まる。朝食だし、あまりがっつりさせても食べにくいだろう。鶏とネギなどの野菜を具にして作ったスープに浸して出せば、ある程度の満足感は得られるかな。
今日の食事当番は白髪ツインテールのお嬢さん、もといシンシアだったが、彼女が来る頃にはすっかり作り終えてしまっていたので、配膳だけお願いする。俺は味見がてら自分の分だけよそって、一足先にずずずっと麺をすすった。うん、こんなもんだろう。
「ミケってさー、コックとかだったわけー?」
「いや、違うぞ。特に担当はなくて雑用全般やってただけだ」
「じゃー、掃除とか洗濯とかも得意だったりするー?」
「得意か不得意かは分からんが、やってはいたな」
「ふーん」
シンシアの口元がニンマリ笑みの形を作っていたことに、俺は嫌な予感を隠せなかった。
「ミケ、今日はご飯作り以外はヒマなんだよねー?」
「ヒマと言えばヒマだが、定期的な測定はあるって聞いてるぞ?」
「それ以外は時間あるでしょー?」
「……厨房の材料確認と掃除の続きをしようと思ってたんだが」
シンシアは、諦める気はないようで「明日以降だっていいんだけどさー」と間延びするような口調で続けた。
「掃除が得意なら頼みたいんだけどー?」
今日はカエルみたいな緑一色の爪がぎらり、と輝いた気がした。いや、明らかに尖ったその爪先をこちらに向けている。
「話を聞くだけだぞ」
時間を持て余しそうなのは確かだし仕方ない、と折れた俺に、シンシアは上機嫌で『掃除』について話し始めた。
本人はすごくイヤそうな表情を浮かべていたが、なんのことはない。研究員のプライベートスペースがすごく汚いという話だった。各員の部屋が汚いから、夜も研究室の隅っこだったりデスクの下で毛布にくるまって寝ているらしい。
「あたしの隣の部屋から、すごい異臭がするわけー。本人に言っても研究が忙しいからで済ませるし。そんなん、あたしだって研究は忙しいに決まってるじゃん?」
「さすがに本人の許可なしに掃除はできないだろう?」
「ってことはー。本人の許可があればオッケー? うっし! もぎ取ってくるわー」
「え、ちょま……」
俺の制止の声も聞かずにシンシアは厨房から姿を消してしまった。のんびりした口調に騙されたけど、逃げ足が速いのは初日から知ってたのに、油断した。
朝イチで魔力量を計測した途端、俺はジジさんに睨まれた。
「えぇと、いくつだったんだ?」
「222だ。お前、寝たら魔力量が増えるのか?」
「と言われても」
そもそも自分の体にあるという魔力を感じることができないので、増えたり減ったりしてるのかも分からない。
「まぁ、とりあえずはいい。朝飯作りに行くんだろ。とっとと行け」
「え、でもまた魔晶石を作るんじゃ……」
「とりあえずお前の魔力量の規則性を確かめるために、魔晶石を作らずに経過観察することになったんだよ。今日からしばらくは定期的に魔力量を計測するだけでいい」
「あ、あぁ、分かった」
なんかよく分からないけど、魔晶石を作りながら魔力の流れとやらを感じろ~感じろ~って隣で睨むように見つめるジジさんの威圧しか感じない無駄な時間を過ごさなくていいってだけで、ホッとする。うん、本当に目で殺されるかもしれないレベルで威圧してくるからな。純粋に集中できない。
厨房に戻り、昨日の晩に作って寝かせておいた麺の生地を引っ張り出す。小麦粉と塩と水だけで作った麺なので、どう調理するかで味は決まる。朝食だし、あまりがっつりさせても食べにくいだろう。鶏とネギなどの野菜を具にして作ったスープに浸して出せば、ある程度の満足感は得られるかな。
今日の食事当番は白髪ツインテールのお嬢さん、もといシンシアだったが、彼女が来る頃にはすっかり作り終えてしまっていたので、配膳だけお願いする。俺は味見がてら自分の分だけよそって、一足先にずずずっと麺をすすった。うん、こんなもんだろう。
「ミケってさー、コックとかだったわけー?」
「いや、違うぞ。特に担当はなくて雑用全般やってただけだ」
「じゃー、掃除とか洗濯とかも得意だったりするー?」
「得意か不得意かは分からんが、やってはいたな」
「ふーん」
シンシアの口元がニンマリ笑みの形を作っていたことに、俺は嫌な予感を隠せなかった。
「ミケ、今日はご飯作り以外はヒマなんだよねー?」
「ヒマと言えばヒマだが、定期的な測定はあるって聞いてるぞ?」
「それ以外は時間あるでしょー?」
「……厨房の材料確認と掃除の続きをしようと思ってたんだが」
シンシアは、諦める気はないようで「明日以降だっていいんだけどさー」と間延びするような口調で続けた。
「掃除が得意なら頼みたいんだけどー?」
今日はカエルみたいな緑一色の爪がぎらり、と輝いた気がした。いや、明らかに尖ったその爪先をこちらに向けている。
「話を聞くだけだぞ」
時間を持て余しそうなのは確かだし仕方ない、と折れた俺に、シンシアは上機嫌で『掃除』について話し始めた。
本人はすごくイヤそうな表情を浮かべていたが、なんのことはない。研究員のプライベートスペースがすごく汚いという話だった。各員の部屋が汚いから、夜も研究室の隅っこだったりデスクの下で毛布にくるまって寝ているらしい。
「あたしの隣の部屋から、すごい異臭がするわけー。本人に言っても研究が忙しいからで済ませるし。そんなん、あたしだって研究は忙しいに決まってるじゃん?」
「さすがに本人の許可なしに掃除はできないだろう?」
「ってことはー。本人の許可があればオッケー? うっし! もぎ取ってくるわー」
「え、ちょま……」
俺の制止の声も聞かずにシンシアは厨房から姿を消してしまった。のんびりした口調に騙されたけど、逃げ足が速いのは初日から知ってたのに、油断した。
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