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第四話 わたしのツンが消える時(4)

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   ◆◆◆

「……」

 道中、わたしはあまり喋れなかった。相槌を打つのが精一杯だった。
 緊張のせいだ。
 わたしはドキドキしたまま商店街を歩いた。
 彼と遊びに行く時によく通る道だ。
 商店街はクリスマス仕様になっていた。
 看板やあちこちにクリスマス特有の電飾が張り巡らされている。
 様々な色の小さな光が目に心地良い。
 その鮮やかさとにぎやかさはわたしの緊張を少しとかしてくれた。
 そして気付けば、わたしは懐かしい場所に連れてこられていた。

「そこのベンチに座ろう」

 そこは昔よく一緒に遊んでいた公園だった。
 寒さのせいか、公園で遊んでいるものは誰もいなかった。
 彼と並んでベンチに腰掛ける。
 そして彼は口を開いた。

「むかしここでよく一緒に遊んだよな」

 わたしが「そうだね」と答えると、彼は言葉を続けた。

「俺は君に守られてばかりだった。最初はそれでいいと思った。でも、学校でバカにされたことで俺は変わろうと思った。男らしくなろうと思った。そのために君から離れた」

 そういう理由だったんだと、わたしは声を上げそうになった。
 声を上げなかったのは、今まで悩んでいたのがバカらしく思えてきたからだ。
 そして彼の言葉には続きがあることがわかっていたからだ。

「そしてずうずうしいことに、俺はかわいくなった君とまた昔のような関係に戻りたいと思った」

 かわいくなった、その言葉は普通に嬉しかった。あの努力は無駄では無かったのだ。
 そして彼はとうとう本題に入った。

「でもそれじゃ満足できなくなった。やっぱり友達じゃダメなんだ」

 そして彼はその言葉を口にした。

「好きだ。アサヒナさん、俺と付き合ってくれ」

 その告白に、わたしは、

「……うん。いいよ」

 素直に応えた。

 その日の夜、わたしはドキドキしたまま床についた。
 これからどうなるんだろう、そんなことを想像して悶々とした。抱き枕に抱きついたまま、ベッドの上で何度も寝転がった。
 そしてあのモヤモヤもいつの間にか消えていた。
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