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第三話 V・A (5)
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ヴィーさんの長い鞘から大きな刃が横一文字に放たれる。
これに対し、わたしは下段に構えておいた剣を振り上げた。
わたしとヴィーさんの刃が十字を描くようにぶつかり合う。
これまでのどの打ち合いよりも大きな金属音が響き、火花が花火のように散る。
そして、
(やった! できた!)
わたしは喜びと共に成功の声を響かせた。
居合の軌道を上に押し流すことができた。
そしてヴィーさんは刃を止めることなく振り抜いた。
反撃のチャンス!
初めての一本を取るチャンスでもある!
だったら当然、
(どりゃああああ!)
迷うことなど無い! これまでの恨み、晴らさずにいられるか!
振り上げた剣をヴィーさんめがけて振り下ろす!
お命ちょうだい! 世の平和のためにあなたのような悪人はここで死んでください! そう、これは正義と秩序のための行動なのです! 決して私情による行動では無いのです!
勝った! 正義の勝利だ! わたしがそう確信した瞬間、
(え?)
目の前に光が走り、わたしの一撃は弾き返された。
なぜ? 刃は流したはずなのに?
その疑問に対し、ヴィーさんは答えた。
「魔力で腕にブレーキをかけて切り返したんだ」
なにそれ? 隙がまったく無いじゃないですか。ずるい。反則では?
わたしが逆ギレぎみに不満をつのらせると、ヴィーさんは疑いの眼差しをわたしに向けながら口を開いた。
「ところで、さっきの一撃から殺意を少し感じたんだが気のせいか?」
わたしは笑顔で答えた。
「ナニイッテルンデスカー。気のせいに決まってるじゃないですかー。やだなーもー」
これの真偽についてはそれほどの興味は無かったらしく、
「まあ、そういうことにしておいてやるか」
ヴィーさんはすんなりと引き下がった。
これに対し、わたしは下段に構えておいた剣を振り上げた。
わたしとヴィーさんの刃が十字を描くようにぶつかり合う。
これまでのどの打ち合いよりも大きな金属音が響き、火花が花火のように散る。
そして、
(やった! できた!)
わたしは喜びと共に成功の声を響かせた。
居合の軌道を上に押し流すことができた。
そしてヴィーさんは刃を止めることなく振り抜いた。
反撃のチャンス!
初めての一本を取るチャンスでもある!
だったら当然、
(どりゃああああ!)
迷うことなど無い! これまでの恨み、晴らさずにいられるか!
振り上げた剣をヴィーさんめがけて振り下ろす!
お命ちょうだい! 世の平和のためにあなたのような悪人はここで死んでください! そう、これは正義と秩序のための行動なのです! 決して私情による行動では無いのです!
勝った! 正義の勝利だ! わたしがそう確信した瞬間、
(え?)
目の前に光が走り、わたしの一撃は弾き返された。
なぜ? 刃は流したはずなのに?
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「ナニイッテルンデスカー。気のせいに決まってるじゃないですかー。やだなーもー」
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「まあ、そういうことにしておいてやるか」
ヴィーさんはすんなりと引き下がった。
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