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第三話 V・A (4)

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   ◆◆◆

 マラソンが終わったら光る剣を持ってヴィーさんと打ち合う。
 最近は良い勝負になってきたんじゃないかなあと、自分では思ってる。
 その証拠に、

「いいぞ! もっと打ち込んで来い!」

 ヴィーさんの口調は明らかに変わっていた。
 楽しんでいるかのような口調。
 最初の頃のめんどくさそうな雰囲気は感じられない。
 注意の言葉の回数も減った。
 だけどまだヴィーさんから一本を取ったことは一度も無い。
 だけど今日こそはいけそう、そんな手ごたえを感じる。
 剣がぶつかり合うたびに、その手ごたえが伝わってくる。
 もう大きく受け流されることは無い。受けられたら即座に剣を引いているからだ。
 そして吹っ飛ばされることも無い。ヴィーさんのように上手くは無いけど、衝撃をちゃんと流せてるからだ。
 攻めて、引いて受ける、それの繰り返し。
 この繰り返しはだんだん速くなる。
 最初はついていけなかったけど、いまはもう慣れた。
 ぶつかり合いで生じる火花と光の粒子がその数を増していく。
 そろそろかな? そう思った直後にヴィーさんは口を開いた。

「では、少し強めにいくぞ!」

 その声と共にヴィーさんは大太刀を納刀した。
 何度見てもカッコいい居合の構え。
 鞘に刃を納めた状態が構え。ここからすごい速さの抜刀が飛んでくる。
 いや、抜くという表現は違う。ヴィーさんは刃を発射している。
 光の魔力同士がぶつかり合った際に生じる反発力を利用して、鞘から飛ばしているのだ。そもそも、そうでもしないとこんな長い刃は腰からは抜けない。
 納刀の際は手から完全に離れている瞬間がある。刃を軽く投げて、下から鞘を突っ込ませて納刀している。その動作も一瞬だからこれまたカッコいい。
 抜刀から納刀までほとんど隙が無い。
 だけど今日こそは! もう何度も見た! もう目が慣れている!
 だから、

(あとはタイミングの問題! ヴィーさんの心を、抜刀の気配を読むんだ!)

 あとはわたしの感知能力を研ぎ澄ませるだけ!
 意識を集中し、ヴィーさんの体の中に流れる魔力を見る。
 まるで光る血管のようなそれをじっと見つめる。
 時が止まったような感覚のあと、間も無くそれは始まった。
 肩のそばで太い流れ星のような魔力が現れ、腕に向かって流れこみ始める。

(ここだ!!)(一閃!!)
 
 瞬間、わたしとヴィーさんの心の声は重なった。
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