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絶望 ②
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今僕は、虚無の中で息をしている。
ルーカス様に語りかけられても反応せず、食事を拒み、虚な目で天蓋を見つめ1日が終わる。
それでもルーカス様の命令で侍女が僕の世話をしに来る。
はじめは丁寧に対応してくれていた侍女も、何も反応しない僕に嫌気がさし、僕の前でも噂話、陰口、作り話までし始めた。
「ねぇねぇ、この前レオナルド様が倒れられたのってどう思う?」
「どう思うって?」
「私、あれはルーカス様の気を引くための、演技だと思うの。だってレオナルド様ってルーカス様の妃候補だけど、皇帝陛下は他にも妃候補を探されてるでしょ?だから、候補が出る前に婚約したいのよ」
「え!自作自演ってことでしょ?怖~い」
「でもレオナルド様はこの前のことで流産したとも、聞いたわよ」
「自作自演でも流産は無理よね」
「それでもルーカス様とレオナルド様って、大人同士の関係っぽくないじゃない?だったらお腹の子供はきっとサイモン様の子供よ」
「本当だわ!サイモン様の子供だと、その子は宮廷から追い出されるわよね」
「こんなこと言ったら不謹慎かもしれないけど、どうせ育てられない子供だったら、初めから生まれなくてよかったんじゃない?」
「確かにね」
僕のことはなんと言われてもいい。
でも僕の話にルーカス様を巻き込まないで。
生まれてきたくても、生まれてこれなかった赤ちゃんのこと、そんな風に言わないで!
僕が育てられなくても、どこかですくすく育ち、幸せに暮らしをしていると思う。
生まれなくていい子なんていない!
だから、そんな酷いこといわないで!
何も感じなくなくなったはずなのに、涙が出てくる。
反論したいのに言葉は出ずに、涙が出てくる。
「もう、レオナルド様ってすぐ泣く。涙の跡があったらルーカス様に怒られるから、泣かないでくださいね」
乱暴に涙を拭かれた。
「今日も何も食べられないんですか?でもスープは飲んでくださいね。もう、これ以上、私たちの手を煩わせないでください」
体を起こされベッドテーブルの上にスープを置かれる。
食べたくないけど、食べないとまた酷いことを言われる。
僕のことはいい。でもルーカス様や赤ちゃんのことは、絶対に言われたくない。
味のないスープを無理やり胃の中に流し込んだ。
今日もまた1日が過ぎていく。無意味な1日が過ぎていく。
西陽が部屋に入り込む頃。部屋のドアならノックされ、ルーカス様が入ってくる。
「体調はどうだ?」
優しく微笑みながら、ベッドのヘリに座る。僕は上半身を起こし、何も言わずにルーカス様に微笑み返す。
あれ以来、僕は意識しても言葉が出ない。
こんなに優しくしてくださるルーカス様に対しても、言葉が出ない。
ルーカス様、本当にごめんなさい。
そう思うと涙だけは自然と出て、それがいらだだしい。
「レオ、焦らなくていい。ゆっくりでいいんだ」
ルーカス様はこんな僕を抱きしめてくれる。
そっと瞳を閉じると、また暗闇が襲ってくる。
「今日はレオに紹介したい人がいるんだ」
紹介?
僕が目を開けるとドアがガチャリと開いて、帽子のベル・エポックを深々と被った女性が旅行鞄を手に入ってきた。
誰?
ルーカス様を見上げる。
「ご無沙汰しております、レオナルド様」
女性が帽子を取り、お辞儀をして顔を上げた。
ルーカス様に語りかけられても反応せず、食事を拒み、虚な目で天蓋を見つめ1日が終わる。
それでもルーカス様の命令で侍女が僕の世話をしに来る。
はじめは丁寧に対応してくれていた侍女も、何も反応しない僕に嫌気がさし、僕の前でも噂話、陰口、作り話までし始めた。
「ねぇねぇ、この前レオナルド様が倒れられたのってどう思う?」
「どう思うって?」
「私、あれはルーカス様の気を引くための、演技だと思うの。だってレオナルド様ってルーカス様の妃候補だけど、皇帝陛下は他にも妃候補を探されてるでしょ?だから、候補が出る前に婚約したいのよ」
「え!自作自演ってことでしょ?怖~い」
「でもレオナルド様はこの前のことで流産したとも、聞いたわよ」
「自作自演でも流産は無理よね」
「それでもルーカス様とレオナルド様って、大人同士の関係っぽくないじゃない?だったらお腹の子供はきっとサイモン様の子供よ」
「本当だわ!サイモン様の子供だと、その子は宮廷から追い出されるわよね」
「こんなこと言ったら不謹慎かもしれないけど、どうせ育てられない子供だったら、初めから生まれなくてよかったんじゃない?」
「確かにね」
僕のことはなんと言われてもいい。
でも僕の話にルーカス様を巻き込まないで。
生まれてきたくても、生まれてこれなかった赤ちゃんのこと、そんな風に言わないで!
僕が育てられなくても、どこかですくすく育ち、幸せに暮らしをしていると思う。
生まれなくていい子なんていない!
だから、そんな酷いこといわないで!
何も感じなくなくなったはずなのに、涙が出てくる。
反論したいのに言葉は出ずに、涙が出てくる。
「もう、レオナルド様ってすぐ泣く。涙の跡があったらルーカス様に怒られるから、泣かないでくださいね」
乱暴に涙を拭かれた。
「今日も何も食べられないんですか?でもスープは飲んでくださいね。もう、これ以上、私たちの手を煩わせないでください」
体を起こされベッドテーブルの上にスープを置かれる。
食べたくないけど、食べないとまた酷いことを言われる。
僕のことはいい。でもルーカス様や赤ちゃんのことは、絶対に言われたくない。
味のないスープを無理やり胃の中に流し込んだ。
今日もまた1日が過ぎていく。無意味な1日が過ぎていく。
西陽が部屋に入り込む頃。部屋のドアならノックされ、ルーカス様が入ってくる。
「体調はどうだ?」
優しく微笑みながら、ベッドのヘリに座る。僕は上半身を起こし、何も言わずにルーカス様に微笑み返す。
あれ以来、僕は意識しても言葉が出ない。
こんなに優しくしてくださるルーカス様に対しても、言葉が出ない。
ルーカス様、本当にごめんなさい。
そう思うと涙だけは自然と出て、それがいらだだしい。
「レオ、焦らなくていい。ゆっくりでいいんだ」
ルーカス様はこんな僕を抱きしめてくれる。
そっと瞳を閉じると、また暗闇が襲ってくる。
「今日はレオに紹介したい人がいるんだ」
紹介?
僕が目を開けるとドアがガチャリと開いて、帽子のベル・エポックを深々と被った女性が旅行鞄を手に入ってきた。
誰?
ルーカス様を見上げる。
「ご無沙汰しております、レオナルド様」
女性が帽子を取り、お辞儀をして顔を上げた。
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